ICT総研は2020年度 SNS利用動向に関する調査結果をまとめ、発表した。
日本のSNS利用者は7,975万人(普及率80%)、2022年末に8,241万人へ拡大の予想
日本国内におけるSNSのアクティブユーザーは年々増加しており、2020年末には7,975万人に達する見込み。2019年末の国内ネットユーザーは9,960万人と推定されるが、SNS利用者はそのうちの78.2%にあたる7,786万人だった。2020年の年間純増者数は189万人となる見込みで、利用者は1ヵ月平均で約16万人の増加を続けている。
SNS利用者はもともと20代以下の若年層が多かったが、SNSの利用が当たり前になってきたことで40代以上にも拡大しており、登録者数・利用者数ともに増加傾向が見られる。このまま普及が進めば2022年末には利用者数は8,241万人、ネットユーザー全体に占める利用率は83.3%に達する見通しだという。
ネットユーザーに占めるLINE利用率は77.4%、Twitter38.5%、Instagram35.7%
同社が2020年7月に実施したアンケート調査では、4,400人のアンケート対象者のうち8割以上の人が「人とのコミュニケーション」を行う目的でSNSや通話・メールアプリを利用していると回答。全回答者の中でもっともこのサービスの利用率が高かったのはLINEで77.4%、Twitterが38.5%、Instagramが35.7%、YouTubeが23.2%、Facebookが21.7%、TikTokが8.1%、Skypeが7.1%となっている。昨年との比較でTikTokの利用率は増加、Instagramの利用率はほぼ横ばい、LINE、Twitter、YouTube、Facebook、Skypeの利用率は減少している。TikTokの利用率は昨年から1.0%増加し、Skypeの利用率を上回った。
利用者満足度1位はInstagramで81.2ポイント、YouTubeが80.8ポイントで続く
主なSNSの利用者満足度を100点満点換算の満足度ポイントに換算すると、Instagramの満足度がもっとも高く81.2ポイント、次いでYouTubeが2位で80.8ポイントだった。3位のLINEは79.1ポイント、TikTokは78.5ポイントで4位につけている。5位はTwitterで78.0ポイント、6位のFacebookは73.5ポイントとなった。昨年2位だったInstagramが2.7ポイント増でYouTubeを上回った。
YouTube利用者の65%、Instagram利用者の53%が利用時間増加
SNSの利用時間について1年前との比較をしたところ、LINE利用者のうち42%が、利用時間が増えた(「増えた」「どちらかと言えば増えた」の合計)と回答している。YouTube利用者のうち65%、Instagramの利用者のうち53%、Twitter利用者のうち53%が増えたと回答している。
最近の利用傾向では、LINE、Twitter、YouTube、Instagram 利用者はスマホ普及率の増加とともに利用者数・利用時間が増えているのに対して、パソコンでの利用者が多かったFacebookは利用時間もそれほど伸びていない傾向が見られる。Instagramの利用率はほぼ横ばい、利用時間は伸びている。
また、1日に1時間以上SNSを利用する人の割合は、YouTubeが70.7%、Instagramが54.5%、Twitterが53.1%、Facebookが41%、LINEが33.6%となっている。
SNSの利用目的は「知人の近況を知りたい」が43%、「人とつながっていたい」が33%
SNSを利用する理由についてのアンケート結果では、「知人の近況を知りたい」という理由が最も多く43%であった。「人とつながっていたい」といったコミュニケーションを求める理由も33%で2番目に多かった。
「自分の近況を知ってもらいたい」が24%、「写真などの投稿を見てもらいたい」が23%、「自分の行動記録を残しておきたい」が21%となっている。「仕事やビジネスで連絡を取りたい」が20%となっており、実用的な場としても利用されている。「『いいね』などのリアクションが欲しい」は17%にとどまっているが、このような自己アピールを行いたい心理もSNS普及の一因となっている。「仲間外れにされたくない」といった理由も5%ほどあり、割合は少ないもののSNSを利用しない場合の不安も生じているようだ。
また、1日1回以上の投稿をする人は、Twitterユーザーが54.2%、LINEユーザーが50.8%、Facebookが49.6%と高めである。SNSのサービスも多様化しており、コミュニケーションツールとして活用するものや、動画・写真の閲覧を主目的とするもの、写真映えのする投稿を目的とするものなどに分かれ始めている。今後も用途や目的に合わせてSNSを使い分けるユーザーが増えていくことが想定される。
今後もSNSはネット社会に生きる現代人にとって必須のツールとなり得ることは間違いないが、セキュリティをさらに充実させ、安心・安全に利用できる環境がより整備されることが期待される。ICT 総研では、今後もSNSの市場動向・利用者動向について、継続して調査を続けていく方針だ。
なお、同調査は、SNS運営会社・関連企業への取材結果に加え、インターネットユーザー4,400人へのウェブアンケート調査、各種公開資料などをまとめて分析。また、同調査におけるSNSとは、不特定多数のネットユーザー間の交流を促進する商用サービスとして定義している。