「アプリをさらにブラウザへ」 アドビがデジタル社会の課題解決を目指す「アドビ未来デジタルラボ」を発足

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2022/12/02 09:15

 アドビは2022年12月1日(木)に創業40周年、日本法人設立30周年を記念し、記者発表会を開催。最新の企業戦略や新プロジェクトの発表を行った。

 冒頭、代表取締役社長の神谷知信氏は、「2012年にフルサブスクリプションに切り替えたこと」などを大きな転換点とし、日本法人の歴史を振り返った。

 マーケットのトレンドとしては、アメリカのサイバーマンデーでeコマースの売上が1日で113億ドルを実現し、最高益をだしたことに言及。同社としての見解を述べた。

「コンテンツやアプリは爆発的に増加し、消費されています。リモートが当たり前になりつつあるなかで、テレビを見る時間が減り、スマホで自身が見たいコンテンツを見るといった動きがここ数年で加速していると考えています。広告費に関してもデジタルが上回っているというデータもあり、それにともないコンテンツが爆発している。消費者自身がコンテンツを発信するだけでなく、エンドユーザーに対してリーチする上で企業がさまざまなコンテンツを作らざるを得ない状況です。我々もいろいろなアプリケーションを持っていますが、想像以上にダウンロード数が増えたのがここ2~3年。とくに日本では動画編集ツールである『Premiere Pro』が、どこの国よりも爆発的に増えています。

アドビ株式会社 代表取締役社⻑ 神⾕知信氏
アドビ株式会社 代表取締役社⻑ 神⾕知信氏

『想像力が生産性を左右する』という観点では、機械学習やAIなどテクノロジーが発展するにつれ、人間のバリューはなにかとの議論もありますが、最終的には『想像力が生産性を向上させる』とアドビは考えています。想像力をベースとした採用がどんどん増えたり、それが日本の競争力と結びついていくはず。これは我々のツールの伸び率を見ても感じ取ることができます」

 続いて、アドビのビジョン「心、おどる、デジタル」を実現するためのクラウド事業、Creative Cloud、Document Cloud、Experience Cloudの3つを紹介。Creative Cloudについては、戦略領域として次の4つを挙げた。

「『誰しもが簡単にデザイン可能に』はまさにAdobe Expressが体現しています。Adobe Expressでは、テンプレートベースにより、最初からすべてデザインをしなくてもフォントや背景をランダムで組み合わせて作成することが可能です。これらのポイントは、ウェブとモバイル。今後デスクトップベースのアプリを強化するだけでなく、どんどんブラウザ上に持っていけたらと思っています。そうすることで、誰でもどこでも制作ができる環境をつくっていきたいです」(神谷氏)

 また新プロジェクトとして、「日本のクリエイター、マーケターの力を解き放ち、わくわくする日本のデジタル社会の未来を描く」ことを目的に、「アドビ未来デジタルラボ」の発足を発表。CMOをつとめる⾥村明洋氏は、そのテーマや概要について次のように説明した。

「デジタルコンテンツならびにデジタル顧客体験の未来が、今回のラボの大きなテーマになると思っています。外部の有識者も交えて、さまざまな角度から討論、そして提言していけたらと思います」

 提言していく内容については「さまざまな形で、日本のデジタル、社会、ビジネスの解決につながる提言をしていきたい」としたうえで、例としてテクノロジー、コンテンツ、ライフスタイルといった3つの領域におけるワークストリームを提示。「調査、討論、仮説、実証実験をしながら、それをすべてまとめた形で提言していく」と語った。