薄山館は、アニメ制作現場における労働環境を目指すべく、ラッシュチェックに特化したメディアプレイヤー「相模大山伯耆坊」と、キャプチャ画像付きリテイク指示票作成・管理アプリ「白峰相模坊」をリリースした。
これまでは制作進行時に、リテイク指示票の作成が文字情報だけでは伝わりづらいという課題を抱えていた。また、記入ミスによる誤った情報伝達のリスクもあった。キャプチャ画像があることで修正箇所が明確になり、リテイク先とも意思疎通が図りやすくなるのではないかと思いから、開発を行った。
ラッシュチェック用メディアプレイヤー「相模大山伯耆坊」
制作進行支援特化型アプリ群「八天狗シリーズ」の2番目に開発した同名アプリのWindows版メディアプレイヤー。以前はMac版のみであり、業界標準であるAvidコーデックのMOVコンテナを再生できない仕様だった。今回はデスクトップアプリとしてWindowsでも操作でき、Avidコーデックの再生にも対応しているという。
通常のメディアプレイヤー同様に再生・停止・コマ送りに加え、修正箇所を枠で囲いリテイク内容を記入し、リテイク先を選択してキャプチャする機能が備わっている。
今までは、監督や演出が指差し棒などでリテイクの箇所を指摘し、それを文字で書き記すというラッシュチェックが一般的だった。同アプリを用いることで、監督や演出の目の前で修正箇所を囲い、修正内容を記入することにより、作業の共有化を図ることができ、また記入ミスも発生しづらくなることが期待される。
また、同ツールを演出や監督に渡して遠隔でラッシュチェックを行ってもらい、後日出力したデータを制作進行が受け取って管理するという昨今の状況を鑑みた方法を取ることもできるとのこと。
作業は自動的に保存されるため、強制シャットダウンが起きた場合なども、アプリを再起動すれば直前の状況から再度始めることが可能となっている。
リテイク指示票作成・管理アプリ「白峰相模坊」
制作進行支援特化型アプリ群「八天狗シリーズ」で最初に開発したCUT管理アプリ「愛宕山太郎坊」に実装されていたキャプチャ画像付きリテイク指示票作成・管理機能を独立させたウェブアプリ。同ツールから出力されたデータをアップロードすることで、キャプチャ画像付きのリテイク指示票とリテイク表が作成される。これにより、今までは文字だけだったリテイク指示票と比して、リテイク先と問題が容易に共有できるようになる。
リテイク表は次のような構成となっており、加えて前述の通り、ラッシュチェック時に一同に介することが難しくなった昨今の状況下に合わせ、演出や監督に遠隔で伯耆坊でラッシュチェックを行ってもらい、出力したデータを相模坊で一旦まとめて編集し管理することも可能となっている。