大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、合同会社AKIBA観光協議とともに、リアルとバーチャルの融合による地域共創型XRまちづくりとして推進する「バーチャル秋葉原」を2022年4月1日にオープンした。
生活者はPC用のアプリやVRゴーグル、ウェブブラウザを通じて、世界中のどこからでもいつでも秋葉原の魅力を楽しむことができる。バーチャル空間に、買い物ができる店舗やギャラリースペース、広告用サイネージを設け、コンテンツホルダーをはじめとする多様な企業が、リアルのみ、オンラインのみに続く“第三のチャネル”として情報発信や販促活動などに活用することが可能。
「バーチャル秋葉原」開発の背景と概要
コロナ禍でインバウンド需要が減少する中、秋葉原ならではのコンテンツを創出して国内外に安全・安心に情報発信することや、クリエイターが活躍できる新たな場の構築、新しいコミュニケーションの創出などが課題となっている。また、DNPは2021年から、リアルとバーチャルを融合する「XR(Extended Reality)」の技術を活用し、自治体や施設管理者公認の空間を構築・運用するXRコミュニケーション事業を推進している。
DNPは地域活性化を目指す“地域共創型XRまちづくり”の一環で、千代田区、千代田区観光協会、AKIBA観光協議会の協力のもと、地域の課題解決につながる空間開発や機能設計を行っている。「バーチャル秋葉原」では、地域の事業者の賛同を得ながら、メインストリートのひとつ、中央通りの万世橋から神田明神下交差点までのエリアや「神田明神」をバーチャル空間に再現した。この空間では実際の店舗をバーチャルショップとして活用できるほか、中央通りの空中にギャラリースペースを設けるなど、バーチャルならではの拡張も行っている。街の魅力のひとつである「サブカルチャー」や歴史ある「神田明神」の魅力を国内外に発信するとともに、地域・企業・クリエイター・ファンをXRでつなげることで地域経済の活性化を促し、コンテンツ市場のさらなる拡大と新たな“秋葉原ファン”の創出を図る。
「バーチャル秋葉原」のポイント
1.リアルな街並みとバーチャルショップ
秋葉原の景観の特徴である商標の看板なども、地域の事業者の協力によって再現。一部のバーチャルショップでは商品などの陳列ができるスペースを設け、ECサイトに誘導して購買につなげることも可能。
2.アバターが集える大型モニターやギャラリーを配置
空間内には、利用者の分身であるアバターが集まり同時に映像を視聴するウォッチパーティーのモニターや、商品・作品が展示できるショップやギャラリー、広告サイネージなどを配置。企業はコンテンツを提供し、実装するだけでバーチャル秋葉原に参画できる。
3.アニメ・マンガの知的財産(IP)の二次創作を可能とするビジネススキームを構築
アニメやマンガのIPの取り扱いのほか、コンテンツホルダーとの新たな取り組みとして、クリエイターによる同IPの二次創作を可能とするビジネススキームを構築し、空間内で展示販売。コンテンツはNFT(非代替性トークン)で管理し、健全な創作ビジネスの循環を実現する。
4.グローバルファンへの認知集客
北米を中心としたアニメファンが交流するMyAnimeList(マイアニメリスト)と連携し、海外アニメファンの集客を行い、世界中のアニメファンの交流の場をつくる。また海外のクリエイターとファンが集うMediBang(メディバン)と連携し、クリエイターによる二次創作作品の展示販売を行うなど、海外ユーザーに向けた認知拡大を行う。
公開予定コンテンツ
さまざまなIPとコラボレーションしたイベントやIPの二次創作プロジェクトを順次展開していく予定。
電音部×バーチャル秋葉原 supported by ASOBISTORE(4月6日迄公開予定)※ウェブブラウザ版のみの公開
バンダイナムコエンターテインメント公式エンタメコマースサイト「アソビストア」がバーチャル秋葉原に出店し、ダンスミュージックをテーマにした音楽原作キャラクタープロジェクト「電音部」の商品をバーチャル空間内のショップで販売。また空間内のビジュアルジャック、コンテンツ視聴できるウォッチパーティーを予定している。
「昭和百年展」(4月10日より公開予定)
東京アニメセンター in DNP PLAZA SHIBUYAと名古屋PARCOで実施した新進気鋭のクリエイター21人によるアート展の作品を「バーチャル秋葉原」にて展示。作品をモチーフにしたグッズ販売なども予定している。
細田守監督最新作・映画「竜とそばかすの姫」BD・DVD販売記念企画(4月中旬以降公開予定)
BD・DVD販売に合わせて、作品の魅力を訴求する場面写真の展示やプロモーション動画の配信を予定。 リアルな家電量販店と連動した販売企画も予定している。
「神田明神」歴史紹介(4月中旬以降公開予定)
神田明神の境内を散策できるVR空間を一般公開。神田明神や東京の歴史文化を知る史料展示などを予定している。
「バーチャル秋葉原」の動作環境 : PC用のアプリまたはウェブブラウザで利用できる。
- アプリ版 : DMMの「Connect Chat」で利用できる。Windows PCおよび一部VRゴーグルに対応。
- ウェブブラウザ版 : PCまたはスマートフォンのブラウザで利用できる。
- バーチャル秋葉原公式サイト:https://www.virtual-akihabara.com/
今後の展開
DNPはAKIBA観光協議会と「バーチャル秋葉原」委員会の参加企業・団体や協業パートナーとの連携のもと、空間の活用プランやサービスメニューを拡張するなど、企業やクリエイター、ファンが「バーチャル秋葉原」に参加しやすい環境を整備していく。
また「ジャンク通り(通称)」や「駅前広場」などの空間の拡張を行い、幅広く秋葉原の魅力を発信すると同時に、XR技術を通じてリアルな秋葉原との連動を強化することで、さらなる地域活性化を目指す。