博報堂DYメディアパートナーズは、同社が提唱する広告メディアビジネスのDXを果たす次世代型モデルAaaSに格納されている生活者パネルデータを、Open-AI社が提供するChatGPTに採用されているGPTモデルに学習させ、広告/メディア効果シミュレーション環境の研究開発を開始した。この仕組みを順次AaaSのソリューション群に組み込み、従来よりも高次元に生活者の行動パターンにもとづいたコミュニケーションプランの作成を可能にする。
同プロジェクトでは、Open-AI社が開発・公開し世界的に注目を集めているChatGPTのAPIを活用。ChatGPTで用いられているGPTモデルに代表される大規模言語モデル(Large Language Model:LLM)は、広範なデータセットからパターンを学習することで、高度な文章生成や対話タスクを実現する能力を持っている。今回、多様な生活者の人格の設定により行動を再現したり、メディア接触や情報探索に関する膨大な知識にもとづいた推論が行ったりできる可能性に着目し研究開発を進めている。
今回同社は、自社が保有する20万人の大規模調査パネルに対する独自のアンケート結果から得たプロフィールやメディア接触行動、興味関心や価値観などの情報をGPTモデルに入力・学習させることにより、さまざまなコミュニティや条件での広告/メディア・コンテンツ効果のシミュレーションを目指す。同プロジェクトでは都度目的に応じてターゲットとなるパネルの選定を20万人のなかから行うとともに、入力するプロフィール情報を設定し、動的にシミュレーションを実行していく。
これにより、生活者行動パターンを加味した「テレビ視聴などの広告/メディア接触」「態度変容などの広告/メディア効果」の予測結果に基づいたメディアプラン作成から、「生活者の態度変容の背景となったインサイト、仮説の探索」などが可能になると想定している。同プロジェクトの成果は、TV/デジタルをはじめとするメディア効果を最適化するAaaSの各ソリューション群に組み込んで提供する。
また、同プロジェクトではマルチエージェントによる情報伝播に関する産学連携での研究をあわせて推進していく。
なお、博報堂DYグループでは上記の活動にあたって、生成AIが人間のクリエイティブな業務へのシフトを推進するということと、個人情報やプライバシー、著作権の問題への配慮が必要であるということの両面を考慮し、グループ各社共通の利用ガイドラインを設け、運用ルールを策定した。さらに投入する情報に特殊な処理を施すシステムを構築することで、機密性を確保しつつLLMの能力を最大限に活用できる環境を整備していく。
博報堂DYメディアパートナーズは、博報堂DYグループの各広告事業会社と協同して、さらなる技術開発や実証実験を積極的に実行し、広告主の事業目標の達成に貢献するとともに、最新技術の活用事例やノウハウを継続的に発信することで、社会のDX化に貢献する。