みんなの銀行は日本初のスマホ完結型デジタルバンク!その評判とは?

みんなの銀行は日本初のスマホ完結型デジタルバンク!その評判とは?
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
2022/02/05 00:00

  みんなの銀行は、日本初のスマホ完結型デジタルバンクという画期的な試みだ。アプリはすでに50万ダウンロードを突破している。ここでは、みんなの銀行でできることや従来型の銀行と異なる点、同行が創業してからこれまでの実績について見ていきたい。それによって、デジタルバンクの実態やユーザーからの評価・評判が浮かび上がってくるはずだ。

店舗を持たずスマホアプリを窓口とする「みんなの銀行」でできること

 まずは、みんなの銀行でできることを見てみよう。みんなの銀行で取り扱うのは、個人向けの口座だ。無店舗でキャッシュカードや通帳は発行されず、その代わりにスマホが窓口となり従来の銀行とほぼ同じことができる。利用できる機能は、次の5つだ。

 それぞれの機能を一覧表で詳しく見てみよう。

名称 機能 特徴
Wallet(ウォレット) 普通預金
  • キャッシュカードと通帳が発行されない
  • 支払い、振り込みが可能
  • セブン銀行のATMで現金を出入金できる
  • 公共料金やクレジットカードなどの口座振替(引き落とし)は対応外
  • 国からの還付金や年金の受取口座に指定できない
Box(ボックス) 貯蓄預金
  • Walletから簡単にお金を移動させることができる仮想の箱
  • 貯蓄やお金の振り分けが可能
  • 新たに貯蓄用の口座を作る必要がない
  • Boxは最大20個作成可能
  • 金利は0.03%
Record(レコード) 通帳+使用金額の振り返り
  • 出入金の記録
  • 電子マネーやデビットカードなどの利用記録も一元管理可能
  • 毎月のお金の動きが表やグラフ化される
  • 利用の記録にタグ付けしたり、グルーピングしたりしてお金の振り返りができる
Cover(カバー)
プレミアムサービス(有料プラン)のオプション(審査あり)
立て替え払い
  • 決済時に口座残金が不足する場合、5万円を上限として自動的に立て替え払い
  • 借りたお金に対して利息がかからない
  • Walletに入金されると自動的に返済
  • Boxから手動で返済することもできる

 有料プラン「プレミアムサービス」(利用料月額600円)に登録すると、より便利な機能の提供や手数料が優遇される。

みんなの銀行ならではの使い勝手の良さ

 みんなの銀行の口座のサービスで、従来の銀行と使い勝手が違うと感じるのは、おそらく次の4点に集約されるだろう。

  • 口座開設から利用までスマホで完結
  • ログインはIDとパスワードのみ
  • 使えるお金だけをいつもWalletで持ち歩くという感覚
  • タグ付け機能などでお金の振り返りがしやすい

 みんなの銀行には、キャッシュカードも通帳もない。口座開設から日常的な利用まですべてスマホひとつで完結する。これは口座を開設する際も同じで、必要になるのは指定の写真つき身分証明書だ。従来の銀行のように、キャッシュカードが後日書留郵送されてくることもなければ、不在で再配達に対応する必要もない。

  ログインもIDとパスワードだけというシンプルさだ。スマートフォン自体をセキュリティのキーとし、ネットバンキングにつきものの乱数表や秘密の質問を設けることなく、ログイン時のユーザーの入力負担を軽減している。

  スマホを財布のように持ち歩くという感覚も新しい。あらかじめBoxに毎月の貯金や当面確保しておきたいお金を入れておけば、うっかり使ってしまわずに済む。使ってもいい金額だけをWalletに残しておくことで、財布を持ち歩くような感覚を味わうことができる。

  それに加えて、Boxの金利は現在のメガバンクのレート(2022年1月現在)からすると一桁違うという高めの水準だ。ATMでの入金時に手数料がかからないのもユーザー志向の表れといえる。

  現在、スマホ向けには数多くの家計管理アプリがある。Recordの面白いところは、個々の支払い記録にタグ付けやグルーピングができる点だ。繰り返し購入しているものがあれば、まとめ買いやサブスクなどを検討でき、自分のお金を振り返る上での大切な作業を、SNSを使う操作感で実現している。

  ここに挙げたことが、デジタルバンクの特徴といえるだろう。次に、みんなの銀行が従来の銀行と異なる点について見てみたい。

みんなの銀行の特徴=従来型の銀行と異なる点とは?

