日本電信電話(以下、「NTT」)と電通は、未来のXR市場の拡大と社会実装に向けて、VR空間における大規模イベントプラットフォームと広告事業のあり方を検討するため、2021年9月30日からオンラインで開催されている「東京ゲームショウ VR 2021」(以下、「TGSVR2021」)においてVR広告の共同実証を実施することを発表した。
NTTはコロナ禍におけるニューノーマルとして、リモートが前提となる社会の実現をめざし、XRの市場をさらに拡大させていくために、XRビジネスを推進しており、VR空間プラットフォーム「DOOR(多人数が参加可能で参加者がそのなかで自由に行動できる、通信ネットワーク上の仮想空間)」を提供している。
また、電通はグループ横断の共創型組織「XRX STUDIO」を発足し、XRを活用した事業構想からマーケティングソリューション開発、UI/UX開発、運用、PDCAまでをワンストップで提供し、ビジネスやライフスタイルのカタチをつくり変えていく、XRトランスフォーメーションを推進している。
今回両社は、大規模なVRイベント空間におけるイベントプラットフォームと広告モデルのあり方を検討するため、東京ゲームショウ史上初のVR開催となる「TGSVR2021」で共同実証を実施する。
NTTグループの通信関連テクノロジーやプラットフォーム運営ノウハウと、電通グループのVR基盤システムやイベント運営・スペース設計ナレッジ、そして広告事業ノウハウを掛け合わせることで、新しい価値を生み出すバーチャルイベント体験を東京ゲームショウのなかで実現。VR空間ならではの「体験型の広告」を提供することで、面白さや感動とともに、より伝わりやすいかたちで情報を提供することが可能となる。
VR広告モデル実証の概要
VRによる3D・没入型の広告は、PC・スマートフォンのようなスクリーン上(2D)での広告に比べ、技術的な仕組みはもちろん、広告から得られる便益や、触れてからの行動変容までまったく異なるものになると考えられるが、何がもっとも効果的なのかは未だ定まっていないといえる。
VR空間では、企業やブランドは平面的なブース展示ではなく、自由で立体的な表現で世界観を構築することができ、その世界観をユーザーにアバターを介して全身で体感してもらうことが可能に。これまでの、広告を「見せる発想」から「体験させる発想」へ変えることで、より多くの情報がユーザーごとにもっとも効果的なかたちで伝わり、その後の購買や行動の変容につながる。
また、スクリーン上(2D)で指と目を使った「閲覧時間」から、全身を使った「体験時間」へと深度が増すことで、3D広告そのものがワクワクと感動ができる体験へと進化できるものと考えている。
今回の「TGSVR2021」では、来場者にVR空間のなかで楽しんでもらえる3D広告体験を複数パターン設計しており、NTTの展示スペースをはじめとする会場内に配置するとともに、それぞれの効果を計測し、比較、検証する予定となっている。
今回実証する3D広告体験例は、次のとおり。
その場にいるような体験設計
まるでその場にいるような等身大かつ、リアルな【3Dオブジェクトコンテンツ】、所有できる・購入できる【アバターグッズ】など、VRならではのユーザー体験を提供する。
臨場感あるブランド訴求
VR空間内で、遠くにある動画や画像を、自分の目の前に引き寄せて拡大閲覧ができる【Grab & Play看板】で、臨場感と迫力のあるブランド訴求を行う。
ユーザーが楽しめる導線設計
会場内に設置されたキャラクターがユーザーとコミュニケーションを取ることで、ユーザーに次の行動を案内する【キャラクターコミュニケーション】。誰もが迷わず楽しめるスムースな導線を設計する。
キャラクターの立ち位置、動作を使ってユーザー同士が、同じ行動をするように促し、【ユーザー間での共鳴体験】を誘発する。
今後、NTTは、同イベントのオフィシャルVRテクノロジーパートナーとして、VR空間プラットフォーム「DOOR」を、電通は、共催社として大型イベントのVR化を魅力的・効果的に実現する「Virtual EXPO Solution」を、同イベントの基盤として提供し、国内外でのイベント知見をフルに活用していく。今後の東京ゲームショウの発展にも両社のテクノロジーを活かしていく予定とのこと。
また、両社は同イベントを皮切りに、同検証の結果を生かしながら、国内外のさまざまなXRイベントで、来場者と出展者の双方の価値の最大化と、XR広告モデルの成功パターンのさらなる検証を実施していくという。