電通グループ、独自のAI戦略新ビジョン「AI For Growth」を発表 「人とAIが高め合う」AI活用推進へ

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2024/08/06 06:30

 電通を含む国内電通グループは、「"人間の知(=Intelligence)"と"AIの知"の掛け合わせによって、顧客企業や社会の成長に貢献していく」という独自のAI戦略を、新ビジョン「AI For Growth」として発表した。これは、すでにグループ各社が取り組んでいるさまざまなAI活用に共通する考えかたであり、今後もこのビジョンを基盤に、AI関連の研究・開発・人財育成などを推進していく。

 国内電通グループでは、"AIの知"とは、突き詰めると人間の思考や試行錯誤の軌跡・刻印である、と捉えている。そのため、AIを単なる自動化や効率化のための技術・機械として利用するだけではなく、人の思考プロセスやノウハウ、そしてさまざまなデータをAIにインプットし、進化したAIから人がまた学ぶ、というサイクルを通して「人とAIが高め合う」AI活用を推進していく。

dentsu Japan データ&テクノロジー プレジデント/事業会社担当 山口 修治氏
dentsu Japan データ&テクノロジー プレジデント/事業会社担当 山口 修治氏

 本発表について、国内電通グループはメディア説明会を実施。ロゴの開発意図について、dentsu Japan データ&テクノロジー プレジデント/事業会社担当 山口 修治氏は次のように説明した。

「ある種の恐れも抱かれがちなAIですが、いわばAIの『I』は私たち人間の知恵なのではないかと考えています。また、AIが生成したアウトプットを高めているだけでは、そこに至るまでの作業の痕跡もわからない。それが恐れを抱かれるひとつの理由ではないかと思ったりもしています。そこでこのロゴ開発では、AIと人間が考えた痕跡を象徴的に示すことができないかと考え、AIが出力した『I』と、人間が描いた複数の『I』を重ね合わせました」

 続いて「AI for growth」の位置づけについて、「人とAIの継続的な創意工夫は終わりなく、これからずっと取り組んでいかなくてはならない」としたうえで、「クライアントサービス」「AIアセット」「コーポレート機能」の3つのレイヤー、8領域の取り組みに注力していくことを明かした。

クライアントサービス

AIを活用した「マーケティング支援」や「トランスフォーメーション支援」、「プロダクト開発」を行う。例として、統合マーケティングソリューションブランド「∞AI」シリーズや、エンタープライズ向け生成AI活用ソリューション「Know Narrator」シリーズ、AI人財育成サービス「HUMABUILD」、AIとクリエイティビティで事業開発を支援する「AIQQQ STUDIO」、電通のコピーライターの思考プロセスを学習したAI広告コピー生成ツール「AICO2」、デジタル広告のクリエイティブを進化させる「Odd-AI」シリーズ、データ利活用によるコンサルティングサービス「BRIDGE」、デジタルヒューマンや対話ロボットなど、国内電通グループ各社の取り組みがある。顧客企業の課題に応じた、最適なAI活用・開発が可能。

AIアセット

国内電通グループならではの「データインフラ拡充」「AI人財育成」、そして「技術研究・開発」を加速させ、顧客企業向けサービスの高度化を図る。グループの知見を反映し蓄積してきたさまざまなマーケティングデータおよびインサイトのAI活用、独自のスキル認定・研修プログラム強化による国内電通グループのAI人財化、東京大学次世代知能科学研究センターとの共同研究「AIとの協働による人の創造性の拡張」などに取り組んでいる。

コーポレート機能

グループ内の「AIガバナンス整備」と「組織構築・経営」を推進していく。安全にAIを活用していくためのガイドライン作成や、AIガバナンスコミッティの設置、相談窓口の開設などを通して、"人間の知"が、AIによってより高い創造性と生産性を発揮できるよう取り組んでいる。

 解説をした電通グループ AI MIRAI統括/主席AIマスターの児玉 拓也氏は、「こういった8つの取り組みを加速していくことで、お客さまに提供するサービスもAIドリブンなものにしていきたいですし、社内もAI時代に合わせた形に変えていきたい」と意欲を見せた。