アドビ、Adobe Firefly Video Modelを発表 Adobe Firefly Image、Vector、Design Modelも強化

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2024/10/15 07:00

 アドビは、クリエイティブカンファレンスであるAdobe MAXにて、クリエイティブな生成AIモデルのファミリーであるAdobe Fireflyが動画へと対応を広げ、Adobe Firefly Image Model、Adobe Firefly Vector Model、Adobe Firefly Design Modelの既存モデルにおいても新たに画期的な進歩を遂げたことを発表した。また、大手ブランドや企業によるAdobe Fireflyの導入が大幅に加速していることも明らかにした。

 現在制限付きのパブリックベータ版が公開されたAdobe Firefly Video Model(ベータ)は一般に利用可能な最初のビデオモデルであり、安全に商用利用できるように設計されている。Adobe Fireflyは2023年3月に最初のベータ版がリリースされて以来、130億枚以上の画像を生成するために使用されており、直近の6か月間だけで60億枚以上が生成されている。

 アドビのデジタルメディア担当最高技術責任者(CTO)であるイーライ グリーンフィールド(Ely Greenfield)氏は、次のように述べている。「私たちのクリエイティブアプリケーションにおけるAdobe Fireflyの利用は急速に拡大しており、クリエイティブコミュニティがその可能性を最大限に引き出し、新たな領域に挑戦している様子は非常に刺激的です。私たちは、今後もさらに多くの、アイデア創出や作品の制作に役立つ、安全に商用利用可能なツールをクリエイティブプロフェッショナルに届けられることを楽しみにしています」 

新しいAdobe Firefly搭載機能

 Adobe Firefly Video Model(ベータ)は、Adobe Firefly Image Model、Adobe Firefly Vector Model、Adobe Firefly Design Modelを含むこれまでのアドビのAdobe Firefly生成AIモデルのファミリーを拡張し、Adobe Fireflyをクリエイティブチーム向けの最も包括的なモデルとして提供する。限定的なパブリックベータ版として提供を開始し、少数のクリエイティブプロフェッショナルから初期のフィードバックを収集する。このフィードバックは、モデルの継続的な改良と改善に役立てられる。

 Adobe Fireflyはリリース後1年以内にAdobe Photoshop、Adobe Express、Adobe Illustrator、Adobe Substance 3Dなどに導入され、Adobe Creative Cloudアプリケーションのさまざまなワークフローをサポートしてきた。また、100以上の言語のテキストプロンプトをサポートしており、世界中のユーザーが安全に商用利用し魅力的なコンテンツを作成できるようになっている。

 以下は、新たにAdobe Creative Cloudで提供されるAdobe Firefly搭載機能。

完璧なタイミングの動画編集を可能にする「生成拡張」(ベータ)

Adobe Firefly Video Modelを搭載し、本日からAdobe Premiere Pro(ベータ)で利用できる「生成拡張」を使用すると、クリップを拡張して映像のギャップを埋めたり、トランジションをスムーズにしたり、ショット延長して完璧なタイミングの編集を行うことができます。 

ユーザーコントロールを向上し、魅力的なビデオクリップを作成できる「テキストから動画生成」と「画像から動画生成」(ベータ)

Adobe Firefly Video Modelを搭載した「テキストから動画生成」と「画像から動画生成」は、本日からAdobe Firefly web版で制限付きのパブリックベータ版が利用可能です。「テキストから動画生成」では、動画編集者はテキストプロンプトに加え、アングル、動き、ズームなど、動画を微調整するためのさまざまなカメラコントロールを活用して動画を生成することができます。また、参照画像を使用して、タイムラインのギャップをシームレスに埋めるBロールを生成することも可能です。「画像から動画生成」は、静止画やイラストに命を吹き込み、素晴らしいライブアクションクリップに変換する機能です。

より高速な画像生成を可能にするAdobe Firefly Image 3 Model

Adobe Firefly Image 3 Modelの最新の進化により、従来モデルの最大4倍の速さで結果が出せるため、あらゆるレベルのクリエイターが数秒で生成された画像からアイデアを得ることができり。Adobe Firefly web版で利用可能に。

Adobe Photoshop:生成ワークスペース

Adobe Fireflyを使った「生成ワークスペース」をAdobe Photoshopに搭載。デザイナーのアイデア出し、ブレーンストーミング、 複数のコンセプトの検証を同時に行い、イメージしていたビジョンを形にすることができる。従来よりもビジュアルを速く表示でき、より直感的に操作しながらこれらの作業を行うことが可能。

強化されたAdobe Illustratorの「Adobe Firefly Vector Model」(ベータ)

Adobe Illustratorは、今年登場した最新の「Adobe Firefly Vector Model(ベータ)」に搭載された「生成塗りつぶし」(ベータ)、「生成再配色」、「テキストからパターン生成」をすべて導入し、デザイナーが素早くアイデアを創出したり、既存のアートワークやデザインに独自のスタイルで詳細なベクターを追加したりできるようにした。最新のAdobe Firefly Vector Modelでは、クリエイターはひとつのパターン内の要素の密度をさらにコントロールできるようになり、要素の密度を変更できるようになった。また、アドビは、マルチプレイヤー、コラボレーション、クリエイティブなコンセプト開発のための新しい機能であるAdobe Project Concept を先行公開した。リアルタイムで画像をリミックスできる機能により、クリエイターは1つのキャンバス上でコンセプトを作成することが可能になる。

新しいエンタープライズ向けサービスによる大規模なコンテンツ制作  

 さらに、企業がクリエイティブ機能および生成AI搭載機能にアクセスするためのAPIのコレクションであるAdobe Firefly Servicesにおいて、アドビは制作ワークフローのキャパシティを拡大する新しいサービスを発表した。これには、ベータ版が提供開始された「ダビングとリップシンク」が含まれる。これは、生成AIを使用して、一致するリップシンクで元の音声のサウンドを維持しながら、話されている会話を別の言語に翻訳する機能。さらに、ベータ版として追加されたUI、「Bulk Create, Powered by Firefly Services 」により、クリエイティブプロフェッショナルは大量の画像をより効率的に編集できるようになり、リサイズや背景除去などの作業が合理化される。

 PepsiCo/Gatorade、IBM、Mattel、IPG Health、Deloitteなどの企業は、Adobe Fireflyをワークフローの最適化やコンテンツ制作の規模拡大に活用しており、クリエイティブチームはクリエイティブなビジョンの探求にもっと多くの時間を使えるようになっている。