みんなの銀行サービス開始
プレスリリースより画像引用

 みんなの銀行は、2021年5月28日に営業を開始した日本初のスマホ完結型デジタルバンクだ。従来の銀行のサービスをネット化したネットバンクとの違いは、デジタルネイティブ世代のデジタルシフトを受け、銀行の新しい形を目指していることだといえる。コロナ禍で来店者数が大きく減少したことの影響もある。

 従来の銀行のイメージを打ち破るべくUIやUXにこだわり、シンプルでわかりやすく使いやすいものに仕上げている。スタートアップのパートナーとしてアクセンチュアを選び、ネット上のサービスでユーザーの行動に大きく影響するUIやUXの重要性を考慮した結果だ。

 それに加えてみんなの銀行は、これまでになかったパブリッククラウド型の個人向け(B2C、B2B2X)金融サービスを実現させた点にもある。これまでの常識とされていた、万が一のシステム障害のために用意しておくバックアップ機能を、みんなの銀行は持っていない。

 その代わりに、必要な時に必要な機能を使うというシステムをGoogleクラウド で実現した。このことにより、いつ起こるかわからないシステム障害のために投じる莫大なバックアップ機能の維持費用を削減することに成功している。

 メインの顧客となる若い世代に向けて、マスメディアではなくSNSを中心にコミュニケーションを図ることも戦略のひとつだ。同行からの発信だけでなく、ユーザーの声を拾うアクションもスピーディに行われる。

 みんなの銀行の母体がメガバンクや都市銀行でないことを怪しいと感じる人も中にはいるかもしれないので、説明しておこう。ふくおかフィナンシャルグループは、日本の銀行業界のトップ10に入る企業だ。メガバンクや大手都市銀行に続く地方銀行の中ではトップクラスといえる。

 そのような基盤があるからこそ、みんなの銀行という挑戦ができたのであり、またそれが評価されているといってもいいだろう。2020年にはJFIAの大賞を受賞、2021年にはグッドデザイン賞や国際的なフィンテック関係の賞を数々受賞している ことからも、次世代の銀行として期待を寄せられていることがわかる。

みんなの銀行は銀行業界の台風の目となるか?

 新しい銀行の形を目指して日々進化をし続けるみんなの銀行は、創業からさまざまなキャンペーンを行ってきた。その履歴を振り返ってみよう。

 稼働前のリツイートキャンペーン、「#みんなでつくるみんなの銀行」というハッシュタグでユーザーの意見を吸い上げるキャンペーン 、みんなの銀行Debit Cardで携帯電話の料金を支払うとその20%が還元されるキャンペーンなどだ。現金がもらえる友人紹介は現在も引き続き展開されている。

 このようなキャンペーンばかりではなく、みんなの銀行は開業当時からアップデートしていくことを宣言している。SNSで収集したユーザーの意見を反映し、サービスを進化させていくことを約束しているのだ。

 次々と打ち出される新しい試みに、みんなの銀行の預金は右肩上がりだった。しかし、営業開始から半年で預金の伸び悩みにぶつかり、初年度の目標額を700億円から250億円に下方修正した 。同行の電子公告に よると、2021年9月末の預金が約37.5億円と進捗は15%だ。

  この数字をどのように受け止めるか。日本初スマホ完結型デジタルバンクの今後の展開が注目される。