動画内製化、キホンのキ 失敗に終わるケースの共通点やその解決策を解説

動画内製化、キホンのキ 失敗に終わるケースの共通点やその解決策を解説
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 ウェブサイトやSNSなど、ビジネスシーンでも動画コンテンツを見かけることが珍しくなくなった昨今。それらをどのような体制で制作していくかについて、模索している企業も多いのではないでしょうか。今回はそんな動画制作の内製化にフォーカス。アライドアーキテクツの取締役兼CPOの村岡弥真人さんが、その基本を解説します。

 昨今、動画コンテンツの内製化にチャレンジする企業が急増しています。その背景には、TikTokやInstagram、YouTubeなどの動画プラットフォームの拡大によって、生活者の日常に動画が浸透したことや、あらゆるマーケティング施策において動画を通じたコミュニケーションが当たり前になったこと、2026年には1兆2,451億円まで拡大することが予測(※)されている「動画広告」の需要の高まりなどがあると考えられます。

※出典:プレスリリース「サイバーエージェント、2022年国内動画広告の市場調査を実施」
※出典:プレスリリース「サイバーエージェント、2022年国内動画広告の市場調査を実施」

 こうした市場の変化によって、企業のマーケティング施策において動画の活用が求められるようになっただけでなく、各社が動画に対応したことで、ただ動画をつくっただけでは成果につなげることが難しくなっています。そんな中で、今後企業が動画で成果をあげるために必要なのは「素早くクリエイティブのPDCAを回すこと」です。

 このような動画制作ニーズが高まる一方、その都度制作を外注する方法では量やスピードが担保できなかったり、コストを圧迫してしまったりするケースもあります。ただ、社内で作ろうとしても、十分なデザイナーリソースを持ち合わせていない企業が多いのが現状です。そういった背景から、「動画の内製化」を目指す企業が増えているのです。

内製化のポイントは「体制構築」 企業が陥る3つの課題とは

 アライドアーキテクツでは、動画制作ツール「LetroStudio」を提供しており、日々動画の内製化を行う企業さんを支援しているのですが、お客さまとの会話をとおして、内製化が失敗に終わるケースの共通点が見えてきました。それが次の3つです。

  1. 制作体制がない・制作できる人材がいない
  2. 動画制作に関するノウハウがない
  3. 適切な制作ツールがない

1. 制作体制がない・制作できる人材がいない

動画の量産が求められる今、クリエイター向けツールを使いこなせる人材が社内に多くいないことから、デザインが専門ではないメンバーを育成し、動画制作の内製化にチャレンジする企業が増えています。

しかし、クリエイター向けツールを活用するには専門知識が必要となるため、習得に時間がかかり、内製化の体制をスピーディーに立ち上げることができないという声をたびたび耳にします。

また、社内の制作人材が十分にいたとしても、運用型広告をはじめ、マーケティング施策に適した動画コンテンツの制作ノウハウはないというケースもあります。施策や媒体ごとに適切なフォーマットや勝ちパターン、トレンドがあるため、たとえ制作人材がクリエイティブを制作したとしても、成果につながらない場合も少なくありません。

2. ノウハウがない

非クリエイターが動画を制作する場合は、クリエイティブを制作する際の基礎知識がないことから、何から手を付けたら良いかわからないことも少なくないでしょう。また、動画づくりでは、施策や媒体に適したフォーマットや勝ちパターン、トレンドをふまえた企画・設計を行うことで、成果につなげることが可能になります。ただノウハウがないと、制作ができたとしても結果をだすことができず、内製化を断念してしまうこともあるようです。

弊社が2022年3月に広告クリエイティブ運用をする方を対象に行った調査でも「訴求軸の設計・企画・構成」にもっとも時間がかかることが明らかとなっており、多くの企業が課題に感じていることがわかります。

出典:「クリエイティブ運用の実態調査2022」(アライドアーキテクツ株式会社|2022年3月)
出典:クリエイティブ運用の実態調査2022(アライドアーキテクツ株式会社|2022年3月)

3. 制作ツールがない

クリエイターが使用するような編集ツールは、初心者での取り扱いは難しく、習得までに時間を要するケースが多いです。

一方、簡易的に動画を制作できるノーコードツール「Canva」などの利用も広がっています。編集の自由度が高く、初心者でも簡単に動画制作ができるといった利点はありますが、提供するテンプレートや素材は海外向けのものが多いことから、日本向けのマーケティングに利用しづらいなどの課題もあります。

スマホアプリを活用するケースもありますが、クラウドサービスではないため情報が個人に集約されてしまうこと、チーム間でのファイルの共有も難しく、とくに「勝ちパターンの展開」や「量産」が必要となる運用型広告では不便に感じる、といったデメリットもあるようです。また、サービスによっては商用利用が許可されていないものもありますので、注意が必要です。

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