リノべる、MR活用の遠隔施工管理を実証実験 建築現場と設計士の円滑な意思疎通で業務効率化と品質向上へ

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2020/08/06 05:00

 テクノロジーを活用したリノベーション・プラットフォーム事業を展開するリノべるは、日本マイクロソフトが提供するHoloLens 2および遠隔支援ソリューションDynamics 365 Remote Assistなどの、Mixed Reality(MR:複合現実)技術を活用した遠隔施工管理における実証実験(PoC)と一部現場への導入を実施する。

 案件ごとに条件や躯体の状況が異なるリノベーションの住まいづくりでは、施工現場におけるタイムリーな確認や意思疎通が重要となる。設計施工担当者は進捗状況や仕様確認のために現場を訪問するが、これは重要な業務である一方、建築・建設業界の長時間労働や、クリエイティブな業務に集中しづらいという課題の要因となっている。

 この課題に対し、同社では2020年3月に発表した施工管理プロセスの遠隔化に向けたPoCを行うなかで、現在もさまざまなデバイスを活用しながら適用技術や業務オペレーションの設計と検証を行っている。

 今回、通常の2次元映像を用いた遠隔施工管理における実空間への指示の出しづらさや、設計図をはじめとする資料共有が難しいという問題を解消するため、マイクロソフト社が提供するHoloLens 2およびリモートアシストソフトウェア(Dynamics 365 Remote Assist)を用いたPoCおよび一部現場への導入を実施する。

 同プロジェクトでは、施工現場で現場担当者がHoloLens 2を着用し、Dynamics 365 Remote Assistを利用することで、オフィスにいる設計者のPC上でMicrosoft Teamsを通してコミュニケーションをとることが可能となる。現場担当者の目の前には設計士からの指示や設計図をはじめとした関連資料が実空間上に提示され、オフィス側の設計者は高解像度の現場映像の確認などを行うことで、今まで生じていた確認箇所や作業指示に関する認識合わせの難しさの解消を目指す。

 HoloLens 2およびDynamics 365 Remote Assistは施工現場だけではなく、製造現場や医療現場などを通して活用されているサービス。HoloLens 2の最新のMR技術により、遠隔管理業務の難点であった広さ・高さ・奥行きの3次元空間の把握や指定が、設計士や施工管理者の居場所に依存せず実現できるようになるという。

 同PoCおよび一部現場への仮導入では、MRのメリットを享受するだけでなく、当該技術の制約条件やそれに対応するための実オペレーションを検証することで、実際の業務装着を想定した今後の意思決定や業務設計のインプットを生み出す機会とする。

 HoloLens 2の現場導入については、当該サービスの強みが活きる複数の施工案件から開始し、6ヵ月程度の仮運用で実際の利用における特性や相性を鑑み、対象範囲の拡大を検討していくとのこと。