アドビは、Adobe Fireflyの機能「Generative Recolor」を初めてAdobe Illustratorに搭載したことを発表した。これらの機能は、デザイナーが簡単なプロンプトを入力するだけで瞬時にさまざまな色のバリエーションを検討できるようにするもので、当初は英語版のベータ版として提供されます(日本語版は後日搭載予定)。今回の新機能は、スキルレベルを問わず、すべてのクリエイターに副操縦士として「Adobe Firefly」を提供し、クリエイティブなビジョンを想像力のスピードそのままに具現化するという、アドビのビジョンををさらに推進するもの。
アドビのクリエイティブなジェネレーティブAI「Adobe Firefly」を搭載した「Generative Recolor」は、ベクターアートワークの配色を瞬時に変えられるツールで、これまでの手作業を自動化し、反復改善を容易にする。これまで企業は、新しい製品パッケージの開発、ブランディングを再構築する際のロゴ配色の検討、webサイトのリニューアルなどのたびに、候補となる色のバリエーションをすべて手作業で作成していた。Adobe Fireflyの高度な技術により、こうしたプロセスはスピードアップし、デザイナーはよりクリエイティブでやりがいのあるほかの作業に時間を割くことができるようになる。
アドビには、過去10年以上にわたって数々のAIイノベーションを開拓し、Adobe Creative Cloud、Adobe Document Cloud、Adobe Experience CloudにAdobe Senseiを搭載した何百ものインテリジェント機能を導入してきた実績がある。今年3月にリリースされたAdobe Fireflyは、当初は画像とテキストエフェクトの生成に焦点を当てており、今年5月にはAdobe Fireflyを搭載した「生成塗りつぶし(旧名:ジェネレ―ティブ塗りつぶし)が新機能としてAdobe Photoshopに導入され、ユーザーは3週間で1億5,000万枚以上の画像を作成した。
アドビのデジタルメディア担当シニア バイス プレジデント アシュリー スティル(Ashley Still)氏は次のように述べている。「Adobe Illustratorは、ブランドロゴから製品パッケージまで、世界中の最も成功したデザインの数々を支えてきたツールです。Adobe Fireflyは、ユーザーのクリエイティブのプロセスであるアイディア出し、試作、アセット類の制作を加速しつつ、計り知れないほどの時間を節約することで、新たなデザインの可能性を促進します。」
Adobe IllustratorへのAdobe Fireflyの搭載は、さらなるスピード、精度、パワーであらゆるクリエイティブワークフローを向上させるというアドビの全社的な取り組みを反映している。Adobe Fireflyは、クリエイターのワークフローに直接組み込むことができ、商用利用にも安全に使用できるよう設計されている。
企業は、自社ブランドのアセットでAdobe Fireflyをカスタムトレーニングし、APIを使用してブランド独自のスタイルとブランド言語でコンテンツを生成し、自動化を促進することができる。また、Adobe Fireflyを利用したワークフローで生成されたコンテンツについて、アドビから知的財産権に関する補償を受けることができるため、安全に組織全体に展開することができる。
イメージを言葉で表現してベクターアートに反映できる「Generative Recolor」
発表された「Generative Recolor」は「正午の砂漠」や「真夜中のジャングル」のように、言葉で表現されたイメージの本質を捉えてカスタムするカラーテーマを生成し、ベクターアートワークに適用する。シンプルなテキストプロンプトの入力だけで、複雑なベクターグラフィックに自動的にカラーを一斉適用できるこの先進的な機能により、アーティストは個々のベクターを手動で修正する必要がなく、時間を節約できる。
これにより、ブランドアイデンティティから広告・マーケティング用のグラフィック、デジタルドローイングやイラストレーション、インスピレーションやムードボードの作成まで、クリエイティブなプロセスを効率化。デザイナーは、ひとつの製品パッケージデザインからいくつものカラーバリエーションを作成してテストしたり、特定の季節や祝日ごとに異なるバリエーションの広告を作成したり、無数のカラーコンビネーションによるイラストの制作が可能になる。
Generative Recolorの新機能は次のとおり。
- テキストプロンプトでの配色: シンプルなテキストプロンプトの入力だけで高度なグラフィックの再配色を素早く行えるため、時間の節約に。
- カラーの探索と適用が手軽に:さまざまなカラー、パレット、テーマを手軽に試し、アートワークに適した見た目や雰囲気を実現。
- カラーバリエーションをいくつでも生成可能: ひとつのアートワークから無数のカラーバリエーションの生成により、アートワークのSNS、印刷物、ウェブでの展開を促進。
Adobe Illustratorのその他の新機能
最新バージョンのAdobe Illustratorには、「ReType(フォントの再編集)ベータ版」、新しいレイヤー機能、画像トレース機能の強化などの新機能も含まれており、アートワークをこれまで以上にスピーディかつ簡単に作成できるようになった。
提供時期
最新バージョンのAdobe Illustratorは、新しいレイヤー機能や画像トレース機能の強化も含め、公開を開始している。また、Adobe Fireflyの機能「Generative Recolor」は英語版のIllustrator(ベータ版)として搭載される。日本語版への搭載は後日を予定しております。また新機能の「ReType(フォントの再編集)」は、日本語版でもベータ版として搭載されている。