法人営業から始めたキャリアの先で、デザインにたどり着いたワケ
――まず、佐竹さんのご経歴からお聞かせください。
2008年に新卒でみずほ銀行に入社し、石川県の金沢支店で法人営業からキャリアをスタートしました。続いて異動になったコーポレートファイナンス部では電子記録債権に関する新サービスの営業企画を担当。その後、みずほフィナンシャルグループの「みずほ信託銀行」に転籍し、大企業向けの営業も経験しました。フィンテックが注目され始めた2017年ごろに公募制度を活用し、デジタルイノベーション部へ異動。キャッシュレスサービスのプロジェクトマネージャー(以下、PM)や、R&Dに近い業務を担ったのち、現在は2021年に新設されたデジタルマーケティング部でデザインに携わっています。
――デザインに関わるようになったのには、何かきっかけがあったのでしょうか。
PMを担当していたころのプロジェクトでは、文字ベースのやりとりで開発が進んでいき、デザインについては丸ごと外注をすることも珍しくありませんでした。私自身もなかなか作りたいものをわかりやすく共有しづらいというもどかしさを感じていたため、素人ながらPowerPointでモックアップを作り、それを見せながらビジュアルを軸にした合意形成のやりかたを模索していたんです。
そんななか、サービスの企画・運営に携わっていた当時の部長から「サービスのUIやUXを改善してみてほしい」と話をされたのがきっかけです。そのため、開発に関わっていたデザイナーから作りかたや考えかたの基本は聞いていたものの、デザインに関する知見はない状態からのスタートでした。
こうした流れのなかデジタルマーケティング部に着任し、「デザインチームの組成」がひとつのミッションになりました。
実は当行では、日本の金融機関のなかでもかなり早いタイミングで銀行アプリをリリースしていたのですが、残念ながら当時は継続投資が上手くできていなかった。一方、私が本格的にデザインに携わるようになったころには、当時のPMを担当していたメンバーたちが「何とかこのサービスを良くしたい」と働きかけ続けていたことが実を結び、UIやUXに投資をしようという機運が高まっていました。

銀行という資産をお預かりする立場上、サービスの提供には多くの制約があります。過去には、サービスをローンチした際に、企画チームが燃え尽きてしまい、「そのサービスをどうやって育てていくか」という点まで目が届かないこともありました。
現実には予算やシステムの制限などさまざまなルールに縛られるため、「お客さま第一」を実現するのは非常に難しいことです。そのため、企画を担うメンバーは「サービスをリリースする」というゴールにたどり着くことに必死になり、「お客さま第一」を最優先にできない場面も少なくありません。だからこそ、とにかく徹底的に「お客さまのことを第一に考える」役割が必要だと考えていました。そしてそれを担えるのが、デザイナーだと思ったんです。