Monotype、AIプロジェクト「Human Types」を発表

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2025/06/06 15:00

 Monotypeは、タイプトレンドRe:Vision 2025の一環として、AIプロジェクト Human Typesを立ち上げたことを発表。

 Monotypeのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、Charles Nix氏とPhil Garnham氏が率いるこのプロジェクトは、人工知能(AI)とタイポグラフィの進化する関係について深く掘り下げ、人工知能がタイプデザインをどのように変えているのか、そして人間の創造性がどのような役割を果たしているかを問いかける。

 このプロジェクトは、MonotypeのSina Ott氏、同社のパートナーファウンダリであるBlaze TypeのMatthieu Salvaggio氏、およびMucca、mucca TypoのMatteo Bologna氏の3人が、現代のもっとも注目すべきデザインの話題について、最新の洞察と見解を共有する。

おもなポイント

  • 人間の創造性は依然として不可欠である。Charles Nix氏は次のように述べている。「デザインは動詞です。デザインは人間的です。それは再構成、革新、実行、キュレーションの活動です」
  • AIにもとづくデザインはすでに存在する。Monotypeによる初期の実験は、AIが驚異的な結果を生み出す能力を示しており、さらなる進歩が見込まれる。
  • タイポグラフィの豊富さは新しいツールを必要とする。ますます多くのフォントが登場する中で、AIは完璧なフォントのナビゲーションと選択を支援できる。
  • レタリングがより注目されるようになると予想。美しい文字の形を創り出すAIの技術は向上し続けるため、より表現力豊かなデザインが可能になり。
  • タイポグラフィが個人向けにカスタマイズされていく。AIにより、1人ひとりに合わせたタイポグラフィの体験が提供され、文字との関わりかたが変わっていく。

プロジェクトのハイライト

Sina Ott氏:AIで新しい表現の言語を形成

Monotypeのクリエイティブ・タイプ・ディレクターであるSina Ott氏は、AIがもたらす可能性を探る一方で、AIと人間の創造性の関係を深く探り、デザインにおいて人間の直感と感情がどれほどかけがえのないものであるかを強調。「人間の創造性が革新を推進し、AIがそれを増幅し変化させる」とOtt氏は述べている。

Matthieu Salvaggio氏:AIタイプデザインツールの初期の試み

Blaze Typeの創設者であるMatthieu Salvaggio氏は、β版AIタイプデザインツールを用いて、6つの限定フォントを共同制作した。「AIを生徒に例えるアイデアから大きな刺激を受けました...そして、その意味では良い結果が得られたと思います」とSalvaggio氏は述べている。このコラボレーションは、AIの可能性と現在の限界を浮き彫りにした。

Matteo Bologna氏:Papyrusのジレンマ 

ブランディングエージェンシーMuccaおよびタイプファウンダリmuccaTypoの創設者Matteo Bologna氏は、個人の忘れられた好みを明らかにするAIの影響について想像しながら、その効果を探求した。Bologna氏はAIの広範な知識についてジョークを交えて考え、「もしAIが私の世界を支配したら、Papyrusフォントのようなものをいたるところに見せつけてくれるでしょう」と述べている。

※Papyrus:Chris Costello氏によってデザインされた書体のこと

 Human Typesは、人間のデザイナーとAIが協力して進化していく関係を示すプロジェクト。このプロジェクトは、創造的なプロセスの中心に人間を置くことを重視しており、AIを単なる手段ではなく、協力と向上を促す道具として位置づけている。Sina Ott氏は、「AIと一緒に働くことで、私たちはただ文字を制作するだけでなく、新しい表現の言語を創り出します」と述べている。これは、AIを使って新しい方法でクリエイティブな作業を行うという考えを強調している。