東京都市大学メディア情報学部情報システム学科の市野 順子教授ら研究チームは、360度のバーチャル空間を提示する2種類の「没入型ディスプレー」についてユーザーの認知活動(思考)に及ぼす影響を多面的に評価し、認知活動の促進には室内投影型(CAVE)のほうが頭部装着型(HMD)よりも効果的であることを明らかにした。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、自宅で過ごす時間が多くなるなか、バーチャル空間を活用するためのVR(バーチャル・リアリティ)機器への注目が一層集まっている。
今回、頭部に装着するゴーグル型のヘッドマウンティングディスプレー(以下、HMD)と、室内で四方の壁に360度の動画を映し出すプロジェクション型ディスプレー(以下、CAVE)を用いて、ユーザーの記憶や脳波、心拍、温度などを評価した結果、認知活動の促進においてはCAVEのほうがHMDよりも効果的であることが明らかになった。これにより、教育や学習など、活発な認知活動が期待される場面にて360度の動画視聴を行う際にはCAVEのほうが適しているとの結論が得られた。
今後は同研究成果の発信を通じ、用途に応じた没入型ディスプレーの活用が促進されることを期待している。
同研究のポイント
- 360度動画視聴用の2種類の没入型ディスプレーがユーザーの認知活動(思考)に及ぼす影響を多面的に評価
- ユーザーの認知活動促進には、HMDよりも室内で四方の壁に360度の動画を映し出すCAVEのほうが効果的
- 教育や学習の場面にはCAVEを、エンターテインメントやヒーリングの場面にはHMDの活用を推奨