デザインスタジオを内包し、一気通貫の新規事業開発を行う
――最初に、quantumおよびMEDUMの紹介と、皆さんの自己紹介をお願いします。
門田 quantumは新規事業開発を専門にしている会社です。そのなかでMEDUMはquantumのインハウスデザインスタジオとして、お客さまやユーザーとの接点となるプロダクトデザインを行っています。新規事業の構想から最終的なプロダクトへの落とし込みまで一気通貫でできる点が、quantumの強みです。
私はデザインの最高責任者(Chief Design Officer)を務めています。個人としてはインダストリアルデザインのバックグラウンドがあり、デザインファームやパソコンメーカーのインハウスデザインを経て、2018年にquantumに入社。現在はチーム全体を率いる立場として、グラフィックデザイン、アートディレクション、UXといった領域のマネジメントも行っています。

清水 quantumには2017年に入社しました。もともとインダストリアルデザインが専門だったのですが、3年前から新規事業会社の運営に携わるようになり、今年quantumに戻ってきました。この経歴を活かし、ビジネスとデザインの両立、その相互促進を目指してさまざまなプロジェクトに取り組んでいます。モルテンさんと取り組んだ、クルマイスの「Wheeliy(ウィーリィ)」開発では、デザインリサーチを担当しました。
北 私は2020年にquantumに参画し、MEDUMではインダストリアルデザインを軸に、ウェブデザイン、グラフィックデザイン、ときにはアートディレクターとしても活動しています。Wheeliyは2号機の制作から参加しており、インダストリアルデザインやウェブのデザイン、アートディレクションなどを担当しました。
――MEDUMがモルテンさんとWheeliyを共同開発するに至った経緯を教えてください。またどのような体制でプロジェクトは始まったのでしょうか。
清水 2017年にモルテンさんからお話をいただいたのが始まりです。新しい車椅子の開発を目指しており、その時点でもいくつか試作品を作られていたのですが、ビジネスおよびデザインの観点からもう少しブレークスルーがほしいとの思いから、私たちに声がかかりました。車椅子は成熟産業でさまざまなモデルが出揃っているなか、本当にユーザーに喜ばれる新しい機能やコンセプトは何かを探っていくところからのスタートでしたね。

門田 新規事業開発では、最初に事業のアイデア・企画を立案するフェーズがあります。その次に試作を作りユーザーインタビューを実施。さらにフィードバックを受けて調整を行い、量産の設計をして製造・販売となります。私たちがメーカーさんと新規事業開発を行うときには、その工程のなかで互いに「不足しているピース」を出し合い、ひとつのチームを編成します。
Wheeliyの開発では、ビジネスの根幹になるコンセプトや企画を考える部分は、MEDUMおよびモルテンさんからメンバーを出して混合チームに。エンジニアリングに関しては、モルテンさんの素晴らしいエンジニアチームに入っていただき、インダストリアルデザインでは弊社のメンバーを中心にアサインしました。製造・販売はモルテンさんが中心になりますが、ブランディング面は私たちがおもに担当した形です。