――まずは御社の事業概要について教えてください。
マキヤマブラザーズでは、C向けには個人の動画素材の販売を通じた「副業支援」を、B向けには、5G時代に向けた企業への動画素材提供を通じた「マーケティング支援」を行っています。
――動画クリエイティブの素材プラットフォーム「DeLMO for Advertiser」は、どういった特徴があるのでしょうか。
DeLMO for Advertiserは、2020年4月にリリースしました。広告業界向けに提供している「SNSやインフィード広告に最適化された動画素材」を収集することができるプラットフォームです。
――なぜDeLMO for Advertiserを開発しようと思ったのですか?
DeLMO for Advertiser開発の背景には、「動画素材不足」といった広告業界の課題があります。
- 長期にわたる、インターネット広告市場の2桁成長
- インターネット広告がテレビ広告市場を2019年に抜いた
- SNS(Instagram、Facebook、Twitter、LINE、TikTokなど)をはじめとした動画広告の成長が著しい
- 5G時代の到来により、インターネット広告の中でも動画広告が継続的に今後も成長する見込み
など、動画をとりまく環境をふまえると、動画広告の市場規模は広告業界においてもっとも市場成長のポテンシャルが高いと考えています。そんななか、従来型のストックフォトサービスも動画素材の販売は行っているものの、急成長しているSNSやインフィード広告に最適化された素材ではなく、ホームページの制作などで活用できそうな動画素材が中心になっているように感じます。
またほかの素材収集の方法として、インフルエンサーからの動画撮影依頼などもありますが、キャスティング単価が高く、コスト回収が難しいのも現状です。その結果、代理店の方々が自力で撮影を行い、動画素材をひとつずつ収集しているのが主流のように思いますが、どこの広告代理店も膨大な業務量を抱えているため、上位数割の広告主にしか一点一点の素材撮影を行えていないのが実情ではないでしょうか。
そのような課題感を持つ広告代理店にDeLMO for Advertiserを解放することで、動画素材不足の問題を解消していけるようになりたいと考えています。
一方、私の根本には、自分を育ててくれた広告業界に恩返しがしたいという想いがあります。弊社のボードメンバーは全員が広告畑出身のメンバーで組成されています。広告業界にバックボーンがあり、それぞれが独立し活動を続けていたこともあり、私の想いに共感したメンバーが集まっています。何かしらの形で広告業界が抱えている課題に貢献できるサービスを作ることで、「恩返し」を体現していきたいです。
――開発にあたり、苦労した点はありますか?
エンジニアやデザイナー人材の確保に苦労しました。私自身、サービスの構想を描くことはできても、ディテールまで含めて、それを形にできるだけのプログラミングスキルや、デザインスキルがあるわけではないので、そのポジションが揃えられるまでは、どうしても開発のスピードを担保することが難しかったです。
上記を解決策するべく実施したのが、最近スタンダードになってきていますが、副業メンバーの募集強化です。知り合いのつてをたどりながら、そのジャンルにおけるスペシャリストのリソースをスポットで借り、開発のスピード感を落とさないよう心がけました。
――これからDeLMO for Advertiserをどのようなサービスに成長させていきたいですか?
サービスそのものについては、動画クリエイティブの自動生成ツール(AIが素材を自動的に組み合わせ、クリエイティブを作成するツール)が昨年2019年あたりから広告業界でも広く使われるようになりました。それらのツールと弊社のサービスが連携することで、素材収集(0→1)は「DeLMO for Advertiser」、動画制作(2→10)は「自動生成ツール」というように補完関係を築き、広告業界全体の労働環境改善に貢献していきたいと考えています。
また、5Gが今年本格化すると言われていますが、いまだ広告業界における動画制作の体制は不十分な状態が続いています。そのため、本サービスが業界に浸透することによって、動画フォーマットのクリエイティブがウェブやSNS上でどんどん増えていき、代理店も広告主も満足のいくウェブマーケティング施策が実現できることを願っています。