アクセンチュアがライフ トレンド2024を発表 生活者の価値観の変化、生成AI、イノベーションによる変革を予測

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2024/03/04 11:00

 今年17回目となるアクセンチュアの年次レポート「アクセンチュア ライフ トレンド2024」によると、世界の半数の人は、結婚や学位の取得を後回しにする、また仕事の安定や引退も検討するなど、人生の目標を大きく転換させている。また、48%の人々は自らの将来の計画を1年以上先まで立てない、あるいは全く計画しないと回答している。

 急速なテクノロジーの進歩による環境の変化を受け、生活者の考えかたも変化している。これまで当たり前とされた常識を見直し、再構築して自らの居場所を見つけようとしており、こうした動きは社会を揺さぶり、企業に不確実性と脆弱性をもたらしている。

 アクセンチュア ソングのグローバル・サステナビリティ・リードであるマーク・カーティス(Mark Curtis)氏は、次のように述べている。「生活者の価値観の変化、AIの躍進、そして絶え間ない変化のスピードに促され、私たちは再構築の10年を迎えようとしています。そして経営者は、どこから再構築に取り組むべきかという問いに直面しています。まずは自社の優位性を正しく理解したうえで、人の創意工夫や独創性を追求することが重要です」 

 「アクセンチュア ライフ トレンド2024」では、企業が顧客からの共感の創造とビジネスの成長を両立させるべく、5つの世界的かつ大局的なカルチャートレンドを解説している。

1.愛を取り戻せ

 顧客体験と収益成長には相関関係があるという考えのもと、企業はあらゆる意思決定の中心に顧客を据えてきた。しかし、今や経済的な理由で企業はコスト削減を余儀なくされ、値上げや品質の低下、サブスクリプションの乱立、顧客サービス品質の低下など、さまざまなチャネルで顧客との間に摩擦を引き起こしている。顧客の半数近くが、カスタマーサービスへのつながりづらさや不十分な対応に不満を感じている。

 品質低下や内容量の減少(シュリンクフレーション)、サービス品質の低下(スキンプフレーション)、過度なサブスクリプション化などが重なり、ブランドは静かに信頼を失いつつある。こうした傾向の中心にあるのは、企業と顧客の認識のズレである。企業にとってはこれらが生き残りの施策であっても、一部の顧客は貪欲さからくる施策だと捉えている。

2.インターフェース革命

 会話型AIは、調査対象者の77%が「馴染みがある」と回答する広く認知された技術となっている。生成AIの登場で、インターネットにおける体験は単なる取引的な体験から個人的な体験へと進化している。大規模言語モデル(LLM)によって知的で双方向の会話が成立し、「○○が欲しい」ではなく、「○○をしたい」に対する解決策を提示することが可能となった。

 生活者は、おすすめ商品の提示(42%)、タスクの遂行(44%)、健康や医療のアドバイス(33%)といった目的でChatGPTなどの対話型AIを使うことを快適だと回答している。

3.創造性の逆境

 かつてクリエイティビティの主な目的は、想像力や人とのつながりを通じて感情的な反応を引き出すことにあった。しかし、今ではアルゴリズムやテクノロジーがクリエイターと観客の間に介在するようになり、本気で勝負に勝ちにいかなければ、埋もれて顧客に見つけてもらえない状況が生まれている。

 エンターテインメントに目を向けると、観客は続編やスピンオフといった過去の延長線上にある作品に飽きている傾向に。また、35%の回答者はどのブランドも似通ったアプリデザインで区別できないと回答し、18歳から24歳に限るとその値は40%近くに上昇する。

4.テクノロジーの飽和点

 生活者の3分の1近くが、テクノロジーによって生活がシンプルになる一方、複雑にもなったと回答。テクノロジーに追い立てられ、ウェルビーングに悪影響を与えていると感じている。

 企業は、テクノロジーが生活にどのように組み込まれ、人々に新たな時間やスキルを強要していないかなどについて注意深く見極める必要がある。企業は、ブランドとの接点において、テクノロジー活用の有無を選択できるようにすることで、顧客に自己決定権を取り戻したと感じさせ、信頼できるパートナーとして認められるとしている。

5.成功神話の解体

 人生におけるニーズやチャンス、そしてさまざまな制約によって、生活者像が大きく変化しています。人々はこれまでの常識に異を唱え、新しい考え方、行動、生き方をかたちづくっている。従来の当たり前が解体され、新時代への再構築の10年が始まったようです。この変化に基づくシステムやサービスへの影響は、広範囲に及ぶと予想される。

 たとえば、今や人々は1年未満の単位で人生を考えています。48%の人は、1年先までの計画しか立てない、もしくはまったく立てていない、と回答。過去3年間で、結婚(30%から21%)、学位の取得(30%から24%)、そして実家を出ること(23%から17%)といったライフイベントに関する重要度も低下していた。

 アクセンチュア ソングのCEOであるデビッド・ドロガ(David Droga)氏は次のように述べている。「ブランドが人々の暮らしの中で有意義で、共感できる存在であるためには、細部まで行き届いた体験設計が必要です。生活者は多面的な存在で企業よりも速く変化しています。その変化についていくことは企業の大きな課題です。アクセンチュア ライフ トレンドは、変化し続ける世界に生きる人々の行動、姿勢を理解するための窓と言えます。企業やテクノロジー、社会的変化に対する生活者の反応を理解し、企業の成長に繋げるために役立てて欲しいと思います」

調査概要
  • 調査期間:2023年8月
  • 調査対象:日本を含む21ヵ国15,227人
  • 調査方法:グローバルで活躍するアクセンチュア ソングのデザイナー、クリエイター、テクノロジーの専門家、社会学者、人類学者の洞察や知見、およびアンケート調査