アドビは、安全に商用利用できる生成AI動画モデルである新しいAdobe Firefly web版をパブリックベータ版としてリリースした。本製品は、画像、ベクター、動画を生成できるもっとも包括的なツール。Adobe Firefly web版の 動画生成(ベータ版)と Adobe Premiere Proの生成拡張(ベータ版)で使用され、今すぐ制作に使用できる IPフレンドリーな動画コンテンツを生成する。新しい Adobe Firefly Video Model は、Adobe Firefly web版の「動画生成(ベータ版)」とAdobe Premiere Proの「生成拡張(ベータ版)」で利用可能で、そのまま制作に活用できるIPフレンドリーな動画コンテンツを生成する。
Adobe Firefly Video Model(ベータ版)は、Adobe Fireflyファミリーの最新のクリエイティブな生成AIモデル。今回、異なる価格帯でユーザーの柔軟な利用ニーズに対応するため、新たにふたつのAdobe Firefly料金プランを提供する。これらのプランでは、Adobe Firefly web版の全機能が利用可能で、Adobe Fireflyを搭載した無制限の画像、ベクター生成に加え、新たな音声と動画の生成機能も利用できる。
東京ビッグサイトにて開催されたクリエイターの祭典「Adobe MAX Japan 2025」では、アドビ 会長兼CEOのシャンタヌ ナラヤン氏が登壇。「日本のお客さまはいつも私の誇りです」と日本語で挨拶したのち、昨年起こった変化について次のように語った。
「2024年は、クリエイティブが変化を遂げた年として永遠に記憶されるでしょう。生成AIの進歩はとても現実的なものとなり、日常生活まで変えています。学生からプロフェッショナル、マーケター、起業家にいたるまで、すべての人がAIに取り組んでいます。これには『すごい』と『怖い』の両方の気持ちがあると思いますが、私たちアドビは皆さんと協力しながら、再び未来を創造していきます」
![アドビ 会長兼CEO Shantanu Narayen(シャンタヌ ナラヤン)氏](http://crz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/6315/6315_1.jpg)
続けてAdobe Firefly Video Modelについては「ゲームチェンジャーになる」と自信を覗かせ、以下のようにAIに対するアドビの姿勢を示した。
「アドビは40年かけて、デジタルエクスペリエンスをつくってきました。生産性、クリエイティブも進化させてきました。これからもクリエイティブの世界を先導していきますが、AIもその助けとなります。
私たちのミッションは、この世界をパーソナル化したデジタル体験に変えることであり、そのために重視しているのは、デジタル体験のすべての局面でクリエイティブを活かすことです。そして『クリエイティブ』とは人間独自の性質であり、AIに置き換えられるものではないという信念をもっています」
アドビは、新たにAdobe Firefly StandardプランとAdobe Firefly Proプランを提供し、画像や動画などを生成するためのもっとも包括的なツールである新しいAdobe Firefly web版へのアクセスを可能にする。Adobe Fireflyの広範な機能により、ユーザーは画像を生成し編集したものを動画に変換してシネマティックな動きを適応したあと、Adobe Creative Cloudアプリケーションに移行し、アイデア出しから制作へとシームレスに進めることができる。業界をリードするアドビのクリエイティブアプリを使用して、クリエイティブプロフェッショナルは、Adobe Photoshop web版やAdobe Premiere Pro、Adobe Expressで作品を洗練させたり、Adobe Photoshopの「生成塗りつぶし」機能やAdobe Lightroomの「生成AI削除」などのAdobe Firefly機能を使用して写真を編集したり、Adobe Firefly Video Modelで作品に命を吹き込むことができる。
「動画生成(ベータ版)」機能は、Adobe Firefly Video Modelにより、クリエイティブプロフェッショナルに、テキストプロンプトや画像から動画クリップを生成したり、カメラアングルでショットをコントロールしたり、3Dスケッチからプロフェッショナル品質の画像を作成したり、雰囲気を演出する要素やカスタムモーションデザイン要素の開発を行うためのツールを提供する。今回は、1,080p解像度をサポートしている。高速な反復作業向けの低解像度のアイデア出し用モデルと、プロレベルの制作作業向けの4Kモデルは近日中に提供予定。クリエイティブプロフェッショナルから、ゲータレードを含む大手ブランド、エンターテインメント業界、電通やStagewellを含む広告代理店まで、Adobe Firefly Video Modelのベータ版を利用している。
新しいAdobe Firefly web版
Adobe Firefly web版は、クリエイティブプロフェッショナルが求めるコントロールを備えた機能の数々を搭載し、アイデアの創出から制作まで、最高の作品づくりができるようにする。3Dワールドを創造する、「スタイルと構成参照」で参照画像から始める、プロ仕様のカメラアングルで完璧なショットを撮影する、音声と動画をオリジナルの声質を維持したまま多言語に翻訳するなど、これらすべてをAdobe Fireflyで実行できる。また、Adobe FireflyはAdobe Photoshop、Adobe Premiere Pro、Adobe ExpressなどのAdobe Creative Cloudアプリケーションと統合されており、商用利用も可能であるため、クリエイターは商用利用に適したコンテンツとして自信を持って使用できる。
Adobe Fireflyは2年足らずの間で、世界中で180億以上のアセットの生成に利用され(過去数か月で50%増加)、画像生成ツールからクリエイティブチーム向けのもっとも包括的な生成ソリューションへと進化した。高品質な画像を生成するだけでなく、プロ仕様のカメラアングルや位置決め、細部の表現、プロンプトの正確な反映、画像、動画、3D出力において参照画像の構造とスタイルを一致させる機能により、クリエイターは作品を自在にコントロールできる。
提供を開始するAdobe Firefly web版で利用可能な新機能は次のとおり。
Adobe Firefly Video Modelの搭載により、業界最先端のコントロール性を備え、クリエイティブプロフェッショナルが動画、Bロール、アニメーションなどを生成できる「動画生成(ベータ版)」
![](http://crz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/6315/6315_2.jpg)
「テキストから動画生成」、「画像から動画生成」により、クリエイティブプロフェッショナルは、簡単なテキストプロンプトから眼を見張るような高品質1,080p動画やタイムラインのギャップを埋めるBロールを生成したり、ショットに雰囲気を演出する要素を追加したり、カスタムモーションデザイン要素を開発したりすることができる。直感的なコントロールにより、詳細なカメラ設定で動画を微調整できる。たとえば、広範囲のロングショットからドラマチックなクローズアップまで、思い通りに被写体をフレームに収めることや、複数のモーションパスから選択してダイナミックな動きを加えることが可能。ショットの最初のフレームと最後のフレームを固定して視覚的な連続性を維持したり、色調や文字の詳細を一貫して保つこともできる。
3Dスケッチや参照シェイプからプロ品質の画像を生成する「シーンから画像生成(ベータ版)」
軽量な3Dスケッチツールを使用することで、クリエイティブプロフェッショナルはアートワークを美しい高解像度画像に変換可能。「テキストから画像生成」で「構成参照」用の参照画像を作成することも、直感的な3Dツールを使用して正確なビジュアルガイドを作成することもできる。また、3D画像の角度や視点を変えて、完璧な出力結果を得ることもできる。「シーンから画像生成」では、クリエイターは、プロフェッショナルなグラフィックデザインのワークフローに必要な柔軟性と精度をすべて備えた3Dシェイプから、高品質のアセットをシームレスにレンダリングすることが可能。
登場人物の喋りを本人の声質そのままに多言語に翻訳できる「音声を翻訳」と「動画を翻訳」
クリエイターは、動画や音声ファイルを素早く簡単に翻訳し、世界中の多くの視聴者に、パーソナライズされた自然なコンテンツを提供することができる。動画コンテンツを異なる言語に翻訳しても声質、トーン、リズム、音響が維持されるので、クリエイターは吹き替えや音声ミキシングに費やす時間を削減し、翻訳や吹き替えサービスにかかる時間と予算を節約することが可能。「音声を翻訳」と「動画を翻訳」は、20ヵ国以上の言語での翻訳に対応している。