働きかたと場所のありかたをアップデートせよ――オンとオフが融合する今、コンセントが取り組んでいること

働きかたと場所のありかたをアップデートせよ――オンとオフが融合する今、コンセントが取り組んでいること
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 コロナ禍を受けテレワークが普及した今、オフィスのありかたや意義を見直している企業も多いのではないでしょうか。そんなコロナ禍となる前の2019年から、オフィスリノベーションに乗り出していたのがデザイン会社・コンセント。本連載では、デザイナーならではの視点でコンセプトづくりからリノベーションを行ったそのプロセスを、解説していただきます。最終回は、リノベーションとともに考えてきた「これからの働き方」に向けた制度づくりや、オフラインとオンラインの融合が当たり前となった今こそ考える必要のある課題などについてです。前回に引き続き、コンセントで働く4名がTeamsで行った座談会の様子をお届けします。

コロナ禍による「当たり前の変化」が教えてくれたこと

「声の大きさ」に気づけるか? 所作をアップデートするという意識

芳賀(聞き手) オンライン会議をはじめ、コロナ禍をきっかけにそれまでの「当たり前」が変わりましたよね。これからの働きかたを考えていくヒントになると思うのですが、そうした当たり前の変化がもたらした気づきのようなものはありますか?

渡邊 よっぽど物理的に会う必要がない限りは、オンラインを前提に会議が組まれるようになりましたよね。僕はまさに今、物理的にオフィスにいて、棚の向こう側でも別の会議をやっていますが、あちこちでオンライン会議をやっている状態のためやはり音声が混ざります。もちろんセキュアな環境が必要な会議は、リノベーションしたオフィスにつくった閉じられた会議室で行いますが。

オフィスだとマスクをしてオンライン会議に参加しますが、人って無意識のうちに声のボリュームがだんだん大きくなっていっちゃうんですよね。大きすぎない声で話すなど喋りかたに気をつけたり、社内で「ちょっと声のボリュームを下げてもらってもいいですか?」とお互いさらっと注意し合うようにしたり。最近僕は長時間の会議が続きすぎてイヤフォンで耳を痛めたため骨伝導イヤフォンに変えたのですが、小さい音でもきちんと聞こえるので、デバイスを工夫して会議に参加するようにしています。

第2回の連載でもお伝えしたように、オンライン会議の需要に100%対応させるならば電話ボックスのような1名用の個室を大量につくれば良いわけですが、本質的にはそういう問題ではなく、人とのやりとりの中で解決していけると良いかなと。

僕たちは「ちょっと先の未来」を見なければいけない。そういう意味でも、「所作」は日々の積み重ねでしかアップデートできないので、みんなが気づいていけるようになるといいなと思っています。

オンラインの場を能動的にハックする

芳賀(聞き手) 渡邊さんはこうして話している間に背景画像をいろいろと変えていますが(笑)、背景への思いを教えてください。

株式会社コンセント 映像作家/クリエイティブディレクター 渡邊徹:オンライン座談会中、背景を意図的に変えて「会話のきっかけ」に。
株式会社コンセント 映像作家/クリエイティブディレクター 渡邊徹:オンライン座談会中、背景を意図的に変えて「会話のきっかけ」に。

渡邊 背景芸ってあるなと思っています。こうして実際に芳賀さんからのツッコミもありましたが(笑)、会話を生むためのツールとしてすごく優秀だなと。Zoomなら動画も設定できるので、たとえば渋谷を歩きながら撮った動画を背景にして打ち合わせに出れば、ちょっとした会話のきっかけにもなる。よく見られる名刺の背景も含め、これも所作のひとつになりつつあると思っています。

バーチャル背景としてオフィスの画像を全社員に配布する計画もあり、それが連帯感につながればと思っています。またリノベーションしたオフィスの一部に、仕事などでつながりのある作家さんとコラボレーションしてギャラリーをつくっています。「その後ろの作品、素敵ですよね」とオンライン会議中に会話が生まれたり、その背景画像をみた他社の方が、その作家さんへ発注するというつながりが生まれたらおもしろいなと思うんです。また、渡邊課フェスティバルという社内イベントを行ったときには、開催までその背景画像を使用し、告知に使用していました。

物理会議だったら難しい、オンラインでしかできないこともあるからおもしろいですよね。コミュニケーションを能動的に考えてハックしていくイメージです。まだオンライン会議にはいろいろな余地があると感じています。

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