[レポート]クリエイティブの力をどのように事業に活かすか SansanとNEW STANDARDが語る

[レポート]クリエイティブの力をどのように事業に活かすか SansanとNEW STANDARDが語る
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2020/01/08 08:00

 2007年に創業。クラウド名刺管理サービス「Sansan」などを展開するSansanと、2014年に創業したのちメディア事業で成長し、今年大幅なリブランディングを行ったNEW STANDARD。提供する事業はもちろん、その企業規模、企業文化などは異なるが、クリエイティブの力を企業の成長につなげてきたという点は二社の共通項だろう。そんな両社が「経営から現場まで。スタートアップを成長させるクリエイティブの力」と題したイベントを開催。モデレーターはベンチャーキャピタル「D4V」の高橋亮さんがつとめ、SansanのブランドエクスペリエンスデザイナーHanakoさん、同社のブランドクリエイター山脇直人さん、NEW STANDARDのアートディレクターである柴田慧さんと白鳥秋子さんが登壇。本記事ではその様子をお届けする。

「イメージはアメーバ」 NEW STANDARDデザイナーチームの事業への関わりかた

高橋(D4V Sansanは2007年創業、NEW STANDARDは2014年創業ということですが、まずはみなさんがジョインされたタイミングを教えていただけますか?

柴田(NEW STANDARD) 白鳥は創業の数ヵ月後に入社しているので、ほぼ創業メンバーですね。ぼくが入社したのは2015年なので、創業からおよそ1年くらいです。ぼくらは創業当時からライター・編集者をはじめとしたデザイナーなどのクリエイターが多かったですね。いまは全社員76名のうち、およそ7割がクリエイターです。

NEW STANDARD株式会社 アートディレクター 柴田慧さん
NEW STANDARD株式会社 アートディレクター 柴田慧さん

Hanako(Sansan) 私は2013年に入社しました。山脇はちょうど今年で1年くらいですね。私が加わったときのSansanは、社員数約80名で、その中でデザイナーは2名でした。当時はデザイナーが少なかったので、これまで経験がなかった画面のUIデザインを行ったり、人事の部門で必要な施策のチラシを作ったり、担当業務は本当に多岐にわたっていました。

高橋(D4V) ここからは、事前に用意した質問に両社が答える形で進めていきたいと思います。ひとつめの質問は、「組織においてクリエイティブの力をどのように活用しているか」。組織におけるクリエイティブの立ち位置や機能などについて教えてください。

白鳥(NEW STANDARD) NEW STANDARDでは、TABI LABOをメインとしたメディアスタジオ、それらの知見を活用して企業やブランドのトータルプロモーションとビジネス課題解決を行うビジネスデザイン&ブランドスタジオ、イベントスペース&カフェ「BPM」の運営やプロダクト・サービスを生み出すプロダクトスタジオという3つの事業があるのですが、デザイナーはどの事業部にも所属せず、独立した組織になっています。

そんな私たちデザイナーのイメージは、アメーバです。

会社の中でさまざまな事業やサービス、プロジェクトがあると思いますが、そういったあらゆるチームやプロジェクトに入り、それらをつなげるファシリテーター、またそれを実際に形にする役割を担うために、デザイナーは存在しています。

そのためコーポレートブランディングをはじめとした経営の領域や企業文化など組織領域に入っていくこともありますし、先ほど挙げた3つの事業にももちろん携わっていく。私たちデザイナーが介在することで、事業やサービス、またNEW STANDARDという企業そのもののDNAをつなげ、価値を高めていくことが役割だと思っています。

NEW STANDARD株式会社 アートディレクター 白鳥秋子さん
NEW STANDARD株式会社 アートディレクター 白鳥秋子さん

メディアを起点に事業が発展したNEW STANDARD

高橋(D4V) ふたつめの質問です。クリエイティブが事業にどのような影響を与えたか。そのターニングポイントがいつなのかをそれぞれ教えていただけますか?

柴田(NEW STANDARD) メディア事業からスタートした僕らは、たとえるなら日々筋トレをしながら試合にでたり考えながら冒険をしていく中で、自分でも気づかなかった価値やおもしろい発見など、メディアで培ったクリエイションをもとに、新しい事業が展開していきました。プロダクトスタジオもそのひとつです。

これは実際にアドテックでブース展開をした際の写真です。僕らのメディアそのものや、情報に触れあう楽しさをリアルな場所で展開するとしたらどうなるのだろう、というところから考え始めた結果、このイベントブースも自分たちで制作しました。

また、弊社のオフィスの下に「BPM」と呼ばれるイベントスペース&カフェがあるのですが、そこも「自分たちでお店のようなものを作ったらどうなるのだろう」 ということを、このアドテックをきっかけに考えはじめたことで生まれたもの。メディアで培ってきた知見をもとにスタートした事業のひとつです。

NEW STANDARDが運営するイベントスペース&カフェ「BPM」
NEW STANDARDが運営するイベントスペース&カフェ「BPM」

こんな風に、「より独創的なカタチで情報をいろいろな人に届けるためにはどうしたらいいか」を考えながら取り組んでいくと同時に、自分たちのアイデンティティや自分たちらしさについても考えながら取り組んできたので、今年行ったコーポレートのリブランディングもすべて自社で行いました。

明確になにかターニングポイントがあったというよりは、メディアを起点に日々取り組んでいたことの積み重ねの上に、事業が発展していったというイメージです。

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