NTTドコモ・ベンチャーズ(以下、NDV)は、同社が運用するファンドを通じて、360度の立体空間映像の生成/配信ソリューションを提供するAvatour Technolgies, Inc.(以下、Avatour社)に出資を行ったことを発表した。
近年COVID-19の影響によって対面でのコミュニケーションが困難となるなか、ウェブ会議ツールなどの普及にともない遠隔地をつなぐコミュニケーションは一般化しつつある。一方で、一般的なウェブ会議ツールなどは平面情報の授受を前提としており、物理的な施設や設備の確認など立体的な情報を必要とする現場視察や調査といった用途においては対応が難しく、直接の訪問以外での実施がしにくい状況にあった。
Avatour社は、画像処理および立体空間映像の生成技術に強みを持つベンチャー企業であり、こうした現場とのコミュニケーションの改善に貢献するライブ配信/会議ソリューションを提供している。同社のソリューションでは市販の360度カメラを利用して工場や工事現場など対象となる空間を撮影し、撮影画像をつなぎ合わせ立体化することで、現実の空間を再現した映像をリアルタイムに生成する。生成された空間映像はスマートフォンなどを介して配信され、同社のツール上で遠隔地からも確認することが可能に。これにより、現場の担当者と遠隔地の閲覧者はそれぞれ空間内のさまざまな場所や設備を自由視点で動かしながら確認することができ、同じ場所にいるかのような体感で映像を確認することができる。
スマートフォンやPCに加えVRヘッドセットなどさまざまなデバイスからの接続が可能となっており、またチャットやテキスト情報を空間映像へ書きこむことで的確な指示や情報連携を行うことができる。こうした一連の機能により、これまで現地での直接確認でなければ実現しにくかった視察や調査を遠方から実現することが可能となる。
両社はすでに複数の取り組みを進めており、長崎県五島市とNTTドコモ九州支社は、五島市への移住希望者向けの現地視察や観光場所の案内をリモートで実現する試みとして、Avatour社のソリューションを活用した実証実験を予定している。360度の空間映像配信システムを通じて、現地の魅力をより現実に近いかたちで体験することが可能。また法人営業分野では、製造業や建設業が大きく成長している東南アジアでの活用可能性について議論を進めており、同社のソリューションのグローバル展開に向けた検証の実施を予定している。
Avatour社のビジネスは、NTTドコモの5Gを利用したソリューション創出の取り組みと親和性も高く、今回の出資に至ったとのこと。今後、NTTグループとの連携や、ドコモのソリューション創出における活用可能性などを検討し、新たな価値創造に向けた取り組みを進めていくという。