大日本印刷株式会社(DNP)は、インターネット上の仮想空間「メタバース」を活用して、自治体が抱える「地域の魅力発信」「産業振興の促進」「相談業務の支援」「地域コミュニティーの活性化」に寄与するパッケージサービスの提供を開始する。
DNPは2021年から、リアルとバーチャルの空間を融合する「XR(Extended Reality)」の技術を活かし、新しい体験と経済圏を創出する「XRコミュニケーション事業」を展開。また、人々がいつでも簡単かつ安全・安心に楽しめる空間を構築するXRロケーションシステム「PARALLEL SITE(パラレルサイト)」も提供していく。今回、これらの機能を活用して、地域の課題解決に向けて簡易的な実証段階から利用できるサービスを開発し、全国の自治体向けに提供する。
自治体向けパッケージサービスの概要と特徴は次のとおり。
1.自治体向けに4つの課題に対応したパッケージにしたサービス
(1)地域の魅力発信
メタバース内で、地域の観光資源をより深く知ることができる謎解きイベントや、地域の歴史・文化をテーマとした生涯学習を行うなど、幅広い分野での多様な企画の実施を支援。メタバースならではのインタラクティブな体験により、各地域に対する利用者の興味・関心を高める。
(2)産業振興の促進
メタバースでショールームや期間限定で開設するポップアップストアなどを構築し、地域の商品・サービスの販売や催事・イベントの開催などを支援。また、自治体内の小中学生を対象に、地元企業の職業体験の機会を提供して、その魅力を感じてもらうなど、シビックプライドの醸成につなげる企画もサポートする。
(3)相談業務の支援
セキュリティ性の高いメタバース空間で利用者の匿名性を確保することで、暮らしや子育てなどの相談業務にも対応できるように支援。チャットなどのテキストだけのコミュニケーションでは、相談内容の意味やニュアンスが伝わりにくいこともあるが、利用者が自身の分身となるアバターを活用することで、相談の効果をより高めていくことにもつながる。
(4)地域コミュニティーの活性化
場所や時間等の制約が少ないメタバースに、地域の住民や関係者を集めることで、お互いの交流を促進。自治体およびその地域の人々と気軽に関われる関係人口を増やすことで、対象地域への高い関心および帰属意識の醸成などにつなげていく。
2.多様なコミュニケーション機能の利用も可能
画像・動画コンテンツの掲出、音声でやり取りできるボイスチャット、「楽しい」「すてき」などのスタンプによる利用者の感情の表現など、さまざまなコミュニケーションの機能をメタバース内で利用できる。
3.メタバースの構築運用で得たノウハウを提供
DNPは、自治体と連携して「渋谷区立宮下公園Powered byPARALLEL SITE」や「札幌市公認PARALLEL SAPPORO KITA3JO」、「バーチャル秋葉原」、「デジタルモール嬉野」などのメタバースを構築してきた実績がある。DNPは自治体などがメタバースを本格導入する前の実証実験の企画設計から、空間の構築、本格的な運用まで、ワンストップで支援する。
今後の展開
DNPは引き続き、自治体の各部署が抱える課題に対応した新たな機能・サービスなどを開発・拡充することで、地域の課題解決や創生に貢献していく。