貝印、生成AIを活用したブランドムービーを制作

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2025/03/12 06:30

 グローバル刃物メーカーの貝印は、PYRAMID AIと共同で初の生成AI技術を活用した、貝印初のブランドムービーを制作した。欧米を中心に現在世界60ヵ国以上で展開しているブランド「旬」の新しいブランドムービーとして、日本文化の美しさや精緻なものづくりの精神を映像で表現している。

 本ブランドムービーは、日本と欧米の文化を融合させたクリエイティブで、貝印の国際的なプレゼンスをさらに強化することを目指している。生成AIによる映像制作は、高コスト・長期間の従来プロセスを改善し、競争力のあるコンテンツを迅速に提供可能にする。

 生成AI技術の導入により、従来のCG制作と比べ、制作期間を最大3分の1以下に短縮。短期間・低コストで高品質な映像を制作できるだけでなく、商品画像をベースにストーリー性のある表現を生み出せるようになった。また、広告クリエイティブの転用やローカライズ対応が容易になり、多様な市場への展開が可能になる。

 貝印は今後も、世界中の消費者に向けて、高品質で機能的な製品やサービスを提供していく。

世界に広がる「旬」ブランド

 「旬」は、2000年に欧米向けの販売を開始し、2022年10月には累計出荷本数1,000万丁を超えるなど、欧米を中心に、現在世界60カ国以上で展開するブランド。その品質は世界中のシェフや料理研究家に評価され、“Kitchen Knife of the Year” を過去12回受賞するなど、数々の国際的なデザイン賞にも輝いている。今回のブランドムービーでは、こうした世界的評価を背景に、日本の美しい鋼の伝統と「旬」の高精度な刃物作りを映像で表現した。

貝印/グレートワークス クリエイティブ・ディレクター 鈴木曜氏からのコメント

 今回、海外でのプロモーションを意識して世界観を検討しました。

 AIを使用して動画を制作する際に特に気をつけた事は、私の思い描いたコンセプトである「鉱物(金属)で構成された日本の世界」にどこまで肉薄できているかということです。動画、特にプロモーションやブランド表現で作られる動画には「最良の選択」は存在しても「唯一無二の正しい答え」はありません。AIに答えを求めるのではなくどこまで我々の求める(ある意味仮説的な)世界を表現させることができるのか。

 AIは前述の部分においては短時間でかなり精度の高い表現を返してくれました。一方で製品の表現や細かな演出においては満足するレベルに至っていないと判断する部分もあり、新たに撮影した素材を学習させるなど、現時点では従来よりも費用と時間的コストを抑えつつも、実験を兼ねたハイブリットスタイルで仕上げるという流れに落ち着きました。実際コストは抑えられており、マーケティングやクリエイティブに多額の費用をかけられない企業には非常に有用な手段となる可能性を感じました。

 引き続き新しい手法を取り入れつつも、「お客さまに伝わる」を第一に考え、表現を制作していきたいと改めて思いました。

PYRAMID AI プロデューサー 河野将太氏からのコメント

 貝印様のプロモーション動画制作について、これまでも弊社で多数担当させていただいております。今回生成AIの進化と表現の可能性に共感いただき、チャレンジングな機会をいただけたこと大変感謝しております。企画構成の考案はAI映像を専門とするディレクターの橋本伸吾氏と協力、従来の映像クオリティにまだ追いつかないAI表現については、弊社のポストプロダクション(PTHREE)と連携し品質を向上させました。

 生成AIとプロダクション技術をミックスすることで、制作コストと時間を抑えながらも高品質な広告映像に仕上げることができました。