SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング研究機関『SHIBUYA109 lab.(シブヤイチマルキューラボ)』は、15〜24歳のZ世代を対象に、外部調査パネルによるウェブ調査と同機関の独自ネットワークによるインタビューから、「Z世代の映像コンテンツの楽しみ方に関する意識調査」を行った。
同調査結果の詳細は、次のとおり。
「倍速視聴」するのは約半数 Z世代が気にする本当の“タイパ”とは
Z世代の約7割が何かしらのサブスクリプションサービス(以下、サブスク)を利用し、サブスク登録者のうち74.1%が動画配信系サブスクに登録している昨今、「テレビ離れ」「倍速視聴」など、彼らの映像コンテンツの視聴態度がたびたび話題になっている。
今回のSHIBUYA109 lab.の調査では、Z世代の映像コンテンツの視聴態度について、徹底調査を実施した。
動画配信系サブスクなど、低価格で大量に映像コンテンツを見られる環境が整うにしたがって“タイパ(タイムパフォーマンス)”が重要視されるようになり、85.0%のZ世代が「タイムパフォーマンスを重視する」と回答した。
視聴態度の詳細を見てみると、「ながら見(別の作業をしながら映像を見る)」するZ世代が81.3%、「倍速視聴」は48.6%、「スキップ再生(映像を飛ばしながら見る)」は51.5%、「ネタバレ視聴(作品を楽しむ前にある程度の内容を把握しておく)」は44.3%という結果に。
さらに、時間に対する価値観について質問すると、タイパを重視する理由として「自分が価値を感じるコトに、時間を割きたいから」という回答が49.3%でもっとも多く、「世の中のあらゆることを効率化したい」という回答(30.8%)よりも高い数値となった。
グループインタビューでも、「何回も見たい作品があるが、家庭用録画機器だと記録容量を食ってしまうので、サブスクに入っている」「一回見れば満足な作品と、何回も見たい作品がある」など意見が聞かれ、すべての映像コンテンツをできるだけ効率化して見たいというわけではなく“自分の好きなものにできるだけ時間をかけたい”と考えており、時間の使い方に関してもZ世代の『メリハリ消費』の価値観が表れていることがわかる。常にコンテンツ過多の状態であるZ世代が、取捨選択して効率的にコンテンツを視聴する方法については「動画は1.25倍速で見る。ほかにやりたいこともあるし、長い話は省略したい」「特にタイパを良くする方法を調べたことはないが、『別の作業をしながら動画も見れる』と気づき、実践している。トリートメントしながら動画を見るなど、日常的にタイパを意識している」という声があった。
ここから、コンテンツ消化のための工夫は生活のなかで、ごく自然に行われていることがうかがえる。
一方で、「ドラマやアニメなど何話まで見ていたか分からなくなることがある」と回答したのは65.8%、「観たことはあるが内容を覚えていないような映画やドラマがある」は72.6% 、「常に見たいコンテンツがあり追いつかない」が70.8%となっており、大量の映像コンテンツを消費し続ける弊害もいくつか見受けられた。
「視聴したコンテンツをシェアする」が約7割 Z世代がサブスクを使う“コスパ”以外の理由
Z世代の消費傾向として、タイパと同じく「コスパ重視」の姿勢も注目されている。実際に「コストパフォーマンスについて考える」Z世代の割合は92.0%に。
「コスパ」という言葉についても、「コスパが良いと感じるのはどんな時か」という質問に対し、「料金が安い」(69.3%)に次いで、「1度買えば長く使える・長い時間楽しめる」(41.3%)、「浮いたお金で自分の趣味に充てられる」(33.5%)が多くなり、コスパを時間で捉えているほか、より好きなものにお金をかけるための節約と考えていることがわかる。
一方で、動画配信系のサブスクを選ぶ基準に関しては「コスパが良い(25.8%)」「価格が安い(23.3%)」よりも、「サービスに魅力を感じる(38.8%)」「好きなジャンルのコンテンツが充実している(35.3%)」が上位にあがった。
「動画配信系サブスクの魅力は何か」という質問の回答も、「自分の好きな時間に視聴できる(50.3%)」、「CMがない(39.0%)」「暇つぶしになる(34.3%)」が上位となり、やはりコスパは関係なく、動画配信系のサブスクだからこそ享受できる視聴スタイルに魅力を感じていることが推察される。
グループインタビューでも、「どちらかというとサブスク登録は、お金の節約というよりもエンタメを楽しむための出費として考えている」「サブスクは、これまでなら知らなかった作品にレコメンドで出会えるので価値がある」「普段は見ない古い作品も簡単に見られるのがサブスクのいいところ」という意見が聞かれ、サブスクはコスパの良さではなく、サービスの魅力に惹かれて利用されていることがわかった。
サブスクを解約しない理由を聞いた質問では、「今のサービスに満足している」が71.3%となり、次点の「金額が高くない」(17.8%)という理由を大きく超えてもっとも高い数値となった。グループインタビューでも、「レコメンドされる作品がこれまでの閲覧履歴に紐付いて決められ、アカウントが自分好みに育っており、リセットされたくないので退会しない」「見たいドラマを見つけたときにサブスクに入っていなくて見られない状態になるのが面倒なのでずっと入っている」などの意見が聞かれた。
また、「動画配信系サブスクについて周囲と共有することはあるか」という質問に対し、周囲と共有するという回答を選んだのは7割以上。「話題作は友達とのコミュニケーションのきっかけになっている」と回答したのは73.3%で、動画配信系サブスクは、ひとりで映像を楽しむのはもちろん、コミュニケーションのきっかけとしても役割を果たしていることが判明した。
また、グループインタビューでも、「サブスクの作品だと(あとから見られるので)友達に紹介しやすい」「見ている番組をInstagramのストーリーズにアップして、そこから時々『私もそれ見たよ』という話題になるのが楽しい」「会話のネタとして話題の作品を見ている。初対面の人とでも、コンテンツの話なら盛り上がれる」といった声が聞かれ、動画コンテンツは、サブスクに登録するモチベーションになるほか、コミュニケーションのきっかけに活用されていることがわかる。
「友達などが観ているコンテンツを視聴する」という回答も68.8%となり、友達とのコミュニケーションがきっかけで、動画コンテンツの視聴を開始することもある様子だった。
アンケート調査概要
WEB調査
- 調査期間:2022年7月
- 調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用(SHIBUYA109 lab.調べ GMOリサーチ プラットフォーム利用の調査)
- 居住地:一都三県
- 性別:男女
- 年齢:15~24歳
- 対象:高校生・大学生・短大・専門学校生
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回答者数:400名(男性200名/女性200名 ※ 動画配信系サブスク登録者)
※スクリーニング設問の回答者数はn=945(男性:459/女性:486)
SHIBUYA109 lab.による定性調査
グループインタビュー(対象者条件:大学生 男子4名、女子4名 2G 合計8名)