大日本印刷・DNPコミュニケーションデザイン・福井県立大、「VR恐竜展システム-福井恐竜編-」を開発

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2024/07/13 12:00

 大日本印刷(以下、DNP)と、企業の総合的なマーケティング施策を支援するDNPグループのDNPコミュニケーションデザイン(以下、DCD)は、福井県立大学の恐竜学研究所と共同で、「VR恐竜展システム-福井恐竜編-」を企画・開発した。2024年7月17日(水)から、福井県立恐竜博物館の本館3Fで公開される。

 同システムは、画像認識とVRの技術を用い、来場者が恐竜や展示物のミニチュアを自由に配置し、原寸大のスケールで展示会場を体験できる。同大学が保有する、福井県で発見された恐竜の全身骨格3Dデータと同システムを掛け合わせ、研究・教育にも有効な学術コンテンツを共同開発した。

 画像認識とVRの技術を用いてDNPが開発した本システムは、恐竜や備品などの展示物のミニチュアを来場者が自由に配置することで、ディスプレイに映る展示会場が原寸のスケールで組み上がっていく。今回、同大学が保有する「福井県で発見された恐竜の全身骨格3Dデータ」と本システムを掛け合わせることで、研究・教育にも有効な学術コンテンツを共同開発した。2024年7月17日(水)から、福井県立恐竜博物館の本館3Fで公開する。

「VR恐竜展システム」開発の狙い

 福井県立大学の恐竜学研究所は、恐竜化石を3次元(3D)データ化して学術研究に活用している。そのなかで、蓄積したデータを生活者にも幅広く提供し、教育などに活かすコミュニケーション手法を模索していた。

 DNPは博物館・美術館、学術機関などと協働し、人々が多様な芸術・文化と出会う機会の創出や、文化財・アート作品などのデジタルアーカイブの構築と新しい鑑賞体験システムの開発に取り組んでいる。その一環で、「デジタル技術とコミュニケーション手法の掛け合わせで生物としての恐竜の魅力を広く伝える」というコンセプトのもと、「自分だけの恐竜展」をバーチャル空間に表現できる体験コンテンツなどを開発し、2023年に東京の自社施設で開催した企画展「見かたを変える、ふしぎな恐竜展」で展示した。

 上記の課題を持っていた同大学の担当者が、この企画展に来場したことをきっかけに、両者は共同で、恐竜研究の成果を生活者の体験につなげるコミュニケーションツールの検討を開始した。今回、同大学が保有する3Dデータを活用することで、学術的視点に基づく教育用の新たな恐竜コンテンツを共同開発した。

「VR恐竜展システム」の概要

 本システムは、生物としての恐竜や恐竜研究に触れることができる教育向けの体験コンテンツ。2025年に同大学に恐竜学部が新設され、福井県で恐竜研究が活発になることを見据え、福井県立恐竜博物館に設置し、同学部の認知拡大や来場者が恐竜の新しい見かたと出会う機会の創出につなげる考え。

 同システムの利用者は、展示会場の実物模型のなかに、恐竜・壁・人物などのミニチュアパーツを自由に配置することで、「自分だけの恐竜展」をイメージした会場を作成できる。作成した空間はディスプレイに表示され、利用者はゲームコントローラーを使って、空間を自由に移動して展示を鑑賞できる。画像認識とVRの技術を活用することで、ミニチュアパーツがバーチャル空間では原寸大の比率となって表示される。

 表示する恐竜には、同大学が保有する、福井県で発見された恐竜の全身骨格3Dデータを活用。研究成果を反映したデータを使うことで、来場者に生物としての恐竜の魅力を伝え、恐竜研究や古生物学・地質学などへの興味の喚起につなげていく。

 同大学の今井拓哉准教授の監修のもと、バーチャル空間での恐竜の解説パネルの設定や、展示会場内を鑑賞して周る導線の設計など、実際に恐竜展を企画する際の工程を体験できるようになっており、本格的な恐竜展をつくり上げていく疑似体験を通じて、観る側だけでなくつくる側の視点からも楽しむことができる。

 同システムは、「恐竜コンサルタント」として社内外で広く活動するDNP社員が企画立案・プロデュースをおこなった。また、コンテンツ開発と利用者の体験に関わるデザインをDCDが行った。

 今後は、同システムをもとにしたワークショップ向けツールの開発や、同大学との新たな恐竜コンテンツの開発などを推進していく。