半数以上のアプリが30日以内にアンインストール インストール後24時間が重要/AppsFlyer調査

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2021/03/18 05:00

 モバイル広告効果計測プラットフォームとマーケティングアナリティクスを提供するAppsFlyer Japanは、2020年におけるモバイルアプリのアンインストールに関するレポートを発表した。同社が保有する2,000以上のアプリデータ、2020年1月〜11月における約8億件のアプリインストールデータをもとに、世界のモバイルアプリ市場のアンインストールに関する動向をまとめた。

 同レポートの詳細は、次のとおり。

世界の50%以上のアプリが30日以内にアンインストールされている結果に

 同社のデータによると、世界でインストールされているアプリの半数が、ダウンロードされてから30日以内にアンインストールされていることがわかっている。

 インストール30日以内におけるアンインストール率のグラフを見ると、2020年1月と2020年3月以降でアンインストール率が急上昇。1月は新年という点と長期休暇明けというふたつの要因によって新しいアクティベーションが起こり、3月以降は新型コロナウイルスの感染拡大による在宅時間の増加、およびモバイル接触時間の増加が起こった。特に3月以降は、ゲーム業界のマーケターがユーザー獲得キャンペーンを積極的に実行したことで、ユーザーがモバイルアプリを新しく試す期間としてインストールアクティビティが増加。それは、同時にアンインストール数の増加にも直結する。

ユーザーを掴むもっとも重要なタイミングは、インストール後24時間

 ユーザーがアンインストールする理由を正確に特定し、最適化を戦略的に行うためには、マーケターは時間の経過にともなうレートにも注意する必要がある。同社のデータによると、インストール後24時間は、ほとんどのユーザーがアプリをアンインストールするタイミングとなっている。

 インストール後30日間においてはすべてのカテゴリーで同様の傾向を示しているが、ソーシャルアプリとファイナンスアプリはほかのカテゴリーの平均と比べてインストール後24時間のアンインストール率が35%高くなっている。

カテゴリー別では、ゲームアプリがもっとも高いアンインストール率を記録

 アンインストール率をアプリのカテゴリー別で見ると、ゲームアプリがもっとも高いアンインストール率に悩まされている。30日以内にアンインストールされるゲームアプリの約6割は、ユーザーが常に新しいタイトルを試す探索的な性質が要因に。ユーザーは、ゲームアプリにおいてインストールをお試し感覚で行うため、そのゲームの第一印象がポジティブでない場合、瞬く間にアンインストールされると推察される。

 また、世界的なハイパーカジュアルゲームとカジュアルゲームの人気により、ゲームの保管寿命が短くなっている傾向に。これらのジャンルでは、アンインストール率が特に高く、ハイパーカジュアルで72%、カジュアルで61%。一方で、ハードコアゲームにおいても、高度なゲーム攻略にかかる時間やコストに対してユーザーが諦めてしまうパターンもあり、高いアンインストール率となっている。

 さらに、スマートフォンのストレージ容量が限界を迎えたとき、ユーザーはプライベート写真やほかのカテゴリーのアプリよりも、ゲームアプリを優先的にアンインストールする傾向に。それに比べて、ショッピング、フードデリバリー、そのほかライフスタイル関連のアプリは、より長い保管寿命を持ち、より低いアンインストール率となっている。

発展途上国におけるアンインストール率は先進国に比べ33%高い結果に

 世界地図におけるアンインストール率を見ると、発展途上市場と先進国市場が明確に区別されていることがうかがえる。ブラジル(57%)、インド(59%)、インドネシア(59%)といった大規模な発展途上市場では、アンインストール率がもっとも高い割合を示す。全体として、発展途上国の平均アンインストール率は56%に達し、先進国(米国、英国、日本、韓国、フランス、ドイツ)の平均より3割程度高くなっている。

 一方で、先進国もアンインストールを低く抑えられているわけではなく、平均40%を超える結果となっている。

Androidのアンインストール率はiOSの2倍に

 OS別のアンインストール率を見ると、Androidにおけるアンインストール率は、iOSでのアンインストールの2倍の数値となっている。各プラットフォームの主な違いは、「ストレージの容量」だという。Androidの多くは発展途上国で使用されており、平均的なAndroidデバイスのストレージは小さくなっている。その結果、ユーザーは自分のデバイスに本当に必要なアプリのみを保持する。

 また、平均的なiOSデバイスの品質は平均的なAndroidデバイスよりも高いため、パフォーマンス関連(特にアプリのクラッシュ)、セルラーネットワーク関連(低速)において、優れたユーザーエクスペリエンスを提供。その結果、iOSでは高いエンゲージメントを維持でき、アンインストール率低下に寄与していると考えられる。

アンインストールはマーケティング予算の直接的な損失に

 2020年におけるアプリのマーケティング予算の月間平均損失は約600万円で、2019年に比べ約7割増加と拡大。2019年に比べ増加した背景には、アプリあたりの平均アンインストール数が31%増加し、インストールあたりのコストが35%増加したショッピングカテゴリーがある。ショッピング、フード&ドリンク、ファイナンスのアプリのCPIが高く、リストのトップになった。