電通デジタル、「∞AI」を大型アップデート デジタルマーケティングにおけるAIエージェント運用開始

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2025/03/27 06:30

 電通デジタルは、AIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」を大型アップデートし、社内での本格運用を開始する。各ソリューションにAIエージェントを導入し対話を重ねることで、企業のデジタルマーケティング活動支援の高度化・効率化・利便性向上の実現を目指す。

 企業経営における生成AI活用において、能動的にタスクを考え、必要なシステムやデータにアクセスし、タスクを実行する「AIエージェント」技術が注目されている。

 とくにデジタルマーケティング分野においては、データ分析・企画立案・顧客理解・コンテンツ生成などのプロセスをAIエージェントとの対話を通して実行することで、人間とAIの理想的な協業が加速することが期待されている。

 一方で、企業がAIエージェントを戦略的に活用するには、データ統合・処理基盤の整備および各種AI機能間のシームレスな連携が不可欠。

 こうしたビジネス環境の変化に対応し、電通デジタルは「∞AI」の各ソリューションにAIエージェント技術を導入する大型アップデートを行った。

 電通デジタルの生成AIを活用したサービス開発力と独自データの活用・分析力を軸に、担当者が各AIエージェントと自然な対話を交わしながら最適な解決策をスピーディーに生み出し、企業のデジタルマーケティング活動の支援において、施策の分析から戦略立案、改善策の実施までPDCAサイクルの高速化を実現する。

 具体的には、デジタルマーケティングにおけるデータ分析のエージェント型ソリューション「∞AI Marketing Hub」内における4つのソリューションの開発と、デジタル広告の制作プロセスをAIにより効率化・最適化する「∞AI Ads」において、画像・動画生成、効果予測の精度向上およびフローの対話化のアップデートを行った。

「∞AI(ムゲンエーアイ)」ブランドの全体図
「∞AI(ムゲンエーアイ)」ブランドの全体図

「∞AI Marketing Hub」の4つの新ソリューションについて

 「∞AI Marketing Hub」は∞AIブランドを支える基盤として、これまで各企業固有のデータの学習やマーケティング活動に活用可能な各種AIモジュール・データアセットを取り込み、企業のマーケティング活動を支援してきた。今回「∞AI Marketing Hub」内に新たに4つのソリューションを開発し、データの分析や利活用、その後のデジタルマーケティング施策立案に貢献する。

1)∞AI Customer Data Hub(ムゲンエーアイ カスタマー データ ハブ):さまざまなデータを自動で構造化

企業が保有する1stパーティデータやAIチャットで取得した対話や各種調査から得られるデータに加え、電通デジタルの各種マーケティングデータなどを自動的に統合・構造化し、顧客1人ひとりのカルテをリアルタイムで生成。データの一元的な閲覧性が向上し、その後のAIによる洞察抽出・施策生成の精度を飛躍的に向上させる。

2)∞AI Customer Twin(ムゲンエーアイ カスタマー ツイン):仮想顧客AI生成

「∞AI Customer Data Hub」に蓄積・統合されたデータをもとに、顧客1人ひとりの心理・行動特性を忠実に再現した仮想顧客AI(カスタマーツイン)を生成する。担当者がAIエージェントを通じ、仮想顧客との対話型インタビューや調査を迅速に実施することで、マーケティング施策の仮説検証や分析、施策の検討・提案を高速に行うことが可能となう。

3)∞AI MC Planning(ムゲンエーアイ マーケティングコミュニケーション プランニング):マーケティングコミュニケーション施策のプロセスを対話化

「∞AI MC Planning」は、広告配信におけるメディアプランニング、広告コピーの企画・効果予測などのマーケティングコミュニケーション(MC)施策における一連のプロセスを一気通貫でAIエージェントとの対話形式により実現する。「∞AI Customer Data Hub」および「∞AI Customer Twin」とのシームレスな連携を通して、顧客1人ひとりの特性を踏まえパーソナライズされたメディアコミュニケーションプランをリアルタイムに提示し、企業の迅速なマーケティング意思決定を実現する。

4)∞AI CX Planning(ムゲンエーアイ カスタマーエクスペリエンス プランニング):CX改善のアイデア創出プロセスを対話化

「∞AI CX Planning」は、顧客体験(CX)の改善を目的とした、カスタマージャーニー設計や対話型AIチャットを活用した新規事業・サービスのアイデア創出、既存事業の高度化などのアイデア創出のプロセスをAIエージェントとの対話形式で実現する。「∞AI Customer Data Hub」「∞AI Customer Twin」に蓄積された顧客の嗜好、購入履歴、インサイトなどのデータとの連携により、それらを統合的に反映した顧客体験の設計を迅速に実施することができ、革新的な商品・サービス創出の実現を加速する。

 上記各ソリューションは単独でも活用可能だが、AIエージェントとして複数のソリューションがシームレスに連携し、担当者は一連のAIとの対話の中で各ソリューションを利用することが可能。

「∞AI Ads」のアップデートについて

 デジタル広告の制作プロセスをAI活用により効率化する「∞AI Ads」では、画像、動画生成、効果予測においてAIエージェント技術を融合したアップデートを行う。

1)マルチモーダル生成AIの搭載

これまで活用してきた機械学習に加え、マルチモーダル生成AIを搭載し、効果の予測・改善サジェストの精度を大幅に向上する。一般常識やマーケティング手法などを学習しているマルチモーダル生成AIを活用することで、企業の保有しているデータを加えるだけで対話形式での高精度な予測を出力することが可能になる。

2)対話形式でのプランニング・施策実施

「∞AI MC Planning」で出力される広告配信におけるメディアプランニング、広告コピーの企画・効果予測の施策案を基に、対話形式で実際に配信するクリエイティブの生成やその効果予測・改善といったPDCAサイクルを実現する。

 電通デジタルは、今後も「∞AI」を中心としたAI活用によるマーケティング活動の支援体制をさらに強化しながら、dentsu Japanおよび海外の電通グループの各種ソリューションと、AIエージェントを経由してシームレスに連携・統合するエコシステムの実現を目指している。AIエージェントが電通グループ内のさまざまなシステム・サービスとの橋渡し役を果たし、新たなマーケティングプロセスの自動化およびマーケターの業務支援をさらに高度化させることで、企業の事業成長に貢献していく。