30代以下の62%がSNSで動画を視聴 短編動画は昨年から7pt増加し6割が利用/ニールセン調査

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2022/10/31 09:00

 視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタルは、消費者のマルチスクリーンの利用動向調査「ニールセン デジタル・コンシューマー・データベース2022(Nielsen Digital Consumer Database 2022)」をもとに、デジタルコンテンツの視聴動向についての分析結果を発表した。同調査は、2012年より継続調査を行っている。

 消費者のメディア視聴環境が多様化するにつれ、さまざまなデバイスやプラットフォームで費やされる視聴時間の分散化が続いている。なかでもインターネット上の動画視聴は今までも多くの注目を集めてきたが、とくに近年はSNSでも動画を視聴する機会が増加し、ショート動画の人気が高まるなど、さまざまな形態での動画視聴が定着しつつある。

 2022年の9月時点では40%のインターネット利用者が主要SNS上で動画を視聴し、若年層ほどその傾向は強く、30代以下では62%がSNS上で動画を視聴。そのなかでも30秒以上の動画がもっとも多いものの、30秒未満の短編の動画は昨年から7ポイント増加し60%に利用されている。数年前に「Instagram」にリール機能が追加されるなど、各サービスでの機能追加によって短編動画視聴は着実にSNS利用者のなかで定着してきていることがうかがえる。

 短編動画の場合、限られた時間のなかでさまざまなコンテンツを手軽に楽しむことができるため、短編動画視聴者はより短い時間のなかでより多くの情報を得ることを重視していることが推測される。また、短編動画を視聴する人ほどSNS内のおすすめ機能を活用する割合が低く、自分の気に入ったものを自分から探して視聴している傾向がある。つまり、メディア視聴環境が多様化するなかで自分の好きなコンテンツを中心に視聴する短編動画視聴者は、各メディアに費やす視聴時間の分散化を促し、自分の興味に合わせてコンテンツを部分的に選んでいることが考えられる。

 実際にSNSで動画を利用する人では複数デバイスを利用する傾向も高く、インターネット利用者全体では43%が複数デバイスの同時利用経験があるのに対し、SNSで短編動画を視聴する人では60%にのぼる。また、テレビを視聴しながらのスマートフォン利用がもっとも多く85%、30秒未満の短編動画を利用している人ではその傾向がとくに高くなっていた。

 同社シニアアナリストのコヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、次のように述べている。

「同じサービスの中でも、その利用方法や目的は多様化し続けています。中でもSNS上でスキマ時間に利用できるような、短編動画の利用が増加傾向にあります。近年はその短編動画に着目して、マーケティングプランに取り入れているマーケティング担当者も増えていることでしょう。一方で、短編動画を利用する人ほど、テレビとの重複利用が多いこともわかりました。マーケティング担当者としては、新しく定着しつつあるサービスや機能が消費者に与えるメディア視聴環境の変化を把握し、効率的にコミュニケーションをとるためにも、その利用動向にあったメディアプランを設計していくことが重要になるでしょう」

調査概要

  • 調査期間:2022年9月2日~9月6日
  • 調査地域:日本全国
  • 調査対象:スマートフォン、パソコン、タブレット、従来型携帯電話のいずれかのデバイスを通して月1回以上インターネットを利用している16歳(高校生)以上の男女 計2,745人