成長産業支援事業を推進するフォースタートアップスは、継続的に国内スタートアップ動向に関する調査を行い、同社サービスである「STARTUP DB(スタートアップデータベース)」に調査結果を公開している。今回は、2020年1月から7月までを対象とした「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」を発表した。
同ランキングでは、Mobility Technologiesが総額225億7,500万円の資金調達を実施。2020年の累計資金調達金額は266億2,500万円となり、ランキングTOPに躍り出た。また、新たにアンドパッド、ispace、モンスター・ラボの3社がランクイン。そのほか、先月のランキングでは13位だったLooopが30億円を調達し、4位に浮上となった。
モビリティDXカンパニーであるMobility Technologiesは、NTTドコモ、東京センチュリー、電通グループおよび電通との資本業務提携を行い、総額225億7,500万円の資金調達を実施。2020年累計資金調達金額では266億2,500万円となった。2019年通期での累計資金調達金額でも、200億円を突破した企業はEPARK1社であることから、今回の資金調達の規模が突出していることがうかがえる。Mobility Technologiesの設立からの累計資金調達金額は、395億2,500万円となっている。今後同社は、スマートシティにおけるモビリティサービスやデータサービスの実現、さらには自動運転サービスの実現に向けて取り組んでいく見込みだという。
Looopは、再生可能エネルギーを中心とした電力小売事業を展開するスタートアップ。発電記録、小売先の利用状況を基にした独自の需給管理システム「Looopでんき」や自然エネルギーを100%利用したモバイルバッテリー「Looop Charge」などを手掛ける。2020年4月30日に三菱UFJ銀行を引受先とした30億円のグリーンボンド債(環境改善効果のある事業に限定した社債)による資金調達を行ったことが明らかになった。加えて、6月30日には28億3,000万円の第三者割当増資を行っており、引受先はENEOS、NECキャピタルソリューション、双日、日本グリーン電力開発、ほか1社の合計6社となっている。
施工管理・業務管理システムを手掛けるアンドパッドは、既存投資家であるグロービス・キャピタル・パートナーズ、DNX Ventures、セールスフォース・ドットコム、BEENEXTの4社を引受先とした40億円の資金調達を実施し、10位にランクイン。今回調達した資金は、人材採用・建設業のデジタル化推進の強化のために充当していく方針とのこと。
民間による月面資源開発に取り組む日本発の宇宙スタートアップispaceは、14位に新規ランクイン。登記簿情報より、29億9,999万円の資金調達をしていたことが明らかになった。同社は今回を含め、創業以来およそ135億7,000万円の資金を集めており、2018年までにシリーズA国内過去最高額となる103億5,000万円の資金調達を実施。また、2020年8月の国内スタートアップ想定時価総額ランキングでは18位にランクインしており、想定時価総額は438億円と、宇宙領域ではアストロスケールホールディングスに次ぐ時価総額となっている。
20位には、デジタルコンサルティング事業やプロダクト事業を展開するモンスター・ラボがランクイン。同社は、全世界に1,200人を超えるメンバーを有するグローバル企業であり、世界15ヵ国・26都市に拠点を構える。前回ラウンド調達以降、2020年7月末までに、7つのファンドおよび事業会社を引受先とした約42億円の資金調達を実施したことを発表。登記簿情報によると、今年に入って調達した金額はおよそ26億円であることが明らかになっている。
ランキング上位5社のうち、3社は環境・エネルギーが占める
カテゴリー別では、金融が5社ともっとも多く、環境・エネルギーが3社、医療・介護とその他の2社がこれに続く。
環境・エネルギー領域では、電力コストの経営課題を解決するVPP Japan、次世代リチウムイオン電池のAPB、前述したLooopが名を連ねた。この3社は資金調達ランキング5位までにランクインしており、いずれも今年に入って50億円以上の資金を集めている。
金融の5社を除いて、突出して社数の多いカテゴリーがないことから、さまざまな分野の企業が大型調達していることがわかる。
調査概要
- 調査内容:「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」
- 調査期間:2020年1月から7月まで(2020年8月6日時点)