ヤマハ、新開発のAI合成エンジンを搭載した「VOCALOID」新バージョンを発売

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2022/10/17 07:00

 ヤマハは、バーチャルボーカル制作の総合ソリューションを提供するソフトウェア「VOCALOID」の新バージョンである「VOCALOID6」を発売した。同製品はダウンロード専用となっており、ボーカロイド公式ショップより購入できる。また、VOCALOID3以降のソフトウェア購入者を対象としたバージョンアップグレード版も用意している。

 「VOCALOID」は、イメージにあった歌声を作り出すことが可能なソフトウェア。現在、同ソフトウェアを用いて制作された楽曲は「ボカロ曲」と呼ばれ、新世代の音楽として全世界のリスナーから支持され、高い人気を誇っている。

 4年ぶりの新バージョンとなった同製品では、AI技術を用いた新合成エンジン「VOCALOID:AI」を搭載し、よりナチュラルで表現力豊かな歌声合成を実現。アクセントやビブラートといった歌唱表現を素早く調整できる編集ツールを新たに採用したほか、豊かな表現を生み出す制作手法である「ダブリング」や「ハモリ」を瞬時に作る機能を追加した。

 VOCALOID:AI対応のVOCALOID6専用ボイスバンクでは、クリエイター自身の歌唱データをもとに歌い方や歌詞を再現できたり、ひとつのボイスバンクで日本語や英語を織り交ぜた歌詞を流暢な発音で歌わせたりできるように。言葉の壁を超えた作曲活動やボーカルパートの新たな制作方法を提案することで、クリエイターの制作意欲を後押しする。

 また、VOCALOID3以降のすべてのボイスバンクとの互換性を担保しており、お気に入りの歌声はそのままに、「VOCALOID6」の機能を使用して、より豊かな表現を追求することができる。さらに、現代クリエイターの多様な制作環境を考慮し、新たにARA2(Audio Random Access)にも対応し、音楽制作ソフトとの連携を強化。音楽制作ソフトのCubase AIも付属しており、購入したその日から音楽制作も楽しむことができる。

概要

  1. ナチュラルな歌声を実現させる新開発の歌声合成エンジン「VOCALOID:AI」
  2. より容易に、より豊かな歌唱表現を生み出す編集ツールとTAKE機能
  3. クリエイターの歌い方を、ボイスバンクで再現するVOCALO CHANGER機能
  4. 多言語の歌詞を自然に歌わせるマルチリンガル歌唱

 同ソフトウェアのおもな特徴は次のとおり。

1.ナチュラルな歌声を実現させる新開発の歌声合成エンジン「VOCALOID:AI」

VOCALOID:AIは、実在の歌手の音色や歌いまわしなどの特徴を学習したデータを基に、入力されたメロディーと歌詞に応じた歌い方を推定して歌声を合成します。従来と変わらない基本操作で、今まで以上に音程や音色の変化、発音が滑らかになった高品位な歌声を用いた音楽制作を楽しめます。

2.より容易に、より豊かな歌唱表現を生み出す編集ツールとTAKE機能

VOCALOID6専用ボイスバンク用に、しゃくりやビブラート、タメといった歌唱表現を、音符と音声波形、音程を現すカーブ曲線を見ながら素早く調整できる新たな編集ツールを採用した。さらに、一般的なボーカルトラック制作の手法であるダブリングやハモリパートを素早く制作する「TAKE 機能」も搭載。クリエイターが思い描く歌い方を素早く、見た目でもわかりやすくディレクションできるようになった。

3.クリエイターの歌い方を、ボイスバンクで再現するVOCALO CHANGER機能

クリエイターの歌唱オーディオデータ(WAV)を取り込むことで、歌詞や歌い方をそのままVOCALOID6専用ボイスバンクで再現する「VOCALO CHANGER(ボカロチェンジャー)」機能を実装。楽譜や歌詞を入力することなく、オーディオデータでボーカルパートを制作する新たな手法だという。

4.多言語の歌詞を自然に歌わせるマルチリンガル歌唱

VOCALOID6専用ボイスバンクでは、日本語・英語を織り交ぜた流暢な歌唱を可能とするマルチリンガル機能を使用可能(中国語も対応予定)。従来は言語ごとにボイスバンクが別れていたが、VOCALOID6専用ボイスバンクでは歌詞に英語を入力すれば、自動的に言語を判断して英語の発音で歌わせることができる。これにより、クリエイターの言語にとらわれない自由な作詞活動をサポートする。