今後の展望とあわせて解説 業界の成長と変化に合わせた、VTuberマーケティング戦略とは

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 本連載では、新たなマーケティング施策として注目されている「VTuber」を活用した取り組みにフォーカス。VTuberマーケティングやキャスティング、事業企画などを支援しているuyetの代表プロデューサー 金井洸樹さんが、事例を交えながらその可能性や活用のポイントを解説します。第6回は「業界の未来予測と今後のVTuberマーケティング戦略法」についてです。

国内外で成功事例が増えている「VTuberマーケティング」

 これまで5回にわたってVTuber活用をテーマに執筆をしてきましたが、今回は私が考える「VTuberマーケティングの未来予測とこれからの戦略」についてお話しできればと思っています。

 現在多くの企業や自治体がVTuberマーケティングを取り入れて、さまざまな取り組みを行っていますが、今後もこの動きはまだまだ続くと思っています。企業や自治体によるVTuber活用が増加するなか、近年は国内外問わず、VTuberマーケティングの成功事例も非常に増えてきています。

 たとえば、三重県の観光施設「志摩スペイン村」と国内の大手VTuber事務所「にじさんじ」に所属するVTuberのコラボイベントでは、イベント期間中の来場者数が前年比約1.9倍になったほか、園内で販売するスナックが、一日平均で例年の約33倍となる1,000本ほどの販売数に。この事例はメディアでも取りあげられ、VTuberマーケティングの成功事例として有名な取り組みとなりました。

出典:志摩スペイン村
出典:志摩スペイン村

 また海外ではMLBチーム「ロサンゼルス・ドジャース」と国内の大手VTuber事務所「ホロライブプロダクション」に所属するVTuber3名がコラボイベントを実施。

 会場にはVTuberのコスプレをして来場したり、コラボグッズを求め行列に並んだりするファンの姿がSNSに多くアップされ、コラボイベントが盛り上がりを見せたことが伺えます。

出典:COVER
出典:COVER

ここ数年で広く浸透した「VTuberコンテンツ」

 「VTuberって何?アニメ?YouTuber?」と不思議そうに生配信を観る人が多かった時代から、今では「VTuberって勢いがすごいよね!」と各方面から評価される時代となりました。「VTuber」コンテンツに対して、多くの方が寛容になり、自然と興味を持ってもらえるようになったと実感しています。私たちuyetでも、3年前は取引先の企業さまから「VTuberって何ですか?」と質問を受けていましたが、現在では「VTuberに興味があって」と先方から話を切り出していただけるようになりました。

出典:YouTube
出典:YouTube

 私も7年ほどVTuber業界に携わっていますが、「VTuber」が世の中に浸透してきたのはここ数年だと感じています。それにともない、VTuberを起用した取り組みを行いやすい時代になってきたわけですが、取り組みの事例が急増してきたからこそ、VTuberマーケティングの成功と失敗例をそれぞれ参考にしてもらえたらと思っています。

VTuberマーケティングで陥りやすいワナとは

 VTuberマーケティングを行う際に陥りやすいのは「1回目の取り組みでは成功したものの、2回目の取り組みでは失敗してしまう」というケースです。

 新しいことに挑戦するとき、失敗しないようにと慎重になるケースもあると思います。VTuberマーケティングでも、その企画でPRしたい商品・サービスにぴったり合うVTuberの方をキャスティングしたりと、1回目はとくに慎重かつ十分に考えたうえで取り組みを進めることが少なくないのではないでしょうか。そのためもあってか、1回目の取り組みは成功する場合が多いように思います。

 しかし、1回目とは異なるVTuberさんをキャスティングし企画を実施したところ不発で終わってしまった……。VTuberマーケティングでは、このようなケースが非常に多いです。

 企業側としては「1回目の取り組みが成功したから」という思いでVTuberマーケティングに再度取り組みますが、こういった場合、企画内容や紹介したい商品・サービスと起用するVTuberさんの相性が悪かったり、VTuber業界に需要がない企画内容になっていたり、VTuber業界から見たときに文脈が合っていなかったりといった可能性が高いです。

 つまり、VTuberマーケティングは「1回目の取り組みが成功したから」という実績だけで2回目の取り組みが成功する確証はありません。再度成果をあげるためには、VTuberを活用する文脈を“VTuber業界側から”とらえる必要があるのです。

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