DNP・渋谷未来デザイン・宮下公園パートナーズ、新しい公園の価値を創出し地域還元を目指す実証実験開始

  • X
  • Facebook
  • note
  • hatena
  • Pocket
2021/07/11 05:00

 大日本印刷(以下、DNP)と渋谷未来デザイン、渋谷区立宮下公園の指定管理者の宮下公園パートナーズの3者は、現実の渋谷区立宮下公園を仮想(バーチャル)空間上に高精細に表現した「渋谷区立宮下公園 Powered by PARALLEL SITE(パラレルサイト)」をオープンした。渋谷区の後援のもと、公共空間の高度利用に向けた取り組みのひとつとして実証事業を開始する。

「渋谷区立宮下公園 Powered by PARALLEL SITE」の概要と特徴

 渋谷区まちづくりマスタープランでは、人々がいきいきと過ごせるパブリックスペースの創出や利活用を掲げている。DNP・渋谷未来デザイン・宮下公園パートナーズは「公園の高度利用」を目的とし、バーチャル空間「渋谷区立宮下公園 Powered by PARALLEL SITE」を構築。DNPは、宮下公園パートナーズの協力のもとバーチャル空間を制作し、さらに渋谷未来デザインと連携してリアルとバーチャルの公共空間を連動させた多様な取り組みを行う。3者が連携することで、公園の価値向上や新たなコミュニケーション創出、地域活性化を促し、渋谷の新しいカルチャーを発信していく。

ユーザー同士が自由に楽しめる公共空間とイベント

 スマートフォンなどの情報端末で世界中どこからでもアクセスして楽しめる「ブラウザ版」と、ヘッドマウントディスプレイなどを装着して、より高精細な環境を楽しめるソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」のふたつの空間をオープン。「ブラウザ版」、「VRChat」とも、昼と夜のバーチャルな宮下公園を楽しみながら、アート展やオリジナルグッズの購入を体験できる。利用者は自分の分身となるアバターを選んで、バーチャルの公園の散策やイベントに参加し、同時に参加しているユーザー同士の音声会話や、バーチャル空間内での写真撮影、「楽しい」「素敵」などの自身の感情のスタンプでの表現などを行うことで、より深い交流を楽しむことができる。

リアルとバーチャルが連動した渋谷区立宮下公園の高度利用

 リアルとバーチャルの宮下公園を連動させて、公共空間の高度な利用を行う。オープン時に開催するアート展では、リアルの公園内のポスターのQRコードを読み込むと、バーチャル空間にアクセス可能。今後も、リアルとバーチャルが連動した体験価値を企画、検証し、新しいコミュニケーション創出へつなげる。

開かれた自己発信の空間へ

 バーチャル空間の機能を活用して、人々が新しい体験やカルチャーを発信できる空間を目指す。地域の魅力発信やクリエイターの作品発表、生活者の自己表現や交流、企業のメッセージ発信のためのイベントなど、さまざまな取り組みを時間や場所に関係なく同時多発的・パラレル(並行)に展開できる。

開催イベントの概要

アート展「YOU’RE THE WORLD」 ―山本奈衣瑠の絵画解説しちゃうぞ―(ブラウザ版)

 渋谷区が目指す未来像「ちがいをちからに変える街」に基づき、「You’re the World」をコンセプトとし、人(キュレーター)を通じて、文化・価値観・世代などの「ちがい」に潜む“感性”を体験できる展示会を開催する。絵画に造詣が深いモデルの山本奈衣瑠(ないる)氏がキュレーターとなり、名画34点を選び、「実は面白い絵画の世界」をテーマに、独自の観点で音声解説する。解説にあわせた説明の字幕表示や絵の一部が拡大するなど新しい鑑賞体験もできる。展示作品のひとつであるシスティーナ礼拝堂の天井絵を実物と同じように頭上に展示するなど、バーチャルならではの工夫を凝らした展覧会に。DNPアートコミュニケーションズの画像ライセンス事業〈イメージアーカイブ〉で提携している国内外の美術館・博物館の高精細デジタル作品画像を活用し、コロナ禍で海外の美術館に行く機会も制限されているなか、また現実には一堂に集めることが困難な世界中の絵画をどこにいても堪能できる企画となっている。

 3者は「渋谷区立宮下公園 Powered by PARALLEL SITE」を地域の新しいコミュニケーションの場として区民や来訪者など、多くの生活者に提供していく考え。また、企業と連携した取り組みを実施するほか、渋谷区内の学校と連携したバーチャル空間体験プログラムや渋谷区主催のイベントと連動した企画なども、今後展開していく計画だという。