大日本印刷(以下、DNP)は、生活者が自治体の各種サービスをインターネット上の仮想空間・メタバースで利用できる「メタバース役所」の提供を開始する。
今回、より多くの自治体が「メタバース役所」を活用できるように、複数の自治体で運用を分担してサービス利用料を抑える共同利用モデルとして提供する。DNPは「メタバース役所」の提供を通じて自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、生活者の利便性を高めて、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」の実現に貢献する。
「メタバース役所」共同利用モデルを提供する背景
国内の各地域では、少子高齢化による人口減少や大都市圏への人口集中などによる労働力不足で、公共サービスの維持が困難になることが懸念されており、デジタル技術を活用した、さらなる最適化・効率化が求められている。
こうしたニーズに対してDNPは、年齢・性別・言語等のあらゆる条件で人々が互いに分け隔てられることなく、リアルとバーチャルの双方の空間を行き来して新しい体験と経済圏を創出する「XRコミュニケーション(R)」事業を2021年より展開している。その一環で、教育分野でのメタバースの活用や、地域の公共施設等と連動したメタバースの構築などによって自治体の地域活性化を支援している。また、DNPは、2024年2月に三重県桑名市とともに、「メタバース役所」で「電子申請手続きの総合窓口」「各種相談業務」「市民交流の場」を提供する実証実験を行っており、これらの経験・ノウハウを活かして、サービスの提供を開始した。
「メタバース役所」共同利用モデルの特徴
今回、全国の自治体のDX推進を支え、複数の自治体の連携によって共通する課題の解決につなげていくため、「メタバース役所」共同利用モデルのサービスを開始した。おもな特徴は次のとおり。
複数自治体による連携と住民サービスの向上
複数の自治体が「メタバース役所」をプラットフォームとして共有することで、相互の連携強化による住民サービスの質の向上につなげる。子育てや介護、不登校などの課題に連携して取り組むことが検討・想定されている。
災害時の事業継続計画(BCP)の拡充と住民コミュニティの維持・再生
自然災害をはじめとする緊急時にも、複数の自治体同士で支援し合う強固なBCPを構築可能。特定の被災地で物理的な役所の機能が滞った際などに、連携先の自治体の「メタバース役所」で対応できるほか、復旧・復興時の住民コミュニティの維持・再生などに活用できる。
経済的負担と運用負荷の軽減
住民からの問い合わせに対応する業務などを標準化することで、複数自治体による共同利用を可能に。自治体はサービス利用料を抑えながら、場所や時間の制約を減らして、行政サービスを住民に提供できる。