本連載のお品書き
- 第1回 : UXがなぜ必要か
- 第2回(今回) : UXにはどんなデザインが必要か
- 第3回 : UXデザイン、本当にその手法でいい? 手法は手法
- 第4回:アプリ開発におけるUX 運用後の改善が大事
フェンリル株式会社所属、旅プラン作成アプリ「bitter」プロダクトオーナー 兼 デザイナーの末綱です。前回は、UXがなぜ必要なのかについてお話させていただきました。
[前回のまとめ]UXが必要な理由
- 市場の変化
- スマートフォンの出現
- SNSや口コミサイトが普及
これらの社会的要因が、モノの見た目や性能だけではなく提供する価値や体験が重要となり、オフラインのIT化によってこれからますます重要視されていくというところで締めくくりました。
今回は「UX(=ユーザー体験)デザイン(=設計する、最適化する)には何が必要なのか」についてお話しできればと思います。
UXに必要なデザインとは
「ユーザー体験ってなんて曖昧な…」「UXっていっても範囲が広すぎるよね」
そんな声が聞こえてきそうですが、まずはこの「UXデザイン」を分解するところから始めましょう。「UX」は大きく5つの段階に、「デザイン」はさらに3つにわけることができます。
UXの5段階
カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くユーザーエクスペリエンスデザイナーのJesse James Garrett氏が、作成したUXの概念図を見てみましょう。
この図はUXデザインについて解説する際に多く用いられてるものなので、見たことがある方もいるかもしれません。下から上にプロセスが描かれており、上に進むほど具体的になっていくデザインの段階を表しています。
この概念図を使って各段階において必要なデザインプロセスを経ることで、よりよい体験を目指すことができるとしています。この5段階を下から順番に見てみましょう。
戦略
目的達成のためのシナリオです。進むべき方向性を設定する段階です。サービスや製品の目的、ユーザーはどんな体験を得られるのかを設計します。
要件
目的を満たすための条件や、機能を設計します。「いつ・どのように・何を使うのか」ユーザーの体験と照らし合わせ、必要な機能を抽出します。
構造
ユーザー体験に必要な機能を「どのように実現するか」を設計する段階です。
骨格
ユーザーが触れることになるインターフェースを「どのように伝えるか」を設計する段階です。
表層
サービスや製品がユーザーにもたらす感性的な要素を設計する段階です。
では次に、デザインを3つに分解してみましょう。
3つのデザイン
- ビジネスのデザイン(市場の選択、ビジネスモデル、運用方法の検討、ペルソナの設定など)
- コンテキストのデザイン(文脈のデザイン)
- インターフェースのデザイン(「ユーザー」と「システム・サービス」の接点のデザイン)
UXデザインとは、この3つを考察し、ユーザー体験を設計することなのです。具体的にどのように考察していくかについては、後半でお伝えしていきたいと思います。