『デザインで世界を前へ。』マネーフォワードのデザイン組織の作り方

デザイン組織を強くする「DesignOps」と「DPM」とは DPMがその役割と6つの取り組みを紹介

Money Forward Design[著]

2023/02/02 08:00

　「すべての人の、『お金のプラットフォーム』になる。」というビジョンに沿って、あらゆるお金の不安を解決し、すべての人がよりその人らしく生きていける世界の実現を目指しているマネーフォワード。同社には約80名のデザイナーが所属していたり、2020年9月にはChief Design Officerのポジションを置いたりと、組織としてデザインに注力しています。そんなマネーフォワードが、デザイン組織のための取り組みについて具体例を交えながら解説。第2回では、デザイン組織を強くする新しい概念「DesignOps（デザインオペレーション）」と、それを推進するデザインプログラムマネージャー（以下、DPM）の役割についてお伝えします。

デザイン組織をより強くする新しい概念「DesignOPS」と「DPM」

　こんにちは。マネーフォワードDPMの猪爪雄です。

　今回フォーカスする「DesignOps」と「DPM」というワード。デザイナーであっても、耳にしたことがある人はそれほど多くないのではないでしょうか。世界的にも歴史の浅い概念で、日本においてもまだ浸透しているとは言えません。

　簡単に説明すると、DesignOpsとは「デザイナーがデザイン業務に集中できるよう、デザイン業務以外の仕事を最適化すること」。DPMはこれを推進するための職種です。海外ではGoogle、Salesforce、Meta、Airbnbなどで活用が進んでおり、マネーフォワードでは、2022年6月に初のDPMとして私が就任しました。

　就任するにあたり、関連情報の収集を続けていたのですがきちんと理解するまでには時間がかかりました。なぜなら、DesignOpsやDPMの役割は幅広く、企業や組織ごとに解釈やその役割が異なるからです。一方、導入することにより、組織の課題解決を助け、成長させることができる可能性を秘めていることも確信しました。

　今回の記事では、マネーフォワードの事例を挙げながらDesignOpsとDPMの役割を紹介します。それぞれの組織における活用のヒントにしていただけたら幸いです。

デザイン業務に集中できる環境を整える「DesignOps」

　DesignOpsとは「デザインオペレーション」の略で、デザイナーがデザイン業務に集中できるよう、デザイン業務以外の仕事を最適化することです。デザイン組織の規模が拡大することで複雑化する業務を最適化し、課題解決を図ることで組織のスケールアップを目指します。

デザイン業務以外の例

デザインプロセスの整備
ナレッジマネジメントの推進
さまざまなステークホルダーとの連携
メンバーの評価・育成
ロードマップの策定

DesignOpsを推進する「DPM」という役割

　このDesignOpsを推進するのがDPM（デザインプログラムマネージャー）です。デザイナーが「エンドユーザー」のためにデザインスキルを駆使するのに対し、DPMは「デザイナーとデザインチーム」のためにデザインスキルを駆使します。デザイン組織において、事業が成長している、もしくは慢性的に業務負荷が高い場合により必要とされる役職です。