インプレス総合研究所は、動画配信ビジネス市場の動向を調査。動画配信に関する調査結果を発表した。なお、同調査結果の詳細は新産業調査レポート「動画配信ビジネス調査報告書2020[With/Afterコロナで変わる社会、動画配信の今後を占う]」として発行し、2020年7月17日(金)に発売(予約受付中)される。同調査の注目すべき主な結果は、次のとおり。
映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査の注目ポイント
外出自粛期間に「無料動画を見る」が増えた人が「テレビ番組を見る」が増えた人を上回る
スマートフォン利用者を対象に、新型コロナウイルス感染症拡大のため外出自粛により在宅時間が増えたことで、どのような活動が増加したかを聞いたところ、「無料の動画を見る」が27.5%でトップとなった。次いで、「テレビ番組を見る」が26.3%。以下、「掃除や片づけをする」「インターネットでの情報収集」「料理をする」と続く。
ネット動画をよく視聴する人が大幅増加、DVD視聴は減少
普段よく視聴する映像・動画の種類を聞いたところ、「リアルタイムのTV番組」が69.6%でもっとも高く、「録画したTV番組」が54.4%で続き、放送によるTV番組がTOP2に。次いで、YouTubeなどの「動画共有サービス」の41.9%、TVerなどの「無料の動画配信サービス」が28.6%となっており、TVに次いで無料のインターネット動画がよく視聴されていることがわかった。
昨年調査時点から上位の順位の変動はないが、「動画共有サービス」「無料の動画配信サービス」「有料の動画配信サービス」などインターネット上の動画の利用が大きく伸びる結果に。同調査の実施が2020年5月下旬ということもあり、外出自粛により動画に対する需要が高まったことや、各サービスから在宅支援のために数多くの良質な動画が無料で提供されたこと、一般消費者の可処分時間の増加などが大きな要因になっていると推察される。
一方で、性年代別に見ると、男性10代、男性20代、女性10代ではYouTubeに代表される「動画共有サービス」がもっとも高い比率となっており、「リアルタイムのTV番組」や「録画したTV番組」を上回る。昨年は、男性10代だけが「動画共有サービス」がもっとも高い状況だったが、本年の調査では、男性20代、女性10代にまで広がった結果となっている。
有料動画配信サービスの利用率は4.3ポイント増の21.5%に
有料動画配信サービスの利用率は21.5%となり、昨年から4.3ポイント増加。外出自粛による巣ごもり需要が拡大したことや、1年を通して各サービスでTVCMなどのプロモーションがより一層強化されたこと、各サービスで話題となるオリジナルコンテンツが配信されていること、見逃し配信の浸透による認知度の向上などの要因から利用率、利用経験者の比率が伸びたと考えられる。
動画配信サービス利用者の利用状況調査の注目ポイント
Amazonプライム・ビデオが突出、NetflixとU-NEXTが躍進
有料動画配信サービス利用者を対象に、利用している有料の動画配信サービスを調査した結果、トップは「Amazonプライム・ビデオ」が67.9%となり、昨年から5.2ポイント増加している。2位には「Netflix」の19.5%、3位には「Hulu」の12.4%が続いた。「Amazonプライム・ビデオ」の利用率が大きく増加するなか、「Netflix」と「U-NEXT」の躍進が注目される。
有料動画配信では「洋画」や「邦画」、無料動画配信では「日本のドラマ」、動画共有では「音楽」
どのようなジャンルの動画がよく視聴されているのか、有料動画配信サービス利用者、無料動画配信サービスまたは動画共有サービスをよく利用する人を対象に調査。
有料動画配信サービスでよく視聴されるのは、国内外の映画や「日本のドラマ」、「アニメ」で、これらのジャンルが高い比率で人気となっている。一方、無料動画配信サービスでは「日本のドラマ」が特に高い人気であり、アニメ、バラエティが続いている。
それに対し、まったく傾向が異なるのが、YouTubeに代表される動画共有系のサービスで、「音楽」が突出してよく視聴されている。また、「ゲームの実況や攻略」「◯◯してみた」といった独特のジャンルも人気だという。
動画共有やSNSの動画が上位、TVer、GYAO!、ABEMAが続く
無料の動画配信サービス、動画共有サービスをよく視聴すると回答したユーザーに対して、利用しているサービス名を聞いたところ、「YouTube」が96.5%で突出し、SNSの「Twitter」「LINE」「Instagram」が続いた。以下、動画共有サービスの「ニコニコ動画」、無料の動画配信サービスである「TVer」「GYAO!」「ABEMA」の順となっている。
調査概要
映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査
調査対象
NTTコム リサーチの保有する消費者モニター
有効回答数
24,660サンプル
サンプリング
性年齢階層別インターネット利用人口構成比(総務省 通信利用動向調査)に可能な限り整合するように抽出。集計は、年代により回収率が異なっており、母集団との乖離がみられるため、性年齢階層別インターネットの利用人口構成比に整合するように比重調整(ウェイトバック)を行ったうえで分析。
調査手法
PC上でのウェブアンケート
調査期間
2020年5月18日~20日
動画配信サービス利用者の利用状況調査
調査対象
上記の映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査にて、次の回答をした人
- 3ヵ月に有料動画配信サービスを利用していると回答
- 無料動画配信サービスをよく視聴すると回答
- 動画共有サービスをよく視聴すると回答
- 有効回答数:1,654回答
うち、
- 有料動画配信サービス利用者1,085回答
- 無料動画配信サービスをよく視聴する利用者781回答
- 動画共有サービスをよく視聴する利用者1,032回答
※上記の「映像・動画全体の視聴状況と有料動画配信サービスの利用率調査」で得られた性年代別利用者構成にできるだけ整合するように抽出
調査手法
PC上でのウェブアンケート
調査期間
2020年5月22日~26日