カヤック、札幌の企画会社メガ・コミュニケーションズを子会社化

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2024/07/22 17:15

 カヤックは、2024年7月18日開催の取締役会において、メガ・コミュニケーションズの全株式を取得し、子会社化することを決議したことを発表。

 今後は、カヤックの保有するクリエイター人財と、メガ・コミュニケーションズのもつ北海道での事業基盤、PRマーケティング知見を融合することで、北海道事業者の海外向けブランディング、デジタルプロモーション領域の事業拡大および自治体DXの事業化を視野に、面白法人グループの事業成長を目指すとともに北海道の産業振興に貢献していく。

 なお、本件株式譲渡は2024年7月31日の完了を予定しており、株式譲渡完了後、メガ・コミュニケーションズはカヤックの完全子会社となる。また、地域活性化起業人で現在北海道下川町でCIO補佐官を務めるカヤック執行役員の柴田氏が2024年8月28日にメガ・コミュニケーションズの社長に就任する。

子会社化の背景

 次のふたつの背景のもと、カヤックはグループ編成の強化による中長期的な事業成長および海外向けブランディング、デジタルプロモーション領域、自治体DXでの事業拡大を視野に、本件株式取得および完全子会社化の決定に至った。

1. M&Aによる面白法人グループの成長戦略

同社が2024年3月に適時開示した「事業計画及び成長可能性に関する事項」に記載のとおり、中期的な成長戦略として、M&Aによるグループ編成の強化、「仲間を増やす」ことを掲げている。現在、連結16社ある面白法人グループの売上高は、40%前後がカヤック以外のグループ会社によるものであり、グループ編成が大きな成長要素となっている。

2.  課題先進地域・北海道、成長モデルの提示により世界に貢献

「人口減少・少子高齢化」は日本全体が直面している課題だが、北海道ではこれらの課題が先行して顕在化している「課題先進地域」。日本の総人口のピークが2008年であったのに対し、北海道の総人口のピークは 1997 年と全国より 10 年早く人口減少に転じ、65 歳以上の高齢化率(2020年)は32.1%と全国平均(28.6%)を大きく上回っている。

一方で、北海道はこれからの課題解決のフロントランナーとして、全国の自治体から注目を集めている。北海道では、世界が注目するグリーントランスフォーメーション(GX)とデジタルトランスフォーメーション(DX)を成長の原動力に、一次産業から観光産業までデジタル技術とデータ活用を推進している。

メガ・コミュニケーションズのM&Aによる今後の展望

 カヤックは創業以来、「面白法人」という企業理念、「つくる人を増やす」という経営理念のもとで、クリエイターを中心とした組織で事業を多角的に展開してきた。話題性のある広告やゲームなどのデジタルコンテンツ領域を軸としながら、e スポーツや地方創生などのコミュニティ関連領域や、冠婚葬祭などのさまざまなライフスタイル事業にもビジネス機会を広げ、さまざまなテーマでクリエイターによるコンテンツ的な付加価値創造を進めている。

 メガ・コミュニケーションズは、北海道・札幌で2006年に創業し、「もの」や「サービス」を提供する顧客と消費者や生活者が「つながる」ための「デジタル」と「リアル」を融合したPRマーケティング事業を展開している。民間の広告プロモーション支援のほか、官公庁等の各種事業運営における移住施策や企業誘致等業務、輸出を含む海外への進出支援、セミナー運営やセールス、海外向け広告配信やデジタルマーケティングや映像制作などインバウンド向けのプロモーション支援などを行っている。

 両社は2024年3月よりカヤックの地域移住・関係人口促進のためのサービス「SMOUT(スマウト)」の取次パートナー契約を締結し、北海道地域に密着するメガ・コミュニケーションズとのシナジーを発揮し、SMOUTサービスを通じて都市部から人を正社員、副業・複業で雇用する機会の創出に貢献してきた。

 今後はメガ・コミュニケーションズのM&Aにより、面白法人グループとしてシナジーを発揮し、次の事業成長を狙う。また、企業の成長とともに地域の持続可能な成長を目指すカヤックの「地域資本主義」の考えのもと、北海道の産業振興にも貢献していく。

カヤックが提供する移住・関係人口のマッチングサービス「SMOUT」
カヤックが提供する移住・関係人口のマッチングサービス「SMOUT」

今後の狙いと取り組み

1.海外向けブランディング・プロモーションサービスの拡大

メガ・コミュニケーションズのもつ北海道での事業基盤および「デジタル」と「リアル」を融合したPRマーケティングの知見と、カヤックのクリエイティブ力、技術力を掛け合わせることで、北海道企業の海外向けブランディングやデジタル活用をしたプロモーションサービスを拡大させていく。

具体的には、昨今北海道で人気の道産日本酒やワイン等の海外販路開拓なども手掛けていきたいと考の考え。北海道の農林水産物・食品の輸出額は2022年で1,103億円(前年比30.8%増)と2020年から3年連続右肩上がりとなっており、今後も平均気温の上昇により北海道で栽培できる作物が増えていくと言われている。こうした日本の食糧基地北海道から、世界を狙う北海道企業のブランディング、プロモーションサービスに注力していく。

自治体DXを推進

人口密度が低いほど一人当たり行政コストが高くなる関係が指摘されているが、北海道の人口密度は都道府県別で最下位であり、もっとも自治体DXが求められている地域と言える。「自治体におけるDX推進」に関する調査によると、課題は「職員のITスキル不足」が6割で最多。そのため多くの自治体では職員のITスキル不足を民間への発注によって補う計画を立てているが、そこには、発注側の自治体職員にITスキルがなければ最適な民間企業への発注ができないという問題がある。

そこで北海道下川町では、今回メガ・コミュニケーションズの代表取締役に就任するカヤック執行役員の柴田を地域活性化起業人としてCIO補佐官に着任させ、「民間企業ITスキルを持つ人材が自治体側に立ち、最適な外部パートナーを探す」方針をとっている。

今後はCIO補佐官で培った柴田氏の経験を活かし、「自治体職員側に立つITスキル人材の派遣」と「北海道資本の企業を中心とした民間企業群の組成」のふたつにより、各自治体にとって「ちょうどいい」自治体DXの解決策を提供していく。