皆さん、はじめまして。動画制作に携わるディレクターのマネジメントや、動画コンテンツの運営を統括しているMIXIの折原です。今回の連載では、エンゲージメントの視点から、プロスポーツチームの公式YouTubeの運営とクリエイティブへの取り組みかたをテーマに、実際に運営を担当するメンバーがお届けします。
近年、YouTubeやTikTok、Instagramなどを活用した「SNSマーケティング」に注力しているスポーツチームが増えています。
最近は「ねぇ、みて!かっこいい!」というような、友達と気持ちをシェアして「好き」が強くなっていく体験が増えていますよね。自分だけで楽しむことも大切ですが、気持ちを共有することで自分の「好き」をより深めていくことも当たり前の時代になりました。
試合以外の裏側や違った一面が見えるコンテンツ展開が、チームとファンをつなぎあわせ、さらに強固なものにしていく――。スポーツの分野も、エンゲージメントの考えかたが非常に大切になっています。
BリーグでSNSに力を入れることの意義
我々が関わっているプロバスケットボールのBリーグには、年間を通じてソーシャルメディアの運用に注力し、結果を出したチームが讃えられる賞があります。
なぜそのような賞があるのか? ここがとても重要です。SNSがチームの評価項目として設定されていることは、昨今のBリーグの盛り上がりにつながっていると考えています。「評価軸となる数字」というよりも、運営側のモチベーションに関連しています。愛のある素敵なコンテンツがSNS上で増えれば、ファンはチームをより近い存在に感じてくれます。そのなかでも、手軽かつ好きなタイミングでワクワクするような体験を提供できるYouTubeは、非常に優秀なツールです。
尺の長い横動画はもちろん、現在はショート動画もあります。当たり前になっているため忘れがちですが、ふたつの動画形式があり、かつ多くの利用者がいるサービスはほかにありません。とくにショート動画は、ある程度かたよりがあったとしても、アルゴリズムが1人ひとりに合ったコンテンツをオススメするため、観たことのないものと出会わせてくれます。実際に、若年層の認知向上や新規ファン獲得などに寄与しています。
私自身、MIXI以外でもさまざまなオウンドメディアを運営してきました。経験上、いちばん難しいのは「継続すること」、もっと極端に言うと「モチベーション」が壁として立ちはだかります。ゼロからメディアを立ち上げると、再生数やPV数は伸びづらい、制作に時間がかかるのにあまり反応もない、でも周りからは数字だけ求められていく……。そうしたつらい悪循環に陥り、必要がないと判断され、気づいたら更新が止まるといった現象をたくさん見てきました。単発ではない、年間を通しての運営・運用が不可欠で、それをしなければ数字はついてこない。この点だけは、最初におさえておくことをオススメします。