アドビは、クリエイターの祭典である「Adobe MAX Japan 2023」を東京ビッグサイトで開催。約3,600名の来場者が集まった。アドビは本イベント開催にあたり、次の内容を発表している。
- Adobe Firefly Image 2 Modelの一般提供を開始
- noteとAdobe Expressの連携機能の提供開始
- LINE Creative LabとAdobe Expressの連携を2024年2月中に開始予定
- マンガに最適な書体「貂明朝アンチック」を発表
- アドビが現在開発中の技術を世界で初めて先行公開:「Project Sound Lift」、「Project 3D Edge Printing」
Adobe MAX Japan 2023開催概要
基調講演では、アドビ本社デザインおよび新興製品担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CSOスコット ベルスキー氏が登壇し、Adobe Firefly Image 2 Modelの一般提供開始と多言語におけるテキストプロンプト理解の向上、クリエイティブツール「Adobe Express」と「LINE Creative Lab」の連携をはじめとしたLINEヤフーとの協業の具体的な施策と進捗について発表した。
また、今年8月に先行発表したnoteの記事投稿画面でAdobe Expressを使った見出し画像の作成機能の一般提供を本日より開始した。さらに、マンガにおける文字の表現力を高めることを意図してデザインした書体「貂明朝アンチック」を発表し、アドビは日本のあらゆる業界で活躍する、すべての人に「つくる力」を提供していくことを表明した。
Adobe Firefly Image 2 Modelの一般提供を開始
Adobe Fireflyの初代モデルをベースに開発された「Adobe Firefly Image 2 Model」は、ユーザー指定のカスタムスタイルでコンテンツを生成する「生成Match」、写真スタイルの画像調整を可能にする「写真設定」、優れた結果を得るためにプロンプトの追加や言い換えを支援する「プロンプト候補」などの新機能が10月時点で追加されている。
ベータ版での提供を終え、Adobe Firefly Image 2 Modelは一般提供を開始。一般提供開始にともない、多言語におけるテキストプロンプトからの結果の出力の精度が向上し、文化的なコンテクストをより高い精度で理解した上で画像を生成できるようになった。商用利用にも安心なAdobe Fireflyは、アイデアの発想と表現の促進、時間の節約を実現する新たなアプローチを提供するだけでなく、各コンテンツがどのように作成されたかを明示するコンテンツクレデンシャル情報を自動的に添付しており、デジタルコンテンツに信頼性と透明性をもたらす。
同モデルについて、スコット氏も次のように語った。
「先日アメリカで行ったAdobe MAX 2023でAdobe Firefly Image2 modelのベータ版を発表しましたが、とても反響が良かったです。Image2 modelの一般提供を開始し、誰でも使うことができるようになりました。皆さんのビジネスプロジェクトにも使用いただくことが可能です」
またAdobe MAX Japan 2023では、現在開発中の「Stardust Project」についても紹介。画像のなかで、人間が瞬時に行うようなオブジェクトやその位置関係、シーンなどを認識することが可能になるというものだ。
登壇したアドビの轟 啓介氏は、人物の位置を動かしたり、映り込みを削除したり、人物を動かしたときに欠けてしまった一部を補完したりする様子をデモにて紹介。「Stardust Projectでは、ユーザーが自由に画像の加工ができることを目指し開発を進めています。ますます目が離せないこのプロジェクトに今後ご注目ください」と意気込みを語った。
また本プロジェクトについて、スコット氏も次のように抱負を述べた。
「Project Stardustは、画像の編集合成方法に信じられないほどの飛躍的進歩をもたらすはずです。『十分に進歩した技術は、魔法と見分けがつかない』という言葉もありますが、まさにProject Stardustにぴったりな言葉。まだ準備中ではありますが、もうすぐお手元に届くと思いますので楽しみにお待ちください」
LINEヤフーとの協業
「Adobe Express」と「LINE Creative Lab」が来年2024年2月に連携することを発表。広告の作成におけるクリエイティブ作成の工数削減や、コンテンツの質向上を実現したより効果的な制作環境を提供する。また、クリエイター支援に向けたセミナーやクリエイターコンテストを2024年3月以降順次実施する。
同イベント会場ではメディア向けに「日本のクリエイターコミュニティへの支援発表記者説明会」も実施され、アドビ 常務執行役員CMO 里村明洋氏、LINEヤフー 上級執行役員 マーケティング ソリューションカンパニー カンパニーCPO 二木祥平氏が登壇。提携に至った経緯について里村氏は「多種多様なクリエイターへアプローチすること」を理由のひとつに挙げた。
また二木氏は、同社のクリエイター支援施策における今後についても説明。現況に触れながら考えを明かした。
「クリエイティブ生成がものすごいスピードで進化しているなか、コンテンツの数はいっそう増え、ユーザーはあらゆるクリエイティブを効率よく消費するメディア体験が一般的になってきています。新会社になり、どのようにクリエイター支援を行っていくのかを検討しているところではありますが、LINEヤフーとしてはクリエイターとユーザーやファンがしっかりつながるプラットフォームを作っていきたいと考えています」
続けて第1弾となる「Adobe Express」と「LINE Creative Lab」の連携に関して、両氏は次のように抱負を語った。
「LINEの広告に特化したテンプレートなども用意されているため、誰でも簡単に広告のクリエイティブを作ることが可能になります」(里村氏)
「提携によってクリエイティブ制作のコストを下げ、クオリティを上げていきたいと思っています」(二木氏)
Adobe Expressとnoteの連携
8月に先行発表していたPC版のnote上でAdobe Expressを活用して見出し画像を作る機能を、本日より提供を開始する。Adobe Expressは、数ステップの操作でバナー、チラシや動画などあらゆるコンテンツを作成するデザインアプリで、Adobe Expressには、Adobe Fireflyを活用した生成AI機能が搭載されており、「テキストから画像生成」では、文章を入力するだけでイメージに合った画像を生成することができる。
貂明朝アンチック
マンガのセリフに使える新しい書体 「貂明朝アンチック」を発表した。マンガの世界観を読者に的確に伝え、マンガにおける文字の表現力を高めることを意図してデザインした書体。「貂明朝アンチック」のフォントに含まれる文字と字体は、新しく定めた「Adobe-Manga1-0」文字コレクション仕様に準拠している。同仕様(及びそのサブセット)が業界標準として活用されることで、さまざまなマンガ用フォント間の互換性と相互運用性が向上することが期待される。