TikTok For Businessは、KANTAR JAPAN、スターミュージック・エンタテイメントが運営するStar Creationの協力のもと、各主要SNSプラットフォーム(動画サイトを含む)のUIを再現した仮想環境で、架空ブランドの動画素材を制作し、TikTokで出稿した場合のブランドリフト効果、およびTikTok上で違うクリエイティブの効果を比較・検証した「クリエイティブインサイトレポート」を公開した。
調査手法
今回は、「他社と比べて、TikTokのパフォーマンスはどうなのか?」、「どんなクリエイティブがTikTokでは効果的なのか?」といった広告主からの疑問を解消するために、架空のドーナツブランド「TeeTee Donuts」のクリエイティブを6種類制作。KANTARの仮想環境ツール「ContextLab」にて再現された各SNSプラットフォームの仮想UI環境を活用し、普段消費者のリアルなSNS接触に近い状態で広告効果を検証した。
テスト素材
今回の調査で制作したクリエイティブは、次の6パターン。
- No.1:ド直球な商品訴求「ストレート」…商品以外の要素を省き、ストレートに商品を訴求。他社媒体比較用に横型動画も制作。
- No.2:飾らないカジュアル方向「リアル」…生活感を全面に出し、セリフもカジュアルにしてリアルなシチュエーションで商品を訴求。
- No.3:人気クリエイターのコンテンツを模倣「詰め込み」…TikTokのコンテンツフォーマットであるVlogを活用。無関係な情報も詰め込み、テロップで補足。
- No.4:注意を引く演出「アテンション」…TikTokのコンテンツフォーマットである「閲覧注意」からオチをつけるパターンで、今回は、商品の世界観と正反対なホラー演出がオチ。
- No.5:広告っぽくブランドの世界観を追求「高画質」…フィルターがかかったように作り込み、ブランドの世界観を追求。
- No.6:TikTokの#Challengeを再現「チャレンジ」…TikTokソリューション「#Challenge」を再現し、訴求ポイントとロゴを表示し続ける。
上記のテスト素材を使い、各SNSプラットフォームの仮想UI環境にて、ふたつの分析軸で検証を行った。
分析軸1:媒体比較(単一テスト素材を利用)
媒体比較では、単一テスト素材(「No.1:ストレート」)を使用し、4社5メニューで比較。各プラットフォームに合わせて、縦型・横型を適用した。
分析軸2:クリエイティブ比較(TikTok内で6素材を比較)
No.1〜No.6のテスト素材を縦型で使用し、クリエイティブ別にTikTok内での広告効果を比較・検証。
調査結果
同じ広告素材でも、TikTokで出稿した場合のブランドリフト効果が高い
ブランドリフト(商品助成認知、広告認知、好意度、購入意向、ブランドイメージ)において、TikTokは全項目でアップリフトし、他社媒体と同素材で比較した場合でも全体平均より高く、特に認知獲得に強いという結果となった。保有する「横画面」動画を「縦型全画面」に編集も対応可能なため、既存の素材を活用し、手間をかけず簡単にTikTokに出稿することができる。
TikTokでよりクリエイティブ
クリエイティブ比較の結果から、ユーザーをフルアテンション(主体的な視聴態度)にし、クリエイティブのパフォーマンスを高める4つのキーワードを導き出した。
TikTokらしさ
テスト素材「No.3:詰め込み」のブランドリフト率は、商品助成認知・広告認知・好意度・購入意向において95%以上の確率で有意な上昇となっている。
このように、TikTokで浸透している動画のフォーマットを活用すると、その動画を見た視聴者が親近感を感じやすくなるため、より高い効果が期待できる。
ユーザーに寄り添うコンテンツ
購入意向リフト率では、テスト素材「No.3:詰め込み」(+10.7pt)がもっとも高く、「No.4:アテンション」(+8.8pt)、「No.2:リアル」(+6.6pt)と続く。
いずれも企業目線でブランドを主語として語るのではなく、第三者目線で客観的にブランドについて語っているので、よりコンテンツとして楽しみやすく、購入意向も高まっている。
テンポよく情報を詰め込む
テスト素材「No.3:詰め込み」は、動画開始直後の離脱は速いものの、開始7秒以降、完全に離脱しなくなり最後は完全視聴率トップに。この結果からわかるように、情報を詰め込み、頻繁にシーン切り替えを行うことは、視聴維持率を高めることにつながる。
適度なリアリティ
テスト素材「No.2:リアル」は、開始直後の視聴維持率が52%ともっとも高くなっているが、その一方で好感度リフト率が6素材中5位(4.4pt)と、ほかの素材よりも低くなっている。生活感を全面に出しセリフもカジュアルにした、リアリティのある動画は親近感を感じやすく、見てもらいやすくなる傾向に。ただ、ユーザーに雑な制作だと思われてしまうとブランドイメージの毀損にもなりかねないので、リアリティはほどほどに取り入れるのがポイントだという。
調査概要
- 調査対象者条件:ドーナツを普段購入していて、各対象媒体を週に1回以上利用している17〜54歳の男女
- サンプル数:接触セル:N=1002(10セル)、統制セル:N=100
- 対象メディア:TikTok(Infeedメニュー)ほか、主要プラットフォーム3社4メニュー
- 調査期間:2021年5月24日〜6月6日