電通は、クリエイティブ部門の新たなワークスペースを本社内に開設した。部門メンバーが自らリサーチからデザインまでを手がけ、「共創のスペース」と「静かに考えるスペース」をコンセプトに、多様な専門性を有するメンバーが集まりイノベーションの創出を加速する新たな空間として、本格的に活用を開始した。
同社のクリエイティブ部門は、広告制作やブランディングに加え、リサーチ・分析などのコンサルティング領域、UI/UXデザイン、場所作り・プロダクト作り、テクノロジー開発、体験設計など、幅広い領域で多くのメンバーが活躍している。近年は顧客企業のオフィス空間作りなども支援しており、課題発掘のリサーチ、オフィス設計、サステナビリティを意識した備品選定なども手掛けている。
それぞれのメンバーが個人の専門性を発揮するデザイン業務や、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まり新たな価値創造に取り組むプロジェクトなど、仕事の内容や働き方は多岐に渡る。リモートワークの定着など働き方が多様化するなか、メンバー同士がさらに交流を深め、より創造性が発揮できるワークスペースへと進化させていく。
「共創のスペース」と「静かに考えるスペース」
ワークスペース新設に向けたリサーチの結果、既存のオフィス空間において、次の課題・要望が明らかになった。そこで、情報セキュリティを維持しつつ、フロアを「共創のスペース」と「静かに考えるスペース」のふたつのコンセプトで分け、メンバーそれぞれの多様な働きかたを実現する場が誕生した。
- 「従来のフロアは効率的な席配置や動線を重視。一方で、ふとした会話が生まれにくく、お互いの様子が見えにくいため、クリエイティビィを高める偶然の『交流』が少ない」
- 「オフィスならではの集中力を発揮したい。外音の影響を受けず仕事に打ち込み、本や大きな資料を机に広げて作業したい」
「共創のスペース」では、人が自然な距離感で接触できる「交差点」となるスポットを、人間工学やUIの知見を取り入れ複数導入した。仕事中にメンバー同士で自然にアイコンタクトができ、無意識のうちに出会いや接点が生まれ、お互いが話しかけやすい距離感を取れる設計を、スペース全体で実現している。
また、多様なメンバーがそれぞれのクリエイティビティを発揮できるよう、ユニークなサインオブジェクトや会議室をデザインし配置。交流を促進するアートワークや、「青龍の間」「お茶の間」などがコンセプトの会議室も導入している。
「静かに考えるスペース」では、お互いの距離を大きく取り、個人で広く使えるデスクスペースを導入。音に関するルールを設けるなど、本当に必要な集中を実現するための運用方法をUXの専門家も交えて策定し、オフィスワークならではの集中力を発揮できるスペースを確保した。