TikTokで成果をあげるための最短ルートとは
Leading Communicationの設立は2020年。560名のTikTokクリエイターを抱えるプロダクション事業部を抱えるほか、2021年にはTikTokを中心としたSNSマーケティング事業部を立ち上げ。戦略、施策の実施から分析まで3,000件以上の実績を持つ。
同社でSNSマーケティング事業部 取締役兼事業本部長を務める井上氏はまず、数字を交えながら、TikTokの現在のポジションを説明した。
TikTokの日本におけるMAUは2,800万人。1日の平均視聴時間は70分。井上氏は、「TikTokは『若者向け』のプラットフォームというイメージが強いが、コロナ禍以降ユーザーの年齢層は上がっており、男女比も半々」だと補足する。それが、企業のTikTok参入の追い風にもなっているのだ。
TikTokの特徴は、アルゴリズムによってフォローしていないアカウントの動画やほかのプラットフォーム上での検索に関連した動画が流れてくるため、新しい発見が生まれること。また最近では、気になるお店を検索しそのまま予約したり、不動産の動画を見て実際に家を借りたり、TikTok上で情報を得て行動に移すユーザーも増えている。これらをふまえると、TikTokでマーケティング施策を行う場合の強みは、「圧倒的にリーチがとれる」ことであると言えるだろう。このような特徴があるため、ユーザーは初めて目にした動画にも好意的な態度で、いいねやコメントをつける傾向があるのだ。
また井上氏は、使いかたによってはリーチだけでなく、「ファネルのいちばん上の認知獲得から最後の購入に至るまで効果を発揮するアプリ」であると、TikTokの可能性の広さを強調。続けて、TikTokで成功するためには「文化やトレンドに乗ることが最短ルート」だと語った。
TikTokが登場した当初はダンス動画などが多かったが、今では美容系やVlog、マンガ、アニメなどさまざまなジャンルの動画が流れている。激しく変化するトレンドをしっかりキャッチし、それを自社に合った形に落とし込んでいくことが、企業のアカウントやコンテンツを伸ばす近道だ。
ただし、単にトレンドに乗るだけではなく、大切なのは「自社の個性と掛け合わせる」ことだと井上氏。「トレンドのダンスをしたり、楽曲を使っていたりしているだけでは、再生数が伸びてもエンゲージやフォロワー数の増加にはつながりづらい」のだと言う。しかし、自社のやりたいことや伝えたいことだけを詰め込んだとしてもあまり再生されない。企業のTikTokかアカウントが陥りやすい失敗である。
TikTokで成功するには、TikTokの文化やユーザーの特性を捉えたうえで、いかに「最後まで視聴してもらうか」「好意をもってもらうか」「バズらせるか」を追求する必要があるのだ。
ピザハットのアカウント運用でこだわった3つの軸
ここからは、Leading CommunicationがTikTok運用を支援して大きくグロースしたピザハットの事例から、企業TikTokの成功のカギを探った。
2022年にTikTokアカウントの運用をスタートしたピザハットだが、フォロワー数が伸び悩んでいた。また、どのようなコンテンツを出せば良いのかわからずネタが見つからないといった課題も同時に抱えていた。
そこで、井上氏らが2023年1月に支援に入った際、まずは既出の動画から現状のファクトを分析。それにより、人気の投稿や伸びづらい投稿の傾向を明らかにしていったという。
エンゲージメントが高かったのは、ユーザーからのリクエストに答えるなど「コミュニケーションがとれている」コンテンツ。またピザのアレンジレシピなど、ユーザーの行動を喚起させるようなコンテンツも好評だった。さらに、普段見ることのできないピザづくりの工程を見せる動画も視聴完了率が高い。
もちろん、ピザハットのアカウントである以上、「ピザ」を軸にしたコンテンツでなければ意味がない。トレンドに乗るために社員が流行りのダンスを踊る動画も投稿してみたが伸び悩んでいた。
これらをふまえ、Leading Communicationが参画しアカウントを再スタートするときには、「ピザを主軸に」「トレンドとオリジナリティを掛け合わせること」「出演する社員のキャラクター設定」の3つの軸にこだわることを徹底することにした。
井上氏いわく、「出演している人が嫌々やっているのはユーザーにも伝わってしまうため動画も再生されづらい」。ピザハットの社員たちは雰囲気が良く、楽しみながら撮影に取り組んでいたことも、軸を決める際の大きなポイントだった。
井上氏は実際にピザハットで行ったいくつかの施策を紹介した。
企業同士やクリエイターとのコラボも企画したが、とくに企業同士のコラボは社内の承認に時間がかかることがネックとなった。そこで、あくまでTikTokの動画コンテンツのなかで「商品提供の協力をお願いする」という形で他社へ提案。さまざまな企業とのコラボ動画を実現させた。
なかでもオムライスがとくに有名な老舗洋食屋「たいめいけん」とのコラボ動画は、1本で70万回再生を突破。6,000人ほどの新規フォロワー獲得に貢献したという。
@pizza_hut_japan @ワンコロに返信 茂出木シェフとオムライスピザ作りました🍳🍕 #ピザハット #たいめいけん #オムライス #ピザ #茂出木シェフ ♬ オリジナル楽曲 - 【公式】ピザハット
徹底した「仮説とレポーティング」も成功のカギ
こうした施策の結果、2023年1月時点では3万人だったピザハットのTikTokフォロワー数は、2024年3月時点で11万人にまで増加している。
ここまでピザハットのTikTok運用が成功した理由として井上氏は、先述の3つの軸を徹底したことのほかに、「仮説とレポーティング」の重要性も挙げた。
「常に仮説を持ってコンテンツを出し、レポーティングすることに非常にこだわってきました。ピザハットさんがTikTokを運用するメインの目的が『若年層の獲得』であったため、それにつながらない企画はどんなにおもしろそうであっても一切やらない。その線引きを徹底的に守るようにしていました」
TikTokのトレンドやアルゴリズムは移り変わるため、重要となるのは、レポーティングをもとにすばやく次の企画に反映させること。そこでLeading Communicationは、ピザハットのすべての動画の結果を一覧で可視化し、視聴完了率などの重要なKPIを細かくチェック。なぜこの投稿は数字が伸びたのか、伸びなかったのかなどの仮説を立て振り返りを行うことで、すぐにTikTokのアルゴリズムの変化にも気づくことができたという。そして、その学びを翌週の動画にすぐに反映させたことが効果にもつながった。
また、もうひとつ成功の要因を挙げるなら、TikTokに組み込まれているさまざまなメニューを上手く活用していたことだろう。新メニュー発売時には広告を回したり、スポットでタレントを起用したりと、単純にアカウントの運用をするだけではなく、TikTokのメニューを複合的に活用することで飽きさせないコンテンツづくりを実現していたのだ。
今後のTikTok運用について井上氏は、「リーチを獲得するだけでなく、フォロワーからファンへ、そしてファンからコミュニティへと展開していき、コミュニティづくりへとシフトしていきたい」と展望を語る。
Leading Communicationはユーザーのコミュニティ形成や熱狂的なファンづくりも得意としている。TikTokに出演する社員と直接店舗で会える企画やライブ配信など、「リアルとデジタルを行き来する」施策も検討中だ。
TikTokの活用には興味があるもののまだ手を付けられていない。運用を始めてみたものの思うような成果が出せていない。そんな人は、本事例を参考にしてみてはいかがだろうか。
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