ソフト面をどのようにデザインするか
リモートワーク中心となり見えてきた課題から、制度づくりの方向性を探る
芳賀(聞き手) オフィスのリノベーションをすると同時に、新しい働きかたに向けた制度の検討をしていましたが、どのように進めていったのでしょうか。
川原田 制度づくりのきっかけは、コロナ禍前からリノベーションに着手していた渡邊さんたちが、具体的なオフィスのレイアウトを考える際に「ハード面だけではなくソフト面、つまり新しい働き方のための制度を一緒に考える必要がある」と議論をしていたことです。そこから制度づくりに関心のあるメンバーが手を挙げて「新制度検討チーム」が結成されました。僕もそのひとりです。
新制度の検討にあたっては、業務遂行や勤務スタイル、社内コミュニケーションに関わることなど、ぱっと思いつくだけでもいろいろな方向性があります。そのためまずは、「どのような方向性がありえるのか」について、他社の事例も集めたりしながら発散的に議論をしていきました。
そうした議論をとおしてさまざまなアイディアが出た中で、とくに注力していくべきものとして集約していったのが次の4つです。
1.「働く場所」制度
検討を始めた2020年11月の段階で行われた議論は、コロナ禍が収束したあとでも、場所に縛られずに働くことが一般的になってくるだろうというものでした。そのため、より自由に働くことを促進できるように、「働く場所」に関する制度が必要ではないかと結論づけました。
2.オンライン会議設計ガイドライン
リモートワークがメインになり始めた当初、移動時間がなくなって効率化を図ることができる一方、会議の予定が隙間なく連続して入ってしまい、ちょっとした休憩がとりづらくなるなど、さまざまな課題がでてきました。会議の設定はできるだけお互いに配慮することも必要ですが、会社としてもオンライン会議を設計するガイドラインがあると良いのではないか、という意見も。こちらはすでに策定し、社内展開しています。
3.「雑談支援」対策
物理的にオフィスですれ違うことがなくなり、仕事で直接関わりのない人とのコミュニケーションが薄れがちになっていますよね。そこを何かしら支援する「雑談支援」対策を考えていこうとなりました。
4.「働き方提案」制度
たとえばワーケーションを制度化できたとしても、ご家族と一緒に住んでいる場合など「私にはうまく使えません」という人はきっと出てくるだろうなと。そこで、「自分はこのままの制度だと使えないけれど、こういう形だったらうまく活用できそう」といった、社員1人ひとりが自らアイディアを提案できる余地を同時に作ったほうが良いのではないかという話から、4つ目として「働き方提案」制度を考えました。