2023年もショートムービーが中心に 2022年SNS界隈の振り返りと各プラットフォームの動向を予測

2023年もショートムービーが中心に 2022年SNS界隈の振り返りと各プラットフォームの動向を予測
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2023/01/10 08:00

 本コーナーでは、クリエイティブにまつわる領域で、2022年の振り返りと2023年の動向を識者に伺っていきます。今回のテーマはSNS。2022年SNS界隈全体の総括や各プラットフォームにおける印象深いできごと、2023年の動向をふまえたクリエイターがおさえておきたいポイントなどについて、ホットリンクの皆さんに聞きました。

ついに訪れた「ショートムービー元年」

――まず、2022年SNS界隈の総括からお願いします。

室谷 2022年こそ「ショートムービー元年がやっときた」に尽きると思っています。もともと、スマホが普及しだした2014~2015年から「今年は動画元年だ」と言われていましたが、YouTubeチャンネルは3年ほど前から本格的にビジネス活用されるようになり、ショートムービーはそれが2022年だったと思います。TikTokが日本市場での拡大にいっそう注力していますし、多くのナショナルクライアントさんがTikTokを始めたり、「TikTokに取り組んでいないと取り残されてしまう」といった空気もありました。もちろん2021年からその流れはありましたが、TikTokという過熱的な着火剤の影響が大きかったですし、確実にお客さまからの相談も増えた1年でした。

株式会社ホットリンク マーケティング本部 本部長 室谷良平さん
株式会社ホットリンク マーケティング本部 本部長 室谷良平さん

山本 YouTube Shortsがスタートしたのも、Twitterが直近で縦型動画に取り組むことを明言していることも、TikTokの日本での普及がすべてのベースになっていると感じています。

――Twitter、Instagram、TikTokで2022年に印象的だったできごとについてそれぞれお聞かせください。

室谷 2022年のTwitterは、やはりイーロン・マスク氏のCEO就任が最大のトピックでした。Facebookはグローバルのユーザー数が30億人、Instagramが20億人、TikTokは10億人を突破、Snapchatが6億人以上であるのに対し、Twitterの月間利用者数は世界全体で約4億人。Twitterとしては、ユーザー数10億人を目指し、広告収益も5倍にしたいと明言しているので、アグレッシブにTwitterを成長させていくための構造改革をしようとしていることが見えてきています。

富井 Instagramは短尺動画に力を入れていたのが、2022年の大きな特徴だったと思います。スタンプ付きの投稿が可能になったり、リール投稿の秒数が最大90秒になったりなど、クリエイターさんの表現の幅が広がるアップデートが多かったですね。また、リール投稿にフォローボタンが追加されたことで、リールからユーザーをフォローする導線ができたり、リールの投稿をしやすくするためにテンプレートの活用が可能になるなどの工夫も施されました。

2021年からは、クリエイターとユーザーをつなぐ動線も強化されています。Instagramはどうしても拡散性に乏しい部分もありますが、好きなものなどコンテンツ軸でクリエイターとユーザーをつなげるべく、好きなリール動画とコラボできる「リミックス」機能などを2021年4月に追加しました。Twitterでいえば、引用リツイートのような機能も加えられています。

ただショート動画が増え、全体のコンテンツ量が増えたことで、ほかのSNSのロゴが付いた二次利用と思われる動画も増えてしまった点は大きな課題でしょう。それを受け、コンテンツの質を再評価しようという動きも2022年に加速しており、細かくアルゴリズムの調整を行っていた印象です。

インフルエンサーさんの投稿や「PR」ハッシュタグつきの投稿が増えたことで、その透明性を疑問視する声もあがっていました。そこでPR投稿にはブランドコンテンツタグをつけることが必須になるなど、PRに対する透明性が担保されてきている点も、大きな変化だと思います。

株式会社ホットリンク ソーシャルメディア事業本部 コンサルティング部 富井真歩さん
株式会社ホットリンク ソーシャルメディア事業本部 コンサルティング部 富井真歩さん

山本 TikTokに関しては、2021年に「TikTok売れ」が日経トレンディのランキングで1位になるなど、トレンドの起点となる流れは2022年も続いていました。トレンドで言えば、今年はアニメ『SPY×FAMILY』の声やエフェクトがTikTok内でも一気に広がり、流行のフックとなる役割を担いました。機能面では、さらにコンテンツの幅が広がった印象です。2022年、ほかのプラットフォームではショート動画の機能充実を図る動きが多かったですが、TikTokは同年3月に、投稿可能な動画尺が3分から10分に増加しました

また、一般ユーザーもエフェクトを制作できる「TikTok Effect House」という機能を2022年4月に公開。今までは動画の投稿をする人のことのみがTikTokにおける「クリエイター」でしたが、フィルターの作り手もクリエイターとして参加できるようになりました。これは大きな変化だったと思います。2022年のTikTokはコンテンツの多様化・自由化・高度化・拡張が進んだ1年だったのではないでしょうか。

出典:TikTok プレスリリース
出典:TikTok プレスリリース

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