「社内のミドルマン」として奮闘 toBアバターサービスを提供するAVITAひとりめデザイナーの心がけ

「社内のミドルマン」として奮闘 toBアバターサービスを提供するAVITAひとりめデザイナーの心がけ
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2023/10/06 08:00

 アバターオンライン接客サービス「AVACOM」の開発・運用を行うAVITA。2021年6月に創業し、ロボット工学者である石黒 浩氏が代表取締役CEOをつとめている。そんなAVITAに、デザイナーの岩﨑勝利さんは初期メンバーとして加わった。なぜAVITAに加わったのか。ひとりめデザイナーとして意識していることとは――。キーワードは「言語化」だ。

決め手のひとつは「創業期からひとりめデザイナーとして関われる」こと

――まずはご経歴からお聞かせください。

専門学校で勉強していた3DCGを仕事にできたらと考えていたのですが、3DCGで就職をすることはなかなか難しいのが約20年前の現状でした。そのため新卒では印刷会社に入社し、20代前半はDTPに関連する業務をしていましたが、やはりクリエイティブな仕事に携わりたいと思っていたところ、たまたまゲーム会社に拾ってもらうことができたんです。最初は、ポスターやパンフレットなどを制作する販促部門に配属になったのですが、あるとき「ゲームの画面をデザインしてみないか」と声をかけてもらい、部署を異動。今思えば、この出来事が現在携わっているデジタルプロダクトデザインへの入り口だったかもしれません。ひとつの大きな転機でしたね。

そうして30代に差し掛かったころ、クライアントワークの経験も積みたいと思い、所属していたゲーム会社の先輩が経営していたデザイン会社にジョイン。30代はその会社でクライアントワークを行っていました。当時SIerと言われる大企業や外資系のソフトウェア会社がお客さまだったこともあり、そこで「UI」「UX」という言葉を意識するようになりました。

そんななかで今後のキャリアについて考えてみると、独立も頭をよぎりました。ただ、世の中に発したいメッセージが明確にあるわけではなく、人や企業が持っているビジョンを形にするほうが得意だと改めて気づき、独立の選択肢はなくなりましたね。そのあとスタートアップ企業に加わり、大きなプロジェクトがひと段落したタイミングで、現在のAVITAに転職しました。

――AVITAにジョインした決め手は何だったのでしょうか。

セミナーに参加したり本を読んだりするなどして、社長の石黒浩教授の考えかたや取り組みは一方的に知っていました。タレントのようにメディアを通して一方的に知っているだけだったため、最初は「石黒教授はどんな人なんだろう」という好奇心から話が進んでいったように思います。

共通の知人もいたためまったくAVITAと関係性がないところからのジョインではなかったですが、AVITAのプロダクトがCGキャラクターを用いた技術で、これまでの知識やキャリアが活きるのではないかと感じたこともひとつのきっかけでしたね。また、クライアントワークを行っていたときのお客さまが新しいテクノロジーによってソリューションを生み出していたため、日頃からそういった技術のキャッチアップをしていたことも、決断を後押しする要素だったと思います。

ただひとつの決め手となったのは、自分のデザインしたモノの責任が明確になるという点と、創業期からひとりめのデザイナーとして携われる機会はないのではないかと感じたこと。そしてそういった経験を得たいと思った部分が大きいかもしれません。

AVITA株式会社 プロダクトデザイナー 岩崎勝利さん
AVITA株式会社 プロダクトデザイナー 岩崎勝利さん

創業初期の社員としてデザイナーが入社することは、もしかしたら珍しいかもしれません。創業したばかりのスタートアップは、プロダクトを動かすエンジニアリングと、それを販売していくためのセールスにリソースを割かざる得ないため、デザインに気をまわしている余裕がないというのが今までの風潮だったと思います。また、私以外のスタッフもデザイナーに何ができるのかを完璧に理解できていたわけではないのではないでしょうか。

ただ、私の採用を推進してくれたCOOは創業当初から「自走できるデザイナー」を重要視してくれていた記憶があります。おそらく「UI/UX」「ブランディング」「物事の可視化」がスタートアップにおける競合優位性や価値提供に繋がるだろうという認識を持っていてくれていたのだと思います。「事業を作ってプロダクトアウトをするのであれば、エンジニアリングだけでなく、ユーザーにつなぎこむ部分など幅広い領域でデザインが不可欠」。そんな感覚を持っていたことは、デザイナーとして非常にありがたかったです。