stand.fmはなぜ“優しい”を大切にしているのか サービスのUXを代表・中川さんとデザイナー・大石さんが語る

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2021/03/23 08:00

 3月5日に開催されたオンラインイベント「Creators MIX 2021」に、音声配信アプリ「stand.fm」のデザインを担当する大石未央さんが登壇。「声でつながる、優しい世界を創るstand.fmのUI/UX」と題し、音声サービスにおけるUI/UXの考えかたについて講演を行った。後半では、stand.fmの代表取締役・共同代表の中川綾太郎さんも交えたパネルディスカッションも実施。本記事では、同講演の内容を整理してお届けする。

stand.fmが心がけている3つのキーワード

 前職では女性向けプラットフォーム「MERY」のデザインに携わっていた大石さんは、株式会社stand.fmの創業メンバー。同社が展開する音声配信アプリ「stand.fm」に関わるデザインのすべてを一手に担っている。

 stand.fmは、誰もがかんたんにアプリで収録やLIVE配信ができる音声配信プラットフォームだ。ユーザー属性は、男女比で女性53.7%、男性46.3%とおよそ半々。ユーザーの年齢層は、10代~30代が中心となる。同サービスの特徴について、大石さんはこう表現した。

「だれでも気軽に発信できることで、多彩なコンテンツが生まれ、だれもが声で繋がれる自分の居場所に出会うことができる。そんな優しい音声配信プラットフォームづくりを目指しています」

1.色の見えかたをニュートラルに

 stand.fmのデザインでは、「色の見えかた」が重要視されている。大石さんは、「自分が発信できる場所と1人ひとりのユーザーさんに思ってもらうために、画面上で色をどう見せるのかは重要だった」と振り返る。具体的には、白を10とした場合、彩度の高いピンクなどを2までに留めるようにしている。これには、どの年代にも受け入れられやすくしたいという狙いがあった。

「stand.fmでは、当初グラデーションを色味を多く使っていたのですが、ユーザーから『鮮やかな色だと自分が表現したい世界観とイメージが合わない』、『若い年齢向けに感じて、自分が発信側になるイメージができない』といった意見が寄せられたんです。それを受けて、白を基調にしたデザインへと改善していきました」

 一方、配信者が映し出す画面には、配信者自らが用意した画像を大きく表示することも可能。これにより、配信者が伝えたい世界観を表現できるようになっているのだ。また、外部SNSに共有された場合にも、stand.fmからシェアした投稿がほかの投稿と混ざっても違和感が出ないよう、色の見せかたを考えたという。

 なお、「InstagramとTwitterでもユーザー層が違うので、シェアした際の見えかたを変えている」とのこと。大石さんは「たとえば、Instagramのストーリーズでもこれならシェアしても良いと思えるデザインを心がけました」と補足した。

2.競争させない

 サービス内で競争させないことも、stand.fmのポイントだ。stand.fmでは、多様なコンテンツを大切にするため、ランキングやフォロワー・フォローの数、再生数など、ユーザーのプレッシャーになりかねない情報を、リスナー側からはあえて確認できないようにしている。

「現状のSNSの課題として、数値化されすぎているという弊害もあります。フォロワー数や再生数を必要以上に意識し、過激なコンテンツが増え、炎上したりギスギスした空気感が漂いがち。そのためstand.fmでは、プレッシャーになる数字を非表示にしています」

 また、配信前の画面で「LIVEの視聴者数はリスナーには表示されません」と配信者に改めてテキストで伝えることで、配信のハードルを下げる工夫も施された。これにより「配信者が本当に配信したいコンテンツを配信できる場所を提供して、それを聞きたい人が集まることで、炎上しにくくなる世界を作っている」のだ。

3.声でつながる

 stand.fmでは配信者が一方通行で話すのではなく、リスナーとのコミュニケーションが取れる設計にもなっているのが特徴だ。アプリ利用者同士がボタンをタップするだけで簡単に声でつながることができる。ひとりで配信するのが苦手な場合も、人と話すことで楽しんで配信を継続できるようになるという。

「他人とのつながりを持ちたいと思っている人に、嬉しい、楽しいと思ってもらえる価値を提供しています。たとえば収録の場合、事前に招待のURLを一緒に話したい人に送り、そのURLを相手がタップすることで最大4人まで収録できるようになっています」

 またライブ配信中は、配信者がボタンをタップし、リスナーに参加リクエストを送信することができる。リスナーがリクエストを承認すると、その場でリスナーがスピーカー側に切り替わりライブ配信に参加できるという機能も用意されている。

「たとえば、リアルなイベントの開催が難しくなったアーティストの方が、こうした機能をファンとの交流に活用していたり、一般の方がライブ配信を行い、参加した人と仲良くなるというケースもあります。なかには定期的にコラボ配信を楽しんだり、stand.fmがきっかけで結婚したユーザーもいらっしゃいます。他人と会うのが難しいいま、stand.fmを通じて、声で誰かとつながっているんだという安心感を生みだすことができていると捉えています」

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