はてなは、企業向け新サービス「toitta(トイッタ)」のベータ版を公開した。正式リリースに向けてベータ版利用を希望する企業の先行申込受付も開始した。
「toitta(トイッタ)」について
「toitta」は、デザインリサーチやマーケティングリサーチなどのインタビュー結果の分析プロセスを支援する、生成AIを活用した発話分析ソリューション。リサーチャーがインタビュー結果を迅速に分析できるように、高精度な書き起こしと切片の生成を行い、深い洞察によるインサイトの発見や仮説の精緻化をサポートする。
ベータ版では、インタビューの録画・録音データからの書き起こし、発話の切片生成、各種データの組織内での共有や管理といった基本機能のみを提供。正式リリース以降は、切片のラベル付け・グループ化・フィルタ表示などの手動操作のほか、親和図法(リサーチの分野で利用されている発話データを取り扱うための手法)などに代表される質的データ分析手法に準じたデータのビジュアライズ、複数のインタビュー結果のクロス集計表生成などの機能の追加を予定している。
インタビュー調査の分析における課題
製品・サービスの開発や改善、またはマーケティング施策への活用などを目的としたインタビュー形式の調査では、リサーチ対象者に対する深い洞察に基づくインサイトの発見や仮説の精緻化を目的に、発話情報に対して親和図法などの質的データ分析の手法を用いるケースが普及しつつある。しかし質的データ分析を実施するには発話情報のテキスト化やデータとして扱うための適切な形式への変換(切片化・コーディング)といった前処理の作業に多くの時間や工数を割く必要があり、調査において最も重要な分析プロセスそのものにスピーディーに到達できないという課題があった。
また、分析プロセスにおいても、適切な分析には体系的な知識と経験による習熟が必要な局面が多く、インタビューを実施しても精緻な分析を行うことが困難であったり、組織の運営サイクルに合致するような実施体制が確立できないといった課題を持つ企業も多い状況。
はてなでは、こうした課題を解決し、リサーチ担当者がユーザーや顧客の「何と言ったか」に向き合うことに注力できるサービス「toitta」を開発した。製品やサービスの開発・改善やマーケティングのプロセスにおいて、ユーザーや顧客、消費者の「声」に向き合い、リサーチ対象者へのより深く多角的な洞察を起点として、新たなインサイトの発見や仮説の精緻化までのスピードを加速する。
「toitta」の特徴
高速な質的データ分析を実現するために、LLMをベースにリサーチ業務に特化した独自の技術群を用いて、分析の基礎となる切片データを自動生成していることが「toitta」の特徴。高精度な切片生成を実現し、さらに切片の生成元である対話の文脈やトーンをより深く理解するために、高精度で読みやすい書き起こしデータを出力することにもこだわっている。
さまざまな個人・法人向けサービスの開発に携わってきた同社も、インタビュー実施後の発話分析に関する課題や困難に直面してきた。「toitta」自身も、自社はもちろん、ユーザーの「声」によって進化を続けるプロダクトを目指している。