人を中心に据えた「ライフ起点」戦略を推進する企業は不確実な時代でも飛躍的に成長/アクセンチュア調査

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2022/12/09 10:00

 アクセンチュアは急速に移り変わる世界において、変化し続ける顧客のニーズに対して企業はどう対応すべきかをテーマに、経営層に対してアンケートとインタビューを実施。「ライフ起点ビジネスの戦略ガイド:企業が人々と価値ある関係を築き成長するための5つの実践シナリオ」と題したレポートを発表した。

 同レポートによると、企業が提供するサービスや製品の多くは顧客のニーズや価値観の変化に追いついておらず、企業が成長するためには、人々の暮らしや価値観に影響を与える社会、経済、環境といった外部要因まで理解しながら柔軟に価値を提供する「ライフ起点」戦略が有効であることが明らかに。この戦略を推進する企業は、他社と比較して年間成長率において9%、また、市場投入スピードで3倍、顧客生涯価値で5倍上回る可能性があることが明らかとなった。

 同レポートでは人々の暮らしや価値観に影響を与える社会、経済、環境といった要因まで理解しながら柔軟に価値を提供する「ライフ起点」戦略を定義し、その詳細を解説している。

 昨今、経済、社会、環境、政治は変化し続け、顧客の行動はますます予測不可能で、矛盾していると感じられる行動をとることもある。これまで企業は、性能を重視した製品中心のアプローチから、顧客体験を重視する顧客中心へシフトしてきた。今後、企業が成長するためにはライフ起点戦略が必要だと調査レポートは提言している。

 同レポートでは、95%の経営幹部がデジタル・トランスフォーメーション(DX)を加速しているものの、97%は「DXを実践して世の中の変化についていくことはできても、新たな成長や顧客の共感を得るには至らない」と認識していることが判明した。こうした結果を踏まえ、不確実な社会にあって、ひとを包括的に理解するライフ起点戦略をとる企業が実践する5つの変革方法をまとめた。

1.人々を多面的に深く理解する

高い成長を遂げる企業は、データやAIと人の創意工夫を組み合わせて、顧客の多面的な生活をより深く理解し、提供価値の向上につながる新たな機会を見出している。このような企業は、他企業に比べて最高水準の利益成長を実現する可能性が16%、最高水準の従業員定着率を達成する可能性は19%向上する。

2.価値創造の領域を広げる

持続可能な成長を目指して顧客、社会、環境、そして従業員に対して価値を提供する企業は、最高水準の市場シェア拡大を実現する可能性が26%、顧客生涯価値を最大限に高める可能性が24%向上することがわかった。

3.創造力で業界の枠を越える

テクノロジーと人材をクリエイティブに活用し、顧客ニーズを満たすために業界の枠を越えて広範なエコシステムに加わる企業は、新規事業から最高レベルの収益成長を遂げる可能性が32%、最速の市場投入スピードを実現する可能性が29%向上する。

4.シームレスで快適な顧客体験をデザインする

あらゆる顧客接点を統合し、シンプルで魅力的な体験を設計することで価値の最大化を図る企業は、最高水準の顧客満足度を得る可能性が26%、最速の市場投入スピードを実現する可能性は26%向上することが明らかとなった。

5.柔軟なオペレーション体制を構築する

社員が最大限力を発揮できるようテクノロジーを活用し、業務プロセスを管理するプラットフォームを全社で統一し、変化に機敏に対応する柔軟な組織作りを行った企業は、最高水準の収益成長を達成する可能性が28%、最高水準の利益成長を達成する可能性が23%向上する。

 アクセンチュア ソングのCEO兼クリエイティブ・チェアマンであるデビッド・ドロガ(David Droga)氏は、「複雑な課題やチャンスがあらゆる方面から次々と押し寄せる今、業界を問わずあらゆる企業は将来を見通すことのできない状況に置かれています。顧客にとって必要な存在であり続けることがこれまで以上に難しくなる中、企業は大胆かつクリエイティブに自身を変革し、かつ顧客の変化のスピードに合わせて取り組みを継続することで成長を遂げることができるでしょう」と述べている。

調査方法

アクセンチュアは急速に移り変わる世界において、変化し続ける顧客のニーズに対して企業はどう対応すべきかをテーマに、経営層に対してアンケートとインタビューを行った。調査は14ヵ国、19業種の経営幹部1,700人以上を対象に、2022年2月から8月にかけて実施した。