XRやAIなどの先端技術で社会課題の解決に取り組むワントゥーテンは、歌舞伎俳優の市川海老蔵氏初となるNFT(Non-Fungible Token)デジタル作品をワントゥーテン独自の販売プラットフォーム「ワントゥーテン NFT STORE」にてオークション販売を開始した。
2021年2月に市川海老蔵氏の主演、総合演出でライブ配信を行った「Earth & Human」のボリュメトリックライブ映像作品「Earth&Human LIVE」と、初公開となるVRエディション「Earth&Human VR」を、全国8ヵ所の会場を巡業中の『市川海老蔵特別公演「Earth&Human」』公演に合わせて、2021年11月25日(木)12:00まで期間限定でオークション販売を行っている。
同社はこれまで、日本の伝統文化・歴史・自然を見直し、伝統に創造性と先端テクノロジーを掛け合わせたさまざまなプロジェクトを創出してきた。価値流通の新しい手段として注目を集めるNFTデジタルコンテンツの市場に対しても、日本の伝統と革新的テクノロジーを融和させたEarth&Humanをリリースすることで、未来の日本文化のあり方を提案する。
市川海老蔵氏の舞踊と先端テクノロジーが融合した同作品を皮切りに、同社は今後、日本文化ならではの「美意識」を世界に発信していく考え。
「Earth&Human」作品コンセプト
同作品は「Earth&Human」をモチーフに、主観的知覚と客観的知覚を通して、人間と自然の関係性に着目し世界を認知することを試みた作品。日本最古の舞である「三番叟」をベースとしている同作は、大地を「踏む」ことで五穀豊穣を祈る儀式・祈祷といった祭礼として、神が地上に降り立ち憑依するシャーマニズムを色濃く感じさせる演目である。そういったもともとの作品の持つ背景と、日本で古くから根付く八百万の神をはじめとするアニミズムを下敷きにしながら、人間と自然、ひいてはこれらのなかに息づく多様な生命との関係性を、知覚を通して描き出す。
また、ドイツの生物者であり哲学者であるユクスキュルの「環世界」という概念を手掛かりに、文化人類学に見られる多自然主義に触発されながら、キュビズム的多視点をもとに多面的な世界の解釈の更新を目指したとのこと。100台超の4Kカメラで撮影され分解された図像をもとに、リアルタイムに三次元データを生成するボリュメトリックキャプチャリングシステムを通して、動的に変化する3Dのバーチャル空間、そしてインターネットという多層的環世界のなかに再構築を試みた。
「Earth&Human VR」は、単視点の主観的知覚を介した作品である。VRの特性を用い、カメラ位置を固定し仮想的観客へログイン。これは鑑賞者個人の主観的知覚から空間を把握することで、知覚する世界が変化しながら360度を描画する。いわば鑑賞者個人の「人間中心」的知覚をもとに、受動的世界を認知する作品と位置づけられる。
「Earth&Human LIVE」は、VR作品と相反的に客観的知覚を介した作品である。身体性から解き放たれた3D空間上の仮想的カメラが、生物など多様な生命へ「憑依」しながら様々な知覚にリレーすることで描かれる。VRと違い画角を制限された映像作品は鑑賞者の意図と無関係に、多様な生命個々の多層的な知覚の集合体、いわば「多中心」的知覚をなして作品が構成されている